山根貞男さんが朝日新聞で紹介していた、ヤン.ヨンヒ監督・脚本の'12年作品『かぞくのくに』をWOWOWシネマで見ました。
「1959年から20数年にわたり、約9万人以上の在日コリアンが北朝鮮へ移住した。『帰国者』と呼ばれる彼らが日本に戻ることは困難を極めている」「1997年 夏」の字幕。5年前に脳に腫瘍が見つかり、非公式の帰国としてソンホは3ヶ月に限っての25年ぶりに帰国を認められ、帰ってきます。父は朝鮮総連東京都本部の副委員長、母(宮崎美子)は喫茶店を経営し、妹のリエは日本語学校で教師をしています。ソンホには監視役としてヤンが付き、許可なく東京を離れてはいけないと言われます。ソンホが16歳の時に北朝鮮に彼を送り出した父は、治療に専念するように言います。叔父は店先にソンホを誘い出し、ソンホの父の思想には反対だがお前はかわいいと言って小遣いをくれます。
病院で検査結果を3日後に聞きに来るように言われるソンホと母とリエ。ヤンはソンホを呼び「例の話を忘れるな」と言います。ソンホは同窓会に出て、オカマのチョリから25年間にあった出来事を全て話してくれと言われますが、トイレへと席を立ちます。彼はまた北朝鮮に帰り、そこで誰に何を話したか全て報告させられるのに、質問攻めなんかするなと仲間に言われるチョリ。ソンホが戻ると、チョリは懐かしい歌として『白いブランコ』を皆で歌うと、ソンホも歌い出します。
リエと町に出て、店のスーツケースを見たソンホはその傍らにリエを立たせ、「お前はいろんな国に行け」と言います。ソンホの父はソンホとともに焼けどの整形手術のために帰国した娘の父とともに、滞在の延長を提案しようと言い合います。帰宅したソンホはリエに「今後、誰かにあって人と話した内容を報告する仕事につく気はないか?」と言い、リエは「断ってもお兄ちゃんに迷惑かからない?」と聞いた上で、「絶対に関わりたくない!」と叫び、「妹は敵だと上の人に言って。役に立てなくて御免」と言います。その話を聞いていた父はソンホを呼び、「お前の立場は分かっているが、工作員には関わらないでほしい」と言いますが、ソンホは「俺が置かれている事情が親父なんかに分かる訳ないじゃないか!」と激昂します。リエは車の中で監視するヤンに「お兄ちゃんに言わせないで、自分で言えば? あなたもあなたの国も大嫌い」と言いますが、ヤンは「その国であなたのお兄さんも私も死ぬまで生きるんです」と答え、車を出します。
病院で結果を聞き、悪性の腫瘍で治療は可能だが3ヶ月では無理だと言われるソンホら。叔父とリエにソンホを北朝鮮に行かせたことを責められる父。リエは同窓会にも来ていて当時ソンホの恋人だったスニ(京野ことみ)の夫が医者であることから、彼女に助けを請います。ヤンには本国から電話があり、明後日全員を帰国させるように命じられます。ソンホにもそれが知らされ、ソンホは母とリエに知らせます。息子への土産のサッカーボールを買いに行くソンホは、スニを呼び出し、いつも笑っていてほしいと言います。母はブタの貯金箱に入っていた金を出して、家を出て駆け出します。「全然意味が分からない」と言うリエに、ソンホは「いつものこと。あの国には理由なんてない。考えずに従うだけ。考えるとしたらどう生き抜いていくかだけ。思考停止は楽だぞ」と言った後、「でもお前には考えてほしい。考え納得しながら生きろ」と言います。
出発の日。母はヤンに新品の背広を用意し、「あなたの国を信じている。息子のことを頼みます。3人のお子さんにお小遣いを」という手紙を渡します。部屋に飾られた家族写真を見るヤン。妹の手をふりほどき出発したソンホは窓を半分開け、『白いブランコ』をわずかに口ずさみ、すぐに窓を閉めます。リエはスーツケースを雑踏の中で引きづり、その姿が暗転して映画は終わります。
登場人物それぞれの気持ちがきめ細かく描かれている“演出”の映画であり、また“ショット”の映画でもありました。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)
「1959年から20数年にわたり、約9万人以上の在日コリアンが北朝鮮へ移住した。『帰国者』と呼ばれる彼らが日本に戻ることは困難を極めている」「1997年 夏」の字幕。5年前に脳に腫瘍が見つかり、非公式の帰国としてソンホは3ヶ月に限っての25年ぶりに帰国を認められ、帰ってきます。父は朝鮮総連東京都本部の副委員長、母(宮崎美子)は喫茶店を経営し、妹のリエは日本語学校で教師をしています。ソンホには監視役としてヤンが付き、許可なく東京を離れてはいけないと言われます。ソンホが16歳の時に北朝鮮に彼を送り出した父は、治療に専念するように言います。叔父は店先にソンホを誘い出し、ソンホの父の思想には反対だがお前はかわいいと言って小遣いをくれます。
病院で検査結果を3日後に聞きに来るように言われるソンホと母とリエ。ヤンはソンホを呼び「例の話を忘れるな」と言います。ソンホは同窓会に出て、オカマのチョリから25年間にあった出来事を全て話してくれと言われますが、トイレへと席を立ちます。彼はまた北朝鮮に帰り、そこで誰に何を話したか全て報告させられるのに、質問攻めなんかするなと仲間に言われるチョリ。ソンホが戻ると、チョリは懐かしい歌として『白いブランコ』を皆で歌うと、ソンホも歌い出します。
リエと町に出て、店のスーツケースを見たソンホはその傍らにリエを立たせ、「お前はいろんな国に行け」と言います。ソンホの父はソンホとともに焼けどの整形手術のために帰国した娘の父とともに、滞在の延長を提案しようと言い合います。帰宅したソンホはリエに「今後、誰かにあって人と話した内容を報告する仕事につく気はないか?」と言い、リエは「断ってもお兄ちゃんに迷惑かからない?」と聞いた上で、「絶対に関わりたくない!」と叫び、「妹は敵だと上の人に言って。役に立てなくて御免」と言います。その話を聞いていた父はソンホを呼び、「お前の立場は分かっているが、工作員には関わらないでほしい」と言いますが、ソンホは「俺が置かれている事情が親父なんかに分かる訳ないじゃないか!」と激昂します。リエは車の中で監視するヤンに「お兄ちゃんに言わせないで、自分で言えば? あなたもあなたの国も大嫌い」と言いますが、ヤンは「その国であなたのお兄さんも私も死ぬまで生きるんです」と答え、車を出します。
病院で結果を聞き、悪性の腫瘍で治療は可能だが3ヶ月では無理だと言われるソンホら。叔父とリエにソンホを北朝鮮に行かせたことを責められる父。リエは同窓会にも来ていて当時ソンホの恋人だったスニ(京野ことみ)の夫が医者であることから、彼女に助けを請います。ヤンには本国から電話があり、明後日全員を帰国させるように命じられます。ソンホにもそれが知らされ、ソンホは母とリエに知らせます。息子への土産のサッカーボールを買いに行くソンホは、スニを呼び出し、いつも笑っていてほしいと言います。母はブタの貯金箱に入っていた金を出して、家を出て駆け出します。「全然意味が分からない」と言うリエに、ソンホは「いつものこと。あの国には理由なんてない。考えずに従うだけ。考えるとしたらどう生き抜いていくかだけ。思考停止は楽だぞ」と言った後、「でもお前には考えてほしい。考え納得しながら生きろ」と言います。
出発の日。母はヤンに新品の背広を用意し、「あなたの国を信じている。息子のことを頼みます。3人のお子さんにお小遣いを」という手紙を渡します。部屋に飾られた家族写真を見るヤン。妹の手をふりほどき出発したソンホは窓を半分開け、『白いブランコ』をわずかに口ずさみ、すぐに窓を閉めます。リエはスーツケースを雑踏の中で引きづり、その姿が暗転して映画は終わります。
登場人物それぞれの気持ちがきめ細かく描かれている“演出”の映画であり、また“ショット”の映画でもありました。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)