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宮部みゆき『ソロモンの偽証』第1部 事件・その1

2013-11-23 10:20:00 | ノンジャンル
 朝日新聞の特集記事で紹介されていた、宮部みゆきさんの'12年作品『ソロモンの偽証』全3巻を読みました。
 先ず第一巻の「第・部 事件 1990年、冬」。クリスマス・イヴの日、中2の向坂行夫は唯一の親しい友、野田健一を誘い、ショッピングモールに出かけると、そこのコーヒーショップで一人でいるクラスメイト、柏木卓也を見かける。彼は大出俊次をリーダーとする3人の不良グループのいたずらをいさめて11月に喧嘩となり、それ以来学校を休んでいた。翌日、健一は登校時通用門をよじ登って校内に入ると、そこで前夜から降り積もっていた雪に半分埋まった柏木卓也の死体があるのを発見する。やがて卓也は普段は主事室にあるキーによって施錠されてある屋上から飛び降りて死んだことが分かる。自宅からは遺書らしきもの、そしてあるべき日記も見つからなかった。卓也が学校に来なくなってから、学校側は度々家庭訪問をしていたが、彼は「もう学校というものとかかわるのが嫌になった」と言うのだった。卓也には兄の宏之がいたが、卓也が病弱だったため、両親の目は卓也にばかり行き、卓也もそれを当たり前のように思って兄を軽蔑していたのと、やがて自分も卓也中心の生活に巻き込まれるのを恐れ、宏之は高校生になると自宅を出て祖父母の家で暮らしていた。
 年が明け、1月6日。顔のニキビがひどいことで大出に何度も虐められてきた三宅樹理は、彼女の唯一の友人で気のいい“デブ”浅井松子を巻き込み、東京駅まで出て3通の速達を投函する。彼女は美人の担任・森内も優等生の藤野涼子も憎んでいた。樹理の送ったものは告発状で、大出をリーダーとする3人が卓也を屋上から突き落としたのを見たので、警察にそれを知らせてほしいという内容で、学級委員の藤野涼子宛と校長宛、そして学級担任の森内宛だった。手紙を手にした涼子の父で刑事の剛はすぐに校長に会いに行き、学校がすぐに動かないと、犯人はメディアに情報を漏らしかねないと言う。卓也の件を調べた少年課の刑事・佐々木礼子は自殺であるのは間違いなく、卓也のクラスの生徒を中心に面談をすることを校長に勧める。一方、森内の隣人の垣内美奈絵は夫に出ていかれ、夫に泣きついている姿をたまたま森内に見られ、笑われたと感じ、森内を逆恨みし始める。そして森内宛の告発状をポストから盗むと、それを破り、森内が廃棄したのを自分が見つけたように見せかけ、森内を告発する内容の手紙をテレビ局へ送った。
 やがて大出はナイフで脅して少年に傷を負わせる強盗事件を起こすが、放任主義の父・勝が示談で処理あする。その後、3人組の一人、橋田は一人登校するようになる。
 一方、健一の母は病弱で、父は夢見勝ちな日曜画家だった。母の病気のことで疲れきった上、夢ばかり語る父に今の生活さえも破壊されるのを恐れた健一は、一家心中に見せかけて両親を殺す計画を立てる。ある日、健一は図書館で「日常の中の毒物事典」を読んでいた時、たまたま痴漢に会っていた涼子を助けることになる。その後、健一が農薬を買おうとしていたことを涼子は先輩から教えられ、健一と仲のいい行夫に訊くと「一人になったらどうなるかな」と先日訊いてきたと言われる。心配した行夫が健一の家に電話をかけると、健一は受話器から離れて、わあわあ泣き出し、その知らせを受けた涼子は行夫と健一の家を訪ねると、健一は母を殺し切れずに泣いていたのだった。
 卓也の四十九日の法要の帰り、礼子は校長と学校に寄ると、面談の結果、告発状を出したのが三宅樹理であり、浅井松子も手伝わされていたこと、そして告発の内容も嘘であることが分かったと言い、自分が三宅に接触してみるので、分かったことは伏せておいてほしいと校長に言う。
 一方、告発状を送られたテレビ局の番組〈ニュースアドベンチャー〉の記者・茂木は校長を始め、勝手に生徒にも取材をし出す。礼子を訪れてきた樹理は、黙っていたことがあるとして、去年の秋ごろ、放課後の教室で、大出たち3人が「柏木のヤツが気にくわねぇ。いつかヒネッテやろうぜ」と言っていたこと、柏木君が死んだ後には、学校からの帰り道で、あいつらが笑いながら、「上手くいった」ってしゃべっているのを聞いたと話す。(明日へ続きます‥‥)

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