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宮部みゆき『ソロモンの偽証』第2部 決意・その3

2013-11-27 10:33:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。
 健一は涼子に電話をし、昨日元校長と森内先生に会ってきたことを報告する。そして弁護側は卓也の兄からもらった自殺当日の通話記録を調べ、その最後の午後7時36分のものが小林電器店の前の電話ボックスのものであることが分かる。2人は俊次の元を訪ねると、昨日一日中父が警察に拘束されていたと教えられる。一方、涼子は昨晩徹夜して井口の両親に手渡す手紙を書いていた。井口の家を訪ねると、井口の父から「充は三中の子には会わない」と言われ、手紙だけを置いてくるが、井口の父は俊次の父が逮捕寸前であることを教えてくれる。帰宅した涼子は父に電話し、井口の父から聞いた話を公言すると脅すと、涼子の父は大出家の火災が俊次の祖母の財産を手に入れるための狂言だったことを教えてくれる。そして大出に花火師を紹介した闇の大手〈ユリバーサル興産〉を追い詰めるため、警察が今まで俊次の父の逮捕を遅らせたこと、大出への脅迫電話は俊次の父が誰かに頼んでかけさせたであろうことも。一方、弁護側は卓也の家を訪ね、卓也が生前通っていた塾の滝沢先生のことを尊敬していたことを教えられるが、和彦は先生に嫌なことを思い出させるとして、滝沢先生への取材に反対する。涼子の家に集まっていた検事側は、涼子から大出家の火災の狂言の話を教わり、俊次の父が逮捕されれば、もう怖がるものもないので、井口も裁判に協力してくれる可能性が高いと言う。午後、検事側は弁護側と同じ手順で、卓也の家への自殺当日の電話の発信元を突き止めていた。すべて卓也の自宅からそう遠くない電話ボックス。3時間半から3時間おきに、5回の電話。弁護側で吾郎は「こっちの一番の弱点は、三宅さんの証言が伝聞であったこと」と言っていた。
 翌日の朝、健一は俊次からの電話で、俊次の父が今朝警察に連れていかれ、今家宅捜索されていると知らせられる。弁護士の風見には母が連絡したとも。健一はとりあえずじっとしているようにと俊次に言って、和彦と北尾先生、それに涼子にも知らせた。涼子の家に集合した検事側と健一は、狂言、大出集成材の資金繰り、保険金詐欺、土地の売買、偽の脅迫電話という話題が出る中で、健一がビックリしてしゃっくりが止まらなくなる。結局、涼子と和彦は警視庁前で待ち合わせると、和彦は小林電気店の前の電話ボックスからかけていた男の子は「本人だ」と言う。やがて警視庁から出てきた涼子の父は情報源として公平でありたいと言って涼子を帰し、和彦に俊次の父について教えてくれた。最低二十日間の拘留。保釈も危ない。十五分まえに逮捕された。当面の容疑事実は、保険金詐欺目的の現住建造物放火と、有印私文書の偽造。和彦は12月24日の日、大出家を訪ねたであろう3人のユニバーサル興産の社員の誰かが俊次を見かけている可能性があると言うが、それには手をつけるなと言う。帰宅した涼子は北尾先生が元校長から預かっていた告発状を吾郎経由で渡してもらう。そこへ元校長から電話がかかってきて、森内先生が誰かに襲われて大怪我して病院に担ぎ込まれたと知らせてくる。
 手術室の前には森内先生の母と弁護側2人、検事側3人と元校長が揃った。森内先生は後頭頭から出血して非常階段で意識を失っているところを発見され、隣人の垣内の部屋からは森内先生の毛髪と血がついたワインの空き瓶が発見されていた。涼子は垣内のことを自分一人の判断でHBSの茂木記者に教えたことで自責の念に捕らわれるが、それは早合点だと和彦に指摘される。やがて北尾先生から連絡をもらったと言って、判事の井上も現れ、探偵事務所の河野と垣内の夫も一緒に姿を見せた。茂木は3日前に河野のところへ取材に来て、けっこうショックを受けていたという話だった。
 森内先生は命を取り留めた。そして8月10日。野田以外のメンバーは揃っていた。元校長は、垣内と森内先生の関係を発表し、それを茂木が取材する危険があると言うと、涼子は彼は検事側の証人だから問題はないと言い、皆を驚かせる。北尾先生は自分が皆の楯になると言い、勝木恵子は「俊次にはもうあたししかいない」と言い、現れた俊次も「身の潔白を証明する」と言う。そして駆け込みで9人目の陪審員が現れ、皆が宣誓し、涼子は樹理の悲鳴を自分が受け止めるんだと誓うのだった。(また明日へ続きます‥‥)

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto