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宮部みゆき『ソロモンの偽証』第1部 事件・その2

2013-11-24 10:15:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 校長らが柏木家を訪れると、両親に代わって長男の宏之が対応し「先生方と僕ら遺族は、どこまでいったってすれ違うままです。だったらこの際、〈ニュースアドベンチャー〉にとことん調べてもらいましょう。現状では、茂木記者は唯一信頼できる第三者です」と言って、追い返される。茂木は大出の家も突撃取材し、剛をわざと怒らせて自分を殴る映像を部下に撮らせる。そしてその後、剛が学校へ車で乗り付け、校長にも暴力を振るう様子も秘密裏に撮る。やがて茂木から学校側にこの件を番組にして放映する旨の知らせがあり、森内は休職願いを出してしまう。礼子は刑事課の刑事・名古屋から、告発状を出した生徒は正しいことをしていると思っているのだから、茂木に洗いざらい調べさせて、膿を全部出させるのがいいと言われる。その後、礼子は森内の訪問を受け、郵便を盗まれたことについて捜査してほしいと言われるが、断らざるを得ない。やがて茂木から放映日の報告があり、それを聞いた校長は辞表をしたため始める。
 放送では、告発状を出した人物は未だ特定されていないと言い、森内が告発状を「本当に受け取ってないんです」と言って泣き崩れる映像も流された。番組を見た樹理は、森内の姿を見て喜び、そして名前こそ伏せられているものの、樹理が告発状に書き記したあの3人も俎上に乗せられたことを喜ぶ。番組で茂木は、教師たちや警察が味方になってくれないと、泣き寝入りしている生徒や保護者がまだいたら連絡してほしいと、連絡先を表示していた。番組が終り、クツクツと笑う樹理と垣内美奈絵。美奈絵は先日夫が離婚のために送ってきた弁護士に対しても闘争心を燃やす。
 茂木の番組を放送する直接のきっかけとなったのは、大出が強盗傷害事件を起こしていたからだった。放映後の保護者会では、大出らを取り調べろとの声が大勢を占める。
 テレビ放映のあった次の土曜日の午後、浅井松子は三宅樹理の家に向かっていた。樹理は告発状で嘘をついているんじゃないのか。翌週登校した涼子は松子が車の前に飛び出し、交通事故に会って意識不明の重体だと知らされる。涼子は気分が悪いと言って保健室に行くが、そこには樹理が先客として待っていた。保険の先生が席を外すと、樹理はカーテンを開けて、無表情に涼子を見、そしてしゃっと音をたてて、カーテンを閉じると、樹理は破いて捨てるように笑い声をたてた。涼子は呆然と座ったままだった。涼子は考える。松子はまだ生きている。しゃべれるようになれば、必ず真実を語ってくれるだろう。しかしそんな涼子の希望はついえる。松子は亡くなってしまうのだ。そしてその知らせを聞いた樹理は声がでなくなってしまった。
 放映後、剛は名誉毀損の訴訟を起こす準備を始める。校長は松子が死ぬ前、ひどく落ち込んでいたことを母から聞く。そして松子の死から一週間が経ち、岡野教頭が臨時の校長代理を務めることになった。記者会見では告発文は「怪文書」扱いとなり、それを廃棄した森内教諭には三ヶ月間の謹慎処分を下したが、その後、辞表を受理したと発表された。連休が明けると、3人組の一人、井口が登校してきたが、デタラメを書いてテレビ局に送ったのはお前だろうと橋田に言い、怒った橋田が井口を3階の窓から突き落とす事件が起こる。この事件はテレビのニュースでも報道され、ヘリコプターからの校舎の映像は刑務所のように見えたという生徒もいた。涼子が橋田と井口のその後について知ったのは〈ニュースアドベンチャー〉の続報で、茂木は姿を消していた。その中で柏木宏之は、弟の死の真相を知っている人がいるなら、名乗り出てそれを話してほしいと話していた。 
 そしてしばらくして大出家に火事が起き、全焼し、認知症のあった祖母が焼死した。橋田が放火したという噂が流された。茂木は涼子に会いに来て、三宅樹理のことを聞き、最初の番組後、大出家に何度も脅迫電話がかかってきていたこと、そして俊次はイタズラ電話は橋田の仕業だと思っていたことを教えてくれた。そのうち誰かを犯人に仕立てあげたいと思っている茂木に対し、涼子は「もう、たくさん」と言い、「自分たちで真実を見つけ出します」と言うのだった。(また明日へ続きます‥‥)
 
 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto