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オムニバス映画『パリところどころ』

2007-12-30 15:45:17 | ノンジャンル
 NHK・BS2で、'65年にフランスで作られたオムニバス映画「パリところどころ」を見ました。今回で3度目ぐらいだと思います。
 第一話「サンドニ街」(ジャン=ダニエル・ポレ監督)は、小心者の男と闊達な娼婦のスケッチ。
 第二話「北駅」(ジャン・ルーシュ監督)は、夫とケンカして家を出て出勤する妻に、男が一緒に空港に行き旅立とうと言い寄り、自殺するつもりだったが、妻を見た瞬間最後にこの賭けに勝てば生きようと思うと言うが、妻が断ると、男は本当にその場で自殺してしまい、妻の「やめて!やめて!」という絶叫が響き渡る、という話。
 第三話「サンジェルマン・デ・プレ」(ジャン・ドゥーシュ監督)は、男女が出会い、男が翌日メキシコに発つと言うのでケンカになり別れ、女が美術学校に行くと、そこのヌードモデルがさっきの男で、帰りにはその男は別の女と肩を並べて歩いていた、という話。
 第四話「エトワール広場」(エリック・ロメール監督)は、凱旋門のあるエトワール広場を歩いて通勤する男が肩がぶつかった男からケンカを吹っかけられ、はずみで男を殺してしまう。それからビクビクしながら過ごしていると、ある日電車でケンカしている男は死んだはずの男だった、という話。
 第五話「モンパルナスとルヴァロワ」(ジャン=リュック・ゴダール監督)は、二人の恋人に送る手紙の宛先を入れ違いで送った女は、二人の男に許しを請いに行くが、一旦許されるものの、彼女がベッドに誘うと売女呼ばわりされて、追い出されてしまう。実は、手紙の宛先は間違っていなかった、という話。
 第六話「ラ・ミュエット」(クロード・シャブロル監督)は、両親のケンカにうんざりしていたブルジョワの少年は耳栓で騒音から解放されるが、母が階段から落ちて悲鳴を上げ、瀕死の状態になっているのにも気付かなかった、という話。
 どれも映画の題名のごとく、パリの6つの場所を舞台にした短編で構成されています。各監督とも他の監督との差異化を考えているようで、ロメールは字幕を使い、ゴダールは始めの部分を音楽だけで構成し、シャブロルは少年が耳栓をしている間は無声映画になるようにしていますが、ここでは一般の評価どおり、第二話のジャン・ルーシュ監督による「北駅」が一番印象に残ります。特に、ラストの俯瞰でズームバックしていくと、金網で絶叫する女と線路の脇で死んでいる男がワンショットで写されるシーンは、素晴らしい効果を挙げています。通勤する女性という日常と自殺という非日常が出会う悲痛なドラマがそこにはありました。まだ見ていない方にはオススメです。