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目指せ エコドライブ!

2007-12-14 20:10:13 | ノンジャンル
 遅ればせながら、森見登美彦氏の「夜は短し歩けよ乙女」を読みました。1年の女子大生と同じサークルに属し、彼女のことを慕っている先輩の大学生が交互に自分の体験を語って行く形になっています。女子大生は丁寧語を使い、先輩の方は使わず、漢語が多く使われ堅い文章になっています。内容は一章完結となっていますが、登場人物は同じです。ちなみに舞台は京都です。
 第一章「夜は短し歩けよ乙女」は、この小説での主な登場人物が女子大生が飲み歩くにつれて紹介されていく序章のようなもので、錦鯉を育て、春画に目がない東堂、貫禄のある女性・羽貫、年中浴衣姿で空中浮遊など変わった技の持ち主の樋口、普段は誰にでも酒をおごるが、夜道を行く男の下着を盗み、偽ブランという酒の飲み比べをやる2つの趣味を持つ金持ちの金貸・李白翁、詭弁会という大学サークルの伝統の詭弁踊りの創始者・赤川社長、エッチなものなら何でも好きな大学サークル・閨房調査団らが出て来ます。話は東堂の借金をかけての李白との飲み比べに女子大生が勝ち、李白の乗る山車の屋上には竜巻きにさらわれた東堂の錦鯉が降って来る、というもの。
 第二章「深海魚たち」は、古本市が舞台で、彼女を追い掛ける大学生が、李白翁の催す個人的な売り立て会に参加するはめになり、夏の暑い中、こたつを囲んで火鍋というものすごく辛いものを順々に食べて行き、最後に残ったものが好きな本を手に入れられるというその闘いに大学生が勝ち、女子大生が欲しかった絵本を手に入れてあげる、というもの。
 第三章「御都合主義者かく語りき」は、晩秋の大学の学園祭が舞台で、「象の尻」というオブジェを作った紀子、思う相手に気持ちが通じるまでパンツを替えないパンツ総番長、学園祭事務局長といった新たな登場人物が現れ、閨房調査団青年部の催す「万国大秘宝館」や、詭弁会の催す「ごはん原理主義者VSパン食連合」といった変わった催しの中で、学園祭の各地に神出鬼没する「韋駄天コタツ」(こたつに入り、鍋を食べないか、と誘う)と「偏屈王」(実際のサークルや人物が現れる短い演劇」に主人公たちが巻き込まれ、最後には「偏屈王」のヒーロー、ヒロインを途中から演じた女子大生とその先輩が結ばれ、抱き締めあい、パンツ総番長も長年思っていた紀子さんと運命の出会いをし、パンツを替えられるようになる、というもの。
 第四章「魔風邪恋風邪」は、京都で風邪が大はやりし、珍しく風邪にかからないでいる女子大生が様々な人をお見舞いに行くのですが、やがて風邪の発信地は李白翁だと分かり、少年にもらった妙薬で李白翁の風邪を直します。李白翁の体から飛び出た風邪の神様は竜巻きを起こし、その竜巻きに巻き込まれた女子大生と先輩は、本格的につきあうことになる、というもの。

 第一章を読んで、これは筒井康隆氏の「笑犬楼の逆襲」のパクリだと思いました。偉い老人が京都の町中を山車に乗って進むというのはまったく同じです。だからと言って面白くないということではないのですが。
 一番面白かったのは第三章の学園祭の話でした。次から次ぎへと面白い出来事が起き、退屈させません。第二章の古本市の話も、最後の闘いが盛り上がり、結構楽しめました。
 しかし、全体的に見て、私の好みじゃないな、と思いました。筒井康隆氏の小説に対する思いと共通している部分があると思います。したがって、逆に言えば、筒井氏の小説が大好きな人にはオススメできます。まだの人はぜひ読んでみてください。