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団鬼六『伊藤晴雨物語』

2007-01-13 19:51:08 | ノンジャンル
 昨日の夕刊に中央競馬の正月競馬で「モチ」という馬が勝ったという記事がありました。この馬のオーナーは、面白い名前を馬につけるのが好きで、これまでも、ピンクノワンピース、アサキチ、メロンパン、ドングリ、エガオヲミセテ、ギャフン、オメデトウ、オソレイリマス、ナーンチャッテなんて名前をつけたそうです。後半の方の名前、よく審査に通りましたよね。ちょっと笑ってしまいました。

 さて、今日紹介する本は、山田詠美さん推薦の団鬼六氏の「伊藤晴雨物語」です。
 伊藤晴雨は、明治から昭和にかけて生きた人で、新聞の挿絵を書いたり、演劇批評を書いたりしながら、自分の女房を主にモデルにして、残酷画を描くことに情熱を抱いた人です。裸の女性を荒縄で縛ったり、宙吊りにしたり、木馬攻めのような拷問をしたりして、女性の苦しむ様子に無性に惹かれ、社会的に抹殺されようとも、どんな苦労をしても、残酷画に対する情熱を一生持ち続けた人です。そんな人の人生を丹念に描いたのが、この小説です。
 団氏はこの小説を書くことによって、SMポルノ小説を書くことに本腰を入れたそうですが、残念ながら私は団氏のSMポルノ小説を一冊も読んだことがありません。ただ、この小説に限って言えば、それほどエロティックではなく、事実を淡々と書いているといった感じで、おそらく後に書いたSMポルノ小説とはかなり違った文体なのでは、と思いました。実在の人物の話なので、現実にこうした人がいたという興味も涌きます。変人に興味のある方には、オススメです。