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スティーヴン・キング『ブルックリンの八月』

2007-01-10 19:23:23 | ノンジャンル
 昨日もスカパー708チャンネルで「日本侠客伝」の3、4作を見ました。3作では、高倉健がノリの軽い気のいいあんちゃん役で出ていたのが意外でした。4作目では、決断をちゅうちょする親分を子分達が「やっちゃえよ」「やっちゃいなさいよ」と励ます「次郎長三国志」シリーズでよく見かけたシーンがあり、ここでもこのシリーズと次郎長シリーズの関係を確認できました。

 さて、今日ご紹介する本は、新刊のスティーヴン・キングの文庫本「ブルックリンの八月」です。5編の短編、1編の詩とキング自身による各短編の解説が掲載されています。
 第一話「第五の男」は、海を漂流中のケガ人が死の直前に語った話から、彼を裏切った銀行強盗の3人の仲間を1人ずつ殺し、金のありかを示す地図を手に入れる話。第二話「ワトスン博士の事件」は、妻と三人の息子に財産を分けるという遺言状を撤回した富豪が、遺言状を書き換え全額猫に贈ると発表した直後、密室で殺され、警部に呼ばれたホームズとワトソンが推理合戦をする話。第三話「アムニー最後の事件」は、私立探偵が家を出ると、路上の新聞売りの盲目の少年の母に宝くじが当たり、老人のエレベーターボーイは退職し、自分の事務所前の壁が白く塗られ、秘書が辞職し、未来の自分が客として現れ、自分は小説の中の登場人物であることを教えられ、小説の世界から抹殺され、作家の住む世界へ行って作家と入れ代わってしまうという話。第四話「ヘッド・ダウン」は、久しぶりに州大会まで勝ち上がったバンゴア(キングの住んでる近く)のリトルリーグ・チームの活躍を描いた実話。第五話「ブルックリンの八月」は、プロ野球を回想する詩。おまけの第五話「乞食とダイヤモンド」は、哀れな乞食に涙した神の弟子は、乞食のそばにダイヤモンドを落とすが、乞食は気付かず、自分の不幸を嘆く。が、そのうち目の見えない人もいることを思い、目が見える事を神に感謝する乞食を見て、教訓を得る神の話。
 これを読んで分かるように、ホラー小説は一つもありません。本の帯にも「こんなキングも、あります」と書かれています。しかし、やはり面白い! 特に私の好きなのは第四話の「ヘッド・ダウン」で、野球に夢中になって打ち込むチームメイトと監督の姿が微笑ましく、映画「かんばれ!ベアーズ」を見た時のような感動を覚えました。
 キングのホラー小説はちょっと、という方にはオススメです。