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ピノチェット元大統領の裁判

2006-10-20 16:23:14 | ノンジャンル
 今朝の朝日新聞の朝刊に、チリで1990年までの17年間、軍事独裁を敷いたピノチェット元大統領の記事が掲載されていました。
 彼は未だに秘密収容所「ビジャ・グリマルディ」であった拷問や殺人への関与について、自宅における尋問で約1時間の間「記憶にない」との答えを繰り返し、「状況も被害者の名前も知らないし、自分に責任はない」と述べたと言います。
 ピノチェット政権下、チリでは約3千人が死亡または行方不明となり、約3万人が拷問を受けたとされています。現在のバチェレ大統領も医学生だった75年に拷問を受けています。グリマルディの収容所では数千人が拷問を受け、約300人が行方不明になりました。
 裁判は元大統領としての免責特権や健康上の理由から、多くが停止されてきましたが、再会の動きが徐々に進んでいるとのことでした。
 ピノチェット大統領は民主的な手続きを経て選ばれた大統領ではありません。アジェンデ氏が民主的な選挙で大統領に選ばれ、貧民救済、銅の採掘の国営化など、社会主義的な政策を実行していった時、アメリカの大企業AT&T(日本のNTTのような会社)とCIAの後押しを受けて、当時のピノチェット将軍が軍事クーデターを起こし、アジェンデ大統領を始めとする政府の幹部を皆殺しにして政権を奪取し、その後も、人権活動家、労働運動の指導者、社会主義者らを次々に監禁、拷問、処刑していったのです。
 そのピノチェットが未だに何の刑にも服さず、自宅で悠々と暮らしているというのは、どういうことのなでしょう? しかも現在90歳ともなると、終身刑になっても対した年数もたたずに刑は終了してしまいます。
 チリのことにこれほど私が興味を持つのは、過去にピノチェットのクーデターを描いた「サンチャゴの雨が降る」という映画を見ていて、そこでアジェンデ大統領自ら機関銃を手に持って戦った姿を見ているからです。
 南米は未だにアメリカ資本に政治を握られ、貧しい者は先日読んだ「ゆりかごで眠れ」のようにギャングになるしか、出世できないというような社会状況にあります。アメリカを憎んでいるのはイラク人だけではないのです。