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スティーヴン・キング『いかしたバンドのいる街で』

2006-10-04 17:00:04 | ノンジャンル
 昨日の「ドランのキャデラック」と同時に発売されたキングの短編集「いかしたバンドのいる街で」です。6編の短編とキング本人による作品解説からなっています。
 第一話「献辞」は、ホテルで働くマーサは、妊娠中に魔女と呼ばれている老女に会い、何か変なものを飲まされて、今妊娠している子は暴力的で粗野な今の夫の子ではなく、マーサと寝たこともない、マーサのホテルに滞在する作家ジェフリーズの子供になったと言われます。実際に生まれた子は作家になり、そのデビュー作はジェフリーズのデビュー作に表紙がそっくりで、同じく戦争を題材にした物語で、書かれたサインもそっくりの字体だったという話、第二話「動く指」は、洗面台の排水溝から指が出て来て、撃退しようと思った主人公は水パイプの汚れを溶かす劇薬を排水溝に注ぎますが、大変な火傷を負いながら指は多くの関節を持った姿を現し、排水溝からずるずると出て来て主人公を襲いますが、電動植木鋏で撃退するという話、第三話「スニーカー」は、ミキサーのテルがレコードスタジオのトイレの個室にいつも汚れたスニーカーを履いた男が入っていて、スニーカーの周りには虫の死骸が散らばっていることに気が付き、友人からそれは幽霊だと教えられます。テルは幽霊と対決し、彼がホモのプロデューサーのポールに殺された事実を聞かされるという話、第四話「いかしたバンドのいる街で」は、道に迷った夫婦がたどりついた街は、60年代に活躍したロックンローラーの死者が住み、一般の人は逃げだせない街で、毎晩のように大音響でロック・コンサートが開かれている街だった、という話、第五話「自宅出産」は、ゾンビが世界中の人間を襲う中、自宅で出産することを決心する女性の物語、第六話「雨期きたる」は、7年に一回、ヒキガエルが空から大量に降ってくる街に滞在して、その恐怖を味わった夫婦の話です。
 活劇的面白さから言ったら、「動く指」を先ず最初に推薦したいと思います。無気味に長い指と主人公の血で血を洗う戦いは壮絶なものがありました。他の作品もどれも面白く、楽しく読めました。オススメの一冊です。