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三羽省吾『太陽がイッパイいっぱい』

2006-10-09 16:16:09 | ノンジャンル
 「厭世フレーバー」が素晴らしかった三羽省吾さんのデビュー作であり、2002年度の第8回小説新潮長篇新人賞を受賞した「太陽がイッパイいっぱい」を読みました。
 大学の無気力な生活に嫌気がさして、いいバイト料に惹かれて建設現場の解体のバイトに行った主人公は、その労働の余りのきつさに辞めようと思いますが、労働後に飲むビールのうまさに病みつきになり、仕事を続けます。その仕事ぶりを見ていた監督にスカウトされ、マルショウ解体という会社に入りますが、そこには、巨漢でチンピラ風のトラブルメーカーのカン、イケメンだが赤面症のクドウ、留学生くずれのコウ、リストラに会い目の悪い息子の医療費をかせぐために働くハカセら、個性ある面々がいて、仕事のあとでは、いつも立ち飲み屋でくだを巻いています。そこで働く皆のアイドル、メロンちゃんを僕はゲットし、カンはメロンちゃんが連れてきた胸の大きいミヤコちゃんと付き合うことになります。この面々は野球チームも持っているのですが、連戦連敗。原因はピッチャーのカンのすべて全力投球のノーコンぶりです。
 こうした面々が現場で、そして町中で様々なトラブルに巻き込まれ、理不尽な敵に対して、己の力のみを当てにして解決していく姿が描かれています。みんな同じ苦労をしているということで、団結力があり、かと言って、集団に甘えることもなく、たくましい面々の姿を見ていると、読んでるこちらも力が涌いてくるような気がします。
 ヤフーオークションにほとんど出品がないところを見ると、三羽省吾さんの本はあまり売れていないようなのですが、こういう本こそどんどん売れてほしいと思ってしまいます。まだ読んでいない方、ぜひぜひオススメです。