
私は東海林さだおさんのエッセイ本をよく買って読みましたが、最近はあまり読んでいませんでした。
東海林さだおさんが「ショージ君、85歳。
老いてなお、ケシカランことばかり」というエッセイ本を出されましたので、買い求めました。
85歳になっても、面白いエッセイを書けるのか興味があったからです。
最後の章のインタビュー・85歳のヨタ話以外、おそらく以前書かれたエッセイをまとめられたものだと思いましたが、けっこう面白かったです。
最初に書かれていた「見るもの聞くもの、腹の立つことばかり」に、人間、年をとると怒りっぽくなるといわれている。には納得です。
老人の胸の内には、不平や不満やわだかまりがうず巻いて常に満タンになっている。
ガス湯わかしきのタネ火がいつも点いているようなもので、ちょっとしたきっかけさえあればただちにボッと沸騰する。
私も最近怒りぽくなっているので、注意しなければ。
「昭和の蝿を懐かしむ」も懐かしかったです。
昭和の古老が語る「考えてみると私にとっての昭和は蝿との戦いの昭和でもあった。あの頃の蝿は日本の全人口よりも圧倒的多数で、ときには敗北感に襲われることもあった。よくぞ戦い抜いたと今にして思う」
蝿の大群の来襲に昭和の人々は蚊帳で防戦した。
蚊帳とは、柄のない傘のようなもので、金網でできているので風通しがよく、これを食べ物の上にかぶせて蝿に対抗した。
そして、食卓を囲んだみんなの頭の上には、ああ懐かしの蝿取りリボン。
蝿取りリボンというのは ホイホイをテープ化したものと考えていい。
テープの両面に強力な糊状のものが塗られていて長さ1メートル弱、これを天井からぶら下げておくと飛んできた蝿がこれにくっついてもがきながら死ぬ。
そして、ああ、これもまた恥ずかしくも懐かしの蝿たたき。
これはもう、今から考えるとあまりに原始的なもので説明するのも恥ずかしいのだが、文字どうり蝿をたたいて殺す道具で、柄の先にハガキよりやや小さめの大きさの金網がついていて、蝿を見つけたらたたき殺すのです。
これらの蝿に対する防戦器具、私の家にも全てありました。
懐かしい!
今はあまり蝿を見なくなりました。
最後の章のインタビュー・85歳のヨタ話で、東海林さんは今でも好奇心の塊で、ユーモアをお持ちだそうです。
85歳になっても、現役の漫画家でいられるのは、それがあるからでしょうね。笑い
人生の扉 竹内まりや (2007年)