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「初心者」さんの米国債投資について

2017年01月22日 | 米国債への投資

ハンドルネーム「初心者」さんから、米国債投資への質問がコメント欄にありました。

投資初心者の方みなさんへも参考になると思い、本文にて取り上げさせていただきます。

まずご質問から。

引用

初めて書き込みをさせていただきます。
お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いします。

米国国債を購入しようと考えております。
目的は、円の預金のみでは将来の日本に対応できないと考えているからです。
ゼロクーポンで満期まで保有し、そのまま預け金とするか外貨MMFで運用しようと考えております。

トランプ政権となり色々動いており、購入のタイミングが分からなくなってしまいました。

私の場合は、為替相場のみ気にすれば良いのでしょうか。

よろしくお願いします。

引用終わり

  適切なアドバイスをするために、私から以下の質問をさせていただきました。

引用

以下の質問はどの方へも質問させていただいている標準的質問項目です。なるべく答えいただけますでしょうか。

・年齢
・家族構成
・職業の安定性
・年収
・現在の運用総資産
・そのうち、米国債に投資する割合
・運用の期間

それと、私の著書はお読みいただいていますか。米国債の理解度を知りたいためにうかがっています。

あとコメントの以下の部分の意味が理解できないため、再度解説ねがいます。

>ゼロクーポンで満期まで保有し、そのまま預け金とするか外貨MMFで運用しよと考えております。

そのまま・・・の部分は、満期後のことを言っているのでしょうか?

以上、回答をよろしくお願いします。

回答しづらいものは結構です

引用終わり

 

 

  それに対する「初心者」さんからの回答は、

引用

・年齢:32歳
・家族構成:独身
・職業の安定性:普通でしょうか。公務員や大企業ほどではありませんが、中小企業よりは安定してるかと思います。
・年収:480万円
・現在の運用総資産:預金のみ1000万ほど。
・そのうち、米国債に投資する割合:現在はゼロ。今後は年間50万ほどをアメリカ国債にふりあてる予定です。
・運用の期間:10年を予定。

そのまま・・・の部分は、満期後のことを言っています。

著者は拝読しました。投資の本は30冊ほど読みましたが、納得したのが先生の本のみでした。


引用終わり

 

  私の回答を端的に申し上げれば、

「ヘッジが優先目的であれば、現時点の為替114円、10年金利2.4%でも、順次投資を開始すべきだ」です。

 

順次とは、毎月、隔月、四半期、半年、1年ごと、いずれでもかまわないと思います。今後の人生設計に合わされたらよいと思います。

ではすぐに始めてもよい理由を順に述べます。

1.年齢が若いので、時間軸での分散が十分に可能だから

2.50万円は全体の5%にすぎないので、少額分散投資だから

3.1と2にもかかわりますが、為替と金利のリスク分散も十分に図れる

  これだけだといいことずくめのようになってしまいますが、必ずしもそうではありません。考慮すべきリスクをあげておきます。

  「日本財政と円のリスク」です。

  つまり、例えば50万円を半年に一度ずつ投資したら、終わるまでに10年もかかります。すると投資し終えるまでに日本に大破綻が起こった場合、残額のヘッジをし損ねるというリスクです。

  

4.もう一つのヘッジ方法=借金と組み合わせる

  現在の超低金利を大活用し、自分で住む住宅を購入。もしすでに持ち家アリなら無視してください。聞くのを忘れました。

  1,000万円の金融資産をドルでヘッジすると同時に、円建ての借金を例えば2,000万円すると、消極的ヘッジではありますが、ヘッジ量は3倍にもなります。しかも全額ドルヘッジよりも分散が図れることになります。

  簡単なシミュレーションをお目にかけます。

設問;2,000万円、35年、金利1.5%のローンの価値が金利変動でどうなるか

例えば5年後、残存期間30年、ローン残高1,800万円と想定

30年物金利が2倍の3%に上昇したとすると、ローンの価値はいくらか

これは債券価格の計算と同じです。我々が借りるローンとは、銀行つまり投資家側から見れば債券投資と同じなのです。

計算結果は、現在価値が7割になる、つまり1,260万円になる

インフレの結果金利が上昇すると、ローンの実質価値は減り、上のケースでは3割も減るのです。

  もしさらに金利が上昇して5%になったらどうなるか。すると現在価値はわずか46%に減ってしまう。つまりローンの実質価値は54%も減るのです。

  厳密には借入れ額が毎年減価していくため計算は異なりますが、わかりにくくなるためそれを無視します。

今一度銀行サイドから見ると債券と同じですから、1.5%しか金利をもらえないローンを、金利が3%に上昇したときに売却すると、残存1,800万円のローンが1,260万円でしか売れないのです。


ついでに言えば、こんな超低金利ローンをしこたま抱える邦銀のリスクは、とてつもなく巨大だということです。日本国債から逃げおおせたとしても、そのかわりの資産が超長期住宅ローンだと、こういうリスクを抱えるのです。

  以上が私の回答です。不明な点などあれば、遠慮なくご質問ください。

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トランプの本質 オバマへの恨みと意趣返し

2017年01月20日 | トランプのアメリカ

  一昨日まで4日間、蔵王温泉スキー場にいました。好天に恵まれ山頂近くの樹氷モンスターをたっぷりと堪能することができました。

  今晩、トランプは大統領就任を迎えますが、あえて寸前のタイミングで記事をアップします。

  「トランプの政策には一貫性も整合性もなく、思い付きで言ったことをそのまま政策として掲げている」、と言う専門家の分析に違和感を覚えていました。そして私自身は「彼の政策上の支離滅裂さは、政治家ではなくビジネスマンだからだ」と申し上げていました。しかし就任式を直前にした今、謎が解けました。彼を突き動かしていたのは、

「オバマへの恨み」

それがすべての原動力だったのです。

  昨晩のテレビ朝日の「報道ステーション」の分析が謎を解いてくれました。私は夜10時以降ほとんどテレビを見ないのですが、昨晩たまたま見ていると、ワシントンで取材する小林彩佳キャスターが、「トランプのツイッター34,000をすべて読んだ」と言って、その分析結果を示したのです。TV朝日のHPからニュースの概要を引用します。

引用

「トランプ氏のツイッター徹底分析」

20日にアメリカ大統領の就任式が行われる。就任前から注目が集まっているトランプ氏のツイッター。これまでのツイートは3万4000回以上。今や2000万人がフォローしていて、過激であればあるほどトランプ氏の主張は拡散していく。新聞やテレビなどとは対立し、指先から放たれる言葉で世界を翻弄するトランプ氏。これまでのツイートを独自に徹底分析。すると大統領になるためのち密な戦略が見えてきた

引用終わり

  番組は選挙に勝つための戦略がメインテーマだったのですが、私はむしろ何故彼が大統領を目指したのかの部分に興味を持ちました。そこに支離滅裂な政策の謎を解くカギが隠されていたからです。

  TV朝日によれば、ことの始まりはオバマ大統領を囲むパーティーでの出来事です。いつだったのか、何のパーティーだったのか私は内容をよく覚えていません。しかしそこに出席していたトランプをオバマが5分間も冗談ぽくおちょくったのです。理由はトランプがツイッターで「オバマの出生地はアメリカじゃないので、大統領の資格がない」とつぶやき、オバマが出生証明書を示し彼に反論したのが始まりです。パーティーのビデオでもオバマのおちょくりにトランプが苦笑いする様子が映っていました。

  彼はその直後からオバマに対する攻撃をツイッターで開始。人生のすべてにおいて負けるのが嫌いなトランプの本領がそこから発揮され始めました。しかししょせん大統領に対する一民間人ですので、初めはさしたる注目も集められなかったのですが、一国の大統領に過激な言葉で攻撃を繰り返すうちに次第に注目を集め、ツイッターのフォロワーが増えたと分析されていました。

  彼は自分を攻撃する人間には「100倍返し」をすると公言しています。CNNやニューヨーク・タイムズに対する攻撃も同じ。事実を事実として報道しても自分に都合が悪ければ相手が音を上げるまで徹底的に攻撃する。オバマ大統領は当然彼のツイッターなどに反応などしないので余計に腹を立て、100倍を1000倍にして攻撃を続け、そのまま大統領になることで意趣返しをするに至ったに違いありません。意趣返しの完遂とは、大統領に当選しオバマの成果をすべて否定し去ることだと考え、選挙に勝利することを至上命題にしたのです。

  オバマの成果、あるいはレガシーとは、

・オバマケアー

・「核なき世界」でノーベル平和賞受賞

・TPP合意

・環境問題でパリ協定批准

・キューバとの国交回復

・人種や宗教などの多様性を大事にする

  などがあります。

  オバマケアーやTPP、パリ協定は初日に廃棄すると言い、核なき世界などありえず軍拡競争には負けない、キューバとの国交回復は間違いだ、などと宣言しています。さらにロシアを封じ込めたオバマに対抗するためわざわざプーチンの友人であるティラーソンを国務長官に選んでオバマに当てつける。

  そして黒人初の大統領であるオバマが最も大事にしたのはアメリカという国の本質である人種や宗教の「多様性」ですが、それを白人至上主義の彼が完全否定することで意趣返しする。その一環がメキシコ移民の送還であり、壁を作ることなのです。

  さすがに黒人に出て行けとまでは言えないので、矛先をメキシカンとイスラムに絞り、徹底的に叩きまくることにしたのでしょう。黒人叩きの本音は、最近「トランプは違法大統領だ」と言った有力黒人議員をツイッターで叩きまくる様子からも理解できます。

 

  というように見ていけば、彼の政策は意趣返しによる「反オバマ政策」で見事に一貫性を有していることが理解できます。

  「反オバマ政策」を掲げて大統領に当選することで、オバマへの意趣返しは相当程度達成できています。ではこれ以上何をしようと言うのか。

  それについてテレビ朝日の分析に返りますと、以下のような分析をしていました。

「取材を受けた元トランプの選挙参謀曰く、トランプ氏は選挙という勝負に並々ならぬ意欲を見せ、その後は野となれ山となれというスタンスではないか。」

  つまり、勝つことが至上命題だったため、あとのことなど考えていなかったというのです。これもきっとかなり当たっているのでしょう。

  これでトランプ最初の記者会見のバックグラウンドもよく理解できます。会見では政策の披露など一切なく、言い訳会見に終始し、特定メディアへの攻撃ばかりでした。

 

  一方、相手方のオバマの反応を見ておきましょう。レガシーをすべて否定され巻き戻されることを、決してよしとは思っていないはずです。それが証拠に、オバマはトランプに二つの反論をしています。

その1、昨年12月26日オバマは、「もし3選目の選挙に出ることができたら、勝利できた」と述べています。もちろんトランプは、「ありえない」と反論しました。

その2、オバマは今週最後の記者会見で次のように言っています。

「もしアメリカがおかしくなれば、大統領をやめても私は黙ってはいない」

  大統領職を去る人間としては、異例の態度表明です。トランプの言うことがどんなに面白くなくとも、大統領にいる間は無視を決め込んでいた。しかしいったん市井の人となればトランプに反撃するぞという宣言をしたのです。

  すでにトランプ就任前の支持率は40%と異例の低さで、支持しないが54%に達しました。就任演説の中身も、本当に彼だけがドラフトするのであれば、言い訳と攻撃、中身のない「MAKE AMERICA GREAT AGAIN」に終わるでしょう。

以上

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世界の10大リスク  

2017年01月14日 | トランプのアメリカ

  前回、トランプの初記者会見についてコメントしました。多くの報道がありましたが、会見の中身を最も的確に言い当てていたと思われる解説がありましたので、引用します。私が常に耳を傾けるうちの一人、慶応大学教授でアメリカ政治が専門の渡辺靖氏がNHKニュースで行った解説です。

1.言い訳がほとんどだった

2.商務長官の会見だった

3.後ろ向きの防戦一方で、将来なにをしたいのかわからない

  まったくそのとおりで、実に的確に言い当てていると思います。彼は選挙中も数多くテレビ出演していましたが、かなり早くからトランプの確率はヒラリーと互角だと言っていました。

  吠えまくるトランプのせいで陰が薄くなっていますが、閣僚候補のヒアリングが継続しています。その中でかなり重要なことが起きていますので、一言触れます。前回の記事で触れたことにもかかわりますが、トランプと閣僚候補の発言内容の齟齬についてです。私は大きな齟齬として以下の2点をあげました。

1.国務長官候補がTPPに反対しないと言った

2.司法長官候補(法務長官はあやまりですね)が、イスラム教信者の入国禁止は誤りだと言った

それに加えて新たに一昨日、

3.「狂犬」マティス国防長官候補が、ロシアとプーチンの危険性に言及した

4.CIA長官候補ポンペイオ氏はトランプに従わないこともあると言明した

これについては昨日のロイター記事を以下に引用します。

「必要があれば次期トランプ大統領に従わない覚悟があるとし、CIAの活動を政治利用する動きから職員を守ると表明。大統領に厳しい尋問手法を再び使用するよう命じられた場合は、命令に応じない姿勢も示した。」

  重要閣僚が公聴会のたびに反トランプ姿勢を取ることもありうるとはっきり言明していることは、実に注目に値します。いずれも今後の上院での採決を有利に運ぶための布石とみなせなくもありませんが、しっかりと記録に残る公聴会でこれほど鮮明に反対意見を表明するのは、尋常ではないと思います。

  ということは、各候補とも心の内はトランプに必ずしも従順ではなく、彼の極端な考えに全面賛成ではないと言えます。わずかな光明を見る思いで今後も公聴会を注目していきましょう。

  これらの発言に対するトランプのつぶやきが笑わせます。

  「みんなすきなことを言っていいんだよ」

 

  では毎年恒例のユーラシアグループによる「今年の世界10大リスク」についてです。

  私が尊敬する政治学者、イアン・ブレマー氏が主催するリスクアセスメント会社によるリスク予想です。彼は数年前から世界がアメリカ一極のG1からGゼロの世界になることを予想し、オバマの中東撤退政策を持ってそれが正しい予測だったと結論づけています。そして今回トランプの掲げる「アメリカ・ファースト」でそれが決定的になったとみています。

  今年の予想の中心は他でもない「トランプリスク」です。10大リスクの記述の前に、「まえがき」があるのですが、その内容もほとんどが「トランプのアメリカ」でした。そしてもちろん10大リスクのトップも「わが道を行くアメリカ」と題し、トランプの独自路線の危険性を大きく取り上げています。全部で24ページからなる「10大リスク」のプレゼン資料の3分の1にあたる8ページがトランプのアメリカのリスクに割かれています。トランプインパクトがいかに大きなものであるかの証左でしょう。

  まえがきを少し省略しながら引用します。英語版も日本語版も、長たらしくてとても読みづらい文章ですが、ちょっと我慢してください。

「衝撃的なドナルド・トランプの米国大統領当選を以て G ゼロの世界が本格的に到来した。世界唯一の超大国において「アメリカ・ファースト」が外交の主たる原動力として勝ちを収めたことは、何十年にもわたる米国のリーダーシップが不可欠であることに対する確信との決別を意味する。それによって、グローバル化と米国化が密接に結びつき、安全保障、貿易及び価値の推進における米国のヘゲモニーが世界経済の防護壁として機能していた「パックス・アメリカ―ナ」の 70 年にわたる地政学的時代も終わりを迎えることとなった。  2017 年、世界は地政学的後退期に入る。」

  最後の地政学的後退期という難解な言葉を、以下のように解説しています。

「大規模な国家間の軍事的衝突や主要国における中央政府機構の破綻を引き起こすような地政学的後退期に発展していくとは限らないが、そのような成り行きが、国際的な安全保障及び経済取引それぞれの枠組みの弱体化及び世界最強の国々の政府間の不信の高まりの「テールリスク」として、今や想定可能になっているのだ。」

  簡単に言いなおしますと、「テールリスク」と言う可能性の低いリスクではありますが、大規模な国家間の衝突も起こり得ないことではないと言っています。いつもと違い、かなり恐ろし気なことを指摘しているのが今年の特徴です。

  彼は政治学者で地政学上のリスクの専門家ですから、常にそのリスクを強調するのは当然なのですが、今回ばかりはいつにもまして説得力が大きくなっていると思います。

  かくいう私自身も11月の講演会のメインテーマが極めて政治寄りになっていて、講演会も経済問題そっちのけと言ってよい状態でした。


  では、「10大リスク」の項目を番号順に上げておきます。

1.    わが道を行くアメリカ

2.    中国の過剰反応

3.    弱体化するメルケル

4.    改革の欠如

5.    テクノロジーと中東

6.    中央銀行の政治化

7.    ホワイトハウス対シリコンバレー

8.    トルコ

9.    北朝鮮

10.  南アフリカ

 

  項目のタイトルには、見慣れない、あるいはわけのわからないタイトルがいくつかあります。それについて内容を引用しながら簡単に触れておきます。

 

2 中国の過剰反応

習近平は万人の目が自分のリーダーシップに注目している時に、国益に対する国外からの挑戦があることに対して極めて敏感になっているので、外交政策上の挑戦に対して中国の国家主席として強硬に対応する可能性がいつにもまして高まることになる。そこで米中関係が急激に悪化する可能性が高い。

4.改革の欠如

先進国、新興国ともに政権を担う政治家たちが構造改革を回避し、成長及び投資家たちの新しいチャンスへの期待を損なうことになる。

5.テクノロジーと中東

アメリカでのテクノロジーの発達=シェール革命は中東諸国の収入源をもたらし、政治状況を悪化させる。インターネットはテロリストの武器となり、不満を持つ者同士を結びつける。テクノロジーの発達は教育水準の低い若年人口が多い中東諸国では雇用機会を奪い、不安定化に結び付く。

6.中央銀行の政治化

中央銀行が新興国だけでなく米国、ユーロ圏及び英国で も攻撃に直面している。政治家たちは、そもそも中央銀行に独立性を与えるに到った論理的根拠をさしおいて、ありとあらゆる政治的、経済的問題を中央銀行のせいにするようになっている。こうした攻撃は、金融及び経済の安定を提供するテクノクラート機関としての中央銀行の役割を覆す恐れがあり、それが 2017 年における世界のマーケットにおけるリスクとなっている。

   以上、わかりずらそうな項目を引用しながら解説してみました。

  再度申し上げますが、全ページの3分の1がトランプのアメリカのリスクになっています。それにもかかわらず、「本当にアメリカ大丈夫か?」と聞かれれても私の回答は従来と同じで、

「アメリカそして世界の地政学上のリスクが高まれば高まるほど、米国債の威力が増すことになる」

以上です。


  明日からまたスキーです。今回は3泊4日で初めての蔵王に行きます。スキー大好きなのに、蔵王だけは今まで行くチャンスがなかったので、楽しみです。

  先週までは蔵王のゲレンデの積雪が80cmと少なくて少し心配でしたが、この寒波と大雪で一転。むしろ雪が多すぎることを心配しないといけないくらいになっています。山形新幹線は大丈夫そうですが、山形駅から30分ほどかかるホテルまでの道のりがちょっと心配です。と言っても雪に慣れた雪国のこと、きっとしっかりと道路を確保してくれるでしょう。

では行ってきます。

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トランプのアメリカ

2017年01月12日 | トランプのアメリカ

  今回は先週ユーラシアグループが発表した恒例の世界の10大リスクについて書くつもりだったのですが、昨晩のトランプの初インタビューがあまりにも面白い結果だったので、今回もトランプ関するコメント記事にしました。

 

  午前1時から眠い目をこすりながらCNNを見ていましたが、会見のあまりのひどさにすぐにパッチリと目が覚めました。77分の会見中きわだったのが以下のポイントでした。

・ロシアのハッキングなどない、とあれほど繰り返していたトランプが、「あった」とあっさり認めた

・ロシアのハッキングに関する未公認文書をCNNが根拠もなく報道したと非難し、CNNと全面戦争になった。CNNは会社として報道の事実を否定している。

・CNNをウソツキ呼ばわりして一方的に非難し、CNNのキャスターの質問を遮り、「お前らウソツキ報道に回答はしない」と完全拒否した。その後このキャスターはトランプの報道官になるスパイサー氏から、「トランプの会見には出入り禁止にするぞ」と脅しをうけたことを明らかにした

  今後のCNNとトランプの争いは見ものです。

・会見全般を通して経済政策や外交方針などに関してきちんとした政策など示さず、ひたすら「GM、フォード、クライスラーはオレ様の言うとおりになった」などという、いつものオレ様トークに終始した

・自分のビジネスと大統領職の利益相反については、顧問弁護士に20分もの大演説をさせ、問題がないとお墨付きを得たように見せた

  以上が私の勝手な印象です。

  大統領が報道に対して暴言を吐き続ける、それこそが一昨日メリル・ストリープが声をつまらせながら言った、権力者が立場を利用して他人をいたぶる」そのものでした。

  そして報道官候補からCNNへの脅しは、私が独裁者の典型的資質としてあげた「報道の自由を奪う」姿勢そのもので、とてもアメリカで起きているとは思えません。

  政権内部の支離滅裂ぶりは彼のみにとどまらず、閣僚候補の上院での委員会答弁でも噴出しています。閣僚候補は就任するために上院の承認が必要のため、ヒアリングでは真剣勝負をしています。

トランプと閣僚候補との齟齬をあげておきます。

・貿易政策で最大のポイントであるTPPに関して、プーチンとの親密ぶりを指摘されている国務長官候補ティラーソン氏は、「TPPに反対しない」とのたまわっています。一方、トランプは相変わらず完全に反対したままです。

・前日に行われた法務長官候補であるセッションズ氏は、トランプの「イスラム教徒入国禁止」について反対の立場を委員会で表明しました。それはいいのですが、彼自身は「人種差別主義者」のレッテルを張られている問題ありの人物です。

  とまあ、予想されたことではありますが、大統領候補がこれまでとは正反対の答弁を臆面もなく繰り出し、閣僚候補が彼と正反対の方針を表明しています。そして、今後何人もの閣僚の適格性を問うヒアリングにおいても同様なことが積み重ねられます。

  TPPですら重要閣僚候補から正反対の意見が出ています。私はそうした朝令暮改かつ支離滅裂なトランプ自身と政権内部の動向を予想して、「金融市場予想に反映させるのは意味がない」と申し上げていますが、まさに毎日のようにそれが目の前で展開されているのです。

  おかげでこの日のNY株式市場は、彼の言葉を反映しながら荒れ狂っていました。金融市場関係者の方々には再度、「お気の毒様」とだけ申し上げておきます(笑)。

  次回は世界の10大リスクに関する私のコメントです。

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メリル・ストリープの思い出

2017年01月11日 | エッセイ

  昨日、ゴールデングローブ賞の受賞スピーチでメリル・ストリープが、これ以上はないほど真摯な態度で、身障者の新聞記者に対するトランプの非道ぶりを非難しました。

BBCのオンライン・ニュースから部分的に引用します。

引用

ストリープさんは、「私にもっとも深い爪痕を残した演技は、この国で最も尊敬される席に座ろうとする人間が、障害のある記者を真似した姿でした」と、トランプ氏が選挙戦中にニューヨーク・タイムズ紙のセルジュ・コバレスキ記者を模倣して嘲笑したとされることに言及。

「特権や権力、抵抗する力のすべてにおいて、自分が勝っている相手です。これを観たときに私の心は砕けてしまって、いまだに頭の中から追い出せない。人に恥をかかせてやろうというこの本能を、発言力のある権力者が形にしてしまうと、それは全員の生活に浸透してしまいます。というのも、こういうことをしていいんだと、ある意味でほかの人にも許可を与えてしまうので。他人への侮辱は、さらなる侮辱を呼びます。暴力は暴力を扇動します。そして権力者が立場を利用して他人をいたぶると、それは私たち全員の敗北です」とストリープさんは訴えた。

それに対してトランプ氏はツイッターで、自分は障害のある記者を「馬鹿などしていない」と従来の反論を繰り返した上で、「メリル・ストリープはハリウッドで一番評価され過ぎてる女優のひとりだ」とツイート。さらに「大敗したヒラリーの取り巻き」だと書いた。

引用終わり

  彼が障害者を真似たしぐさは、私が見ても目を覆うほどのひどいもので、繰り返しビデオが流れているにもかかわらずその事実を否定し、メリル・ストリープを非難しています。

  頑張れメリル、絶対に負けるな!

 

  私のニューヨークに対する思い入れは、彼女の出演した映画から始まりました。1986年夏、ロンドンからニューヨークに飛ぶフライトの中で、ロバート・デニーロと共演した「恋におちて」を観たのです。映画の中の風景は旅行者の知らない、「これぞニューヨーク」が満載でした。

  ニューヨークに到着したのが土曜日の夜で、月曜日の仕事まで1日の休息があり、大学の同期で一緒にJALに入社した友人がニューヨークを案内してくれたのです。どこを見たいかと言われ、迷わず「「恋におちて」のロケ地を観たい」と言うと、喜んで案内してくれました。

  彼ら二人が雪の降るクリスマスに初めて出会ったマンハッタンの本屋、バーンズ&ノーブル、二人が通う郊外電車と郊外の駅ダブスフェリー、終着駅のグランドセントラル・ステーション。そしてセントラルパークのレストラン、タバーン・オンザ・グリーン。そこでランチを食べたときには、すっかりニューヨークにはまっていました。特に印象に残ったのは緑深い郊外、ウェスト・チェスターの素晴らしい住宅街でした。

  大都会と摩天楼だけを想像していた私には、たった30-40分電車に乗るだけでまるで軽井沢の別荘地帯に着いてしまうニューヨークは、別世界としか思えなかったのです。

  世界を一周した出張から本社に帰ってみるとビックリ。上司から「林さん、ニューヨークの北米本社に転勤しない?」と言われたのです。二つ返事で「行きます!」と答えた時、その後の人生が大きく変ってしまいました。なにしろJALから投資銀行に転職するきっかけになったのがNYへの転勤だったのですから。

  ニューヨークの冬はとても寒い。最低気温はマイナス20度にも達します。その寒さを楽しむにはスキーをすることです。大学のもう一人の同級生でJALに一緒に入った友人が、私の少し前にNYに転勤になり、あこがれの郊外の一軒家に住むことになりました。私も転勤してすぐさま隣町の一軒家を借りて住むことにしました。ラッキーなことに、彼はスキーの先生だったんです。2家族で毎週のようにスキーに行きました。彼の記憶によれば、なんと13週連続でスキーをしたというのですから我ながらびっくりです。

  ある週末、家から2時間ほどのスキー場、キャタマウントに行った時のこと。みんなでランチを食べていると彼が、「あっ、あそこに座ってるのメリル・ストリープだ」と言うのです。なるほど、ほとんどスッピンでしたが、確かにそれはそれは美しいメリル・ストリープでした。友人は奥さんがいるのに、なんと彼女のところに行って握手をし、満面の笑みで帰ってきました。私にはその勇気はありませんでした。残念・・・

  という思い出話でした。

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