ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(フィクストインカムの専門家)

「証券会社が売りたがらない米国債を買え」ダイヤモンド社刊
電子版も販売中

コロラド・ヴェイルでのスキー その2

2017年03月24日 | 旅行

  今回のスキーでもゴンドラの中やリフトで多くの現地スキーヤーと話すことができました。ゴンドラは8人乗りで20分くらい乗るため、そのたびに多くの人と話をする楽しみがあります。

  テキサスから来ている同年輩の男性とゴンドラで話をしました。彼は証券会社を退職後、資産運用のアドバイザーをしていて、本も書いているとのこと。私と全く同じようなキャリアで、意気投合しました。なぜテキサスからここまで来ているのかと聞くと、ヴェイルが好きでセカンドハウスを持ち、夏は避暑、冬はスキー場でボランテイアのホストをしているとのこと。ウラヤマシー!

 ホスト?

   どんなことをするかと言いますと、街中に多くの中高年男女のホストがいて、ゴンドラ乗り場はこちら、スキーのレンタル屋はこちら、レストランはどこがお薦め、などと案内をしてくれるのです。

   そしてゲレンデにも多くのホストがいます。広大なコースの道案内をしてくれたり、コースの難度のアドバイスをしてくれ、初めての人はとても助かります。そしてスキーヤーの安全を確保するためのセキュリティーもボランティアの仕事です。スキーヤー同士がぶつかったりするとすぐに救助に飛んできます。日本では見たことのない、とてもよい制度です。

  リフトで乗り合わせたIT企業の経営者とはとても面白い話題になりました。それは、「日本人はトランプ大統領をどう見ているんだ」という質問からです。私は正直に、「アメリカはとんでもない人を選んだね。我々は彼を厄介者だと思っているよ」と言うと、「ホントに嫌になる。世界の恥さらしだよ」と彼も全く同感だと言っていました。

   現地滞在中はトランプがつぶやいた「オバマがトランプタワーの電話盗聴を指示した」とのニュースで持ち切りでしたが、私が話したほとんどのアメリカ人の反応は、「彼のいい加減なつぶやきは、もううんざりだ」でした。なぜかスキー場でトランプ支持者には会いませんでした。


   海外でのスキーリゾートの楽しみはスキー場だけではなく、アフタースキーにもあります。日本のスキー場のほとんどがスキーリゾートと呼ばれない理由はアフタースキーがほとんどないためです。

   日本でも海外スキーヤーの増加や海外資本によるスキー場エリアへの進出で、リゾートらしさができつつあるところがあります。私が何度か紹介させていただいたニセコを筆頭に、野沢温泉、白馬八方尾根の一部です。それらもかなりの部分海外スキーヤーの増加と投資によってもたらされた新たな風です。

   では、ヴェイルというリゾートはどんなリゾートか。ちょっと町の雰囲気に触れていただきましょう。

   スキーを終えて麓まで滑って戻ると、ゴンドラの乗り場付近にはたくさんのオープン・カフェが並んでいます。そこでビールや暖かい飲み物で疲れをいやすのが、スキーヤーにとり最高のひとときです。

   カフェの隣には「メンバー・スキー・ヴァレー」と書いてある建物があり、みんな立ち寄っています。ヴァレーとは、駐車場のヴァレー・パーキングと同じですが、メンバー制のスキー用具置き場です。

  名前を告げると自分のスキー用具一式を持ってきてくれます。ここに預ければ、ホテルとゴンドラの往復で、歩きづらいスキーブーツを履いたり、重いスキー板を持たずに済むのです。スキーを終え隣のカフェでくつろぐときには、すでにブーツを脱いで解放感に浸れるのです。ブーツを脱ぐ解放感は、スキーをされる方でないとわかりづらい解放感です。こうした工夫は日本にはなかなかありません。

   そこはメンバー制ですが、実はこれがヴェイルのミソなのです。「その1」でリフト代が一日で2万円と極めて高く、5日間でも一日当たり1万4千円だと書きました。しかしシーズンパスを買うとなんと何日滑っても800ドル、10万程度です。そして用具は常にここに預けることで、シーズン中はいつでも快適にスキーを楽しむことができるのです。すべてがリピーターを囲い込む工夫です。ヴェイルの周辺には別荘地帯がたくさんあります。ほとんどの人たちはシーズンパスを持っています。

   いやそれどころか、最近はコロラド州全体が「別荘地」ではなく、リモートで仕事をする人たちの「居住地」になっています。夏は涼しく、春秋は釣り、ハイキングやサイクリングを楽しみ、冬は寒いですがスキーを楽しむことができます。ガイドのジミー大西も、夏場は釣りのガイドをしているとのこと。

  仕事で場所を選ばないITの技術者や、金融関係者でもファンドマネジャーなどがここに暮らしてリゾートライフを楽しみがら仕事をしているのです。リフトで乗り合わせた人でも、住みついている人が結構多くいました。リタイア族ももちろんたくさんいます。リタイアメント・ハウスを子供や孫たちのための別荘にもしています。すると自分たちも定期的に家族と一緒に過ごすことができます。なんともうらやましい生活です。

  ただ、ロケーションのよい別荘は非常に高額です。ガイドのジミーによると、1ベッドルームにリビングで百万ドル、1億円超え。1部屋付くごとに20-30万ドルのプラスになるそうですから、大都市近郊の高級住宅とかわりありません。


   では、ヴェイルの街を簡単に案内します。多くのスキー用品屋が並ぶのはもちろんですが、レストランや高級ブティック、そしてアート・ギャラリーがたくさんあります。建物はヨーロッパの雰囲気を持つ、重厚な作りです。そして我々が驚いたのは、街中の歩道に雪がないことです。ヴェイルの歩道はすべてヒーティングしてあって、雪で滑ることがないようにしているのです。

   それはスキー場でも同じで、ゲレンデからレストランに行く歩道や階段はすべてヒーティングして雪を溶かしています。こうした整備のよさこそがヴェイルの真骨頂で、リフト代が高いのも納得できるのです。

   こうしたリゾートの雰囲気を持つ街には、アーティストもたくさん住みつきます。ゴルフ・リゾートのペブル・ビーチのそば、カーメルの街もそうでした。街中にもアートがあふれています。

   我々は毎晩違ったレストランで食事をすることが楽しみの一つでした。アジアン・エスニックから始まり、イタリアン、ステーキハウス、スイス料理、メキシカンと味わい、最後はまたステーキハウスに。何故そこだけ2回行ったかと申しますと、もちろんすごくおいしかったからです。東京にあるアメリカのステーキ・レストラン、ロウリーズをご存知のかたなら、あそこのリブステーキの美味しさをご存知でしょう。それと同等のリブステーキが食べられました。

   そこのウェイターがすごく面白い白人男性で、名前がなんとケン・ハヤシだというのです。私はケイイチなので、アメリカではケイ・ハヤシと呼ばれていましたので、私はケイだけど、同じハヤシだというと、彼の名前の漢字は渡辺「謙」と同じだと言うのです。

 いったいどうなっているのか?

   実は彼の父親は離婚後新たな日本人の妻と岐阜で暮らしていて、日本には20回以上行っているのだそうです。日本語もある程度できて、とても面白い会話ができました。

   日本では味わえない素晴らしいスキー場とアフタースキーの楽しみ、それがヴェイルでした。

   では3年ほど前に行ったフレンチ・アルプスのヴァルディゼールとどちらが上か。私の個人的感想は、「ヴァルディゼールが上」です。一緒に行った仲間の感想も、ヴァルディゼールが上だと感想を持っています。

   理由は、まずモンブランを望むアルプスの景観が、ロッキーの景観を上回ること。スキー場の広さ、ボウルの他に氷河を滑れる多様性。そして街の雰囲気やレストランの食事内容など、アフタースキーを含めても、すべてにおいて若干ずつヴァルディゼールが上回っている印象を持ちました。

   それでも「次回はどちらへ行くか?」と聞かれると、アクセスの容易さで何故か「ヴェイル」を選びます。ヴァルディゼールはすごくよいところなのですが遠い、それが私の結論です。

 おわり

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コロラド・ヴェイルでのスキー その1

2017年03月21日 | 旅行

  みなさんはコロラドにあるヴェイルというスキー場をご存知でしょうか?

  私はすぐ隣のユタ州にあるソルトレイクのスキー場に行った時に聞いたことがある程度で、よく知りませんでした。全米で一番大きなスキーリゾートと言うのが謳い文句です。日本では絶対に味わえない、素晴らしいスキーを満喫することができました。

   何がって?

   ロッキー山脈の景色、ゲレンデの多さと多様性、とても安全なゲレンデ外滑走の楽しさ、そして整備の素晴らしさと、スキーの楽しみのすべてが詰まっていました。3,500m地点の写真です。スキーヤーのむこうは4,000m級の山々が連なり、思わず見とれてしまいます。

   東京からデンバーまで10時間。そこからバスで2時間半と比較的簡単に行くことができます。でも最初に予約を入れて驚いたのは、リフト代の高さです。我々は5日間滑ることにしていたのですが、シニア代金が7万円也。1日平均1万4千円。1日のみだと何と180ドル・2万円もするのです。日本でのシニア料金が3日間割引で1日平均3千円5百円くらいですから、なんと4倍です。

  しかし、実際にスキー場に行ってみると、確かにその価値があると納得できます。スキーをされない方のために、一体どこがちがうのか。 

  一口で表すなら、ただの温泉宿と星野リゾートの違いでしょうか。

  ロッキー山脈の真っ只中にある景色の雄大さ、パウダースノーの雪質、ゲレンデの整備状況、滑走距離の長さ、スキーヤーの安全性への配慮、そしてレストランを含むサービスです。

  ここの経営はヴェイルリゾートマネージメントという会社が、トータルにマネージしていて、何から何まで隙が無いのです。例えばゴンドラやリフトの乗り降りのサポート、運行スピード、リフトのベンチは日本のような寒さを感じる板敷きではなく、クッション付きで暖かく快適。足乗せサポートも全て備わり、騒音も振動もほとんど無し。

   そしてなによりも、コース整備の素晴らしさです。スキーヤーにとって、夜のうちにゲレンデを平らに均してくれるか否かは、死命を制する大問題なのですが、それが行き届いているのです。コース数は200近くあり、毎朝インターネットで整備済みのコースをチェックすることができます。現場でもすべてのスタート地点に整備済みか否かの表示があります。

   そのことがどれほど違うか。自動車できれいに舗装された高速道路を突っ走るか、穴ぼこと砂利だらけの道を穴にハマらないように気をつけながら走るかの違い、と言えば分かると思います。快適さは100倍も違います。

   中には穴ぼこだらけのコースを巧みに行くのが好きな人もいます。オリンピックで言えば上村愛子のモーグルです。その人たちにためには、モーグルコースがいくつも設定されています。オリンピック仕様のジャンプ台が2つあるモーグルコースも自由に滑走できます。私は絶対にやりませんが(笑)。

   そしてここの最大の特徴は、日本にはほとんどないボウルと言われる雄大な滑走コースのある事です。その数9箇所。山登りをされる方なら、北アルプスの唐沢カールや槍沢をご存知だと思いますが、ボウルそれにあたります。3,400mから標高差800mほどを、一気に滑ることができます。

   ヴェイルの規模を標高差で表しますと、デンバーはマイル・ハイの1,600m、ホテルのあるベースの街が標高2千4百メートルで、そこからゴンドラとリフトをつないで登った山頂が3千5百メートルです。槍ヶ岳の頂上より5百メートル高い所から標高差1千メートルを滑り降りるのです。真面目な話、高所恐怖症や高山病にかかりやすい方には向いていません(笑)。

   コロラドは日本のマラソンランナーなどが高地トレーニングをする場所でも有名です。3千メートルを超えるスキー場では十分に体を慣らさないと、危険です。我々もガイドの勧めに従い、初日は上級者のコースには入らず、ゆったりと滑り、体を慣らしました。標高3千メートルの酸素量は地上の7-8割しかないそうで、一緒に行った7人の仲間の一人は、時々不調を訴え、休むことがありました。

   そして日本のスキー場では絶対に滑ることが出来ないのが、崖っぷちからのダイビングスタートです。山頂に連なる峰の垂直な斜面、あるいは雪庇の上からボウルに向かってダイビングスタートするのです。私が試したかって?

  もちろん、やりません。命が惜しいので(笑)。

   リフトから近いので、みんなが「ヤレー、トベー」と囃したて、それに手を振りながら飛ぶ腕自慢がいっぱいいて、見るだけでも結構楽しいのです。傾斜角度は雪庇部分は垂直以上、途中からは60度―45度くらい。我々がリフトから見ていた時に雪庇から飛び降りた二人組ですが、一人は成功、もう一人は落ちた途端に板がはずれ、雪の中でもがいていました。こうした場所はもちろん雪崩の危険性があります。そこはヴェイル・リゾートのこと、危険個所はたびたびダイナマイトで人工雪崩を起こして整備をするそうです。

   我々が5日間のツアーで、どれほどのコース滑る事ができたかと申しますと、全コースの10分の1程度です。残りの多くはいわゆる未舗装路なので、舗装路のほとんどは制覇できました。そして9つのボウルのうち滑ったのは4つ。あとの5つは頂上にたどり着くだけでも大変なので諦めました。

   そして滑っているうちにお気に入りコースが出来てきて、そこをついつい滑りたくなるのです。最高のお気に入りはナンバー2の6人乗り高速リフトで15分くらい乗り、ほぼ直線を一気に滑れるコースで、平均斜度20度、うち最大斜度30度が150-200メートルほど続く、高速コースです。八方尾根をご存知の方なら、リーゼン・クワッドからうさぎ平リフトを乗り継ぎ、黒菱からスタートし、リーゼンの終わりくらいまであると思います。パウダースノーのスピード滑走は、最高でした。

   これだけの広大なコースを初めて行って堪能するには、ガイドが必要です。我々は7人連れでツアーの組み立て、予約、そしてガイドを、日本人がやっている「スキーアメリカ」という現地エージェントに頼みました。奥さんが経営し、旦那さんはガイドです。

   もしヴェイルに行ってみようという方には、ここをお勧めします。希望に応じたホテルから、ディナーの予約まで、懇切丁寧に応じてくれます。ガイドのジミー大森さんは50代の方で、スキーの腕前は300人もいるヴェイルの先生たちの先生ができるほどで、実はヴェイル・リゾートの元社員でもあり、コースの成り立ちの歴史からよくご存知でした。

   ヴェイル・リゾートという会社は上場会社で、コロラドだけで4箇所のスキー場を経営し、何年か前にはカナダのバンクーバーにあるウィッスラーとブラッコムも買収して傘下に入れています。彼らの事業拡大意欲は旺盛で、日本のスキー場事情もよく調べていて、オーストラリア資本の進出や中国資本の物色の様子まで知っているとの事。

   この会社のリゾート開発とマネージメントは、地域全体と協力したトータルなもので、スキー場さえ儲かればよいというものではなく、四季を通じて楽しめるリゾート経営を行っています。そして、スキーヤーを増やす努力もしていて、ニューヨーク近郊の小さなスキー場も買収して子供たちのスキー教室を開き、上手になったらいつかはヴェイルへ、と言う長期ヴィジョンを持っています。1日2万円のリフト代を払っても行きたいという、夢のリゾートを作っているのです。ちょっと宣伝ぽくなってしまいました。

つづく

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ウソばかりの世の中だから、本物に投資をしよう

2017年03月19日 | 米国債への投資

  この1・2年、世の中がウソであふれているように思いませんか。

  特に国家を動かす側の人間のウソが目に余ります。

   昨年はBREXITキャンペーンで離脱派のボリス・ジョンソンやファラージがイギリスのEUへの拠出金を3倍に水増しするウソをつき、勝利しています。しかも勝ったとたん2人ともに逃げるというまさに公約違反のウソをつきました。

   トランプは選挙中言っていることの75%がウソとデマカセだと統計を取られています。その後も得票数でヒラリーに負けると、ヒラリー票の300万票がウソだとウソをつき(笑)、証拠が出せないので黙った。

   就任演説の聴衆数でオバマにメチャ負けているのに、史上最大だとウソをついた。それを指摘するメディアはウソツキだとウソを言った。大統領顧問の女性、コンウェイは、このウソは「オルタナティブ・ファクトだ」というウソで有名になった(爆)。

  先週私がアメリカにいた時、報道はトランプのウソ一色だった。トランプはウソを指摘されることに全くめげず「オバマがトランプタワーの電話を盗聴した」とウソ言い続け、上下両院の情報委員会が証拠はないと否定、そしてFBIからも証拠がないと完全否定された。

  それでも彼が最もよく使う言葉の一つが、

   BELIEVE  ME ! (爆)

  ジョークを通り越している。いくらウソがバレても支持者、いやトランプ大主教の信者数は減らない。


   日本でも防衛省制服組が証拠を隠し、廃棄したとのウソをついたがバレた。東京都は築地移転問題でウソのつきっぱなしだった。

   前都知事が2人もそれぞれのウソで失職し、来週はまた大本命の元都知事が知らぬ存ぜぬのウソをまき散らしそうだ。ついでに南場智子氏のDNAも、おまとめニュースでウソを2万件もつきまくりだった。

   森本学園問題では財務省や渦中の人間など、いったい何人がどれほどのウソを言っているのか、見当もつかないほどウソのテンコ盛りだ。

   すぐバレるウソを平気でつくのがサイコパシーだとすれば、世の中はサイコパシー人間であふれている。いったいどうしたのだろう。

  これでは世の中の情報の大半がウソだと思っていないと、正直者の我々は道を誤る。

   こんな世の中を間違いのないように泳いでいくにはどうしたらよいのか。どうやら自分でウソとホントを見分けるワザを身に付ける以外になさそうだ。

 

 さて、ではホントの話をしましょう。

    ブログのコメント欄では「米国債投資が損失を出している、どうしたらよいか」という書き込みがありました。

     このところ米国債長期金利が上昇し、投資チャンスが到来していますが、その一方で昨年までの低金利の時に投資をした方は、年限によっては評価損が出ています。

    特に地方銀行は、昨年来マイナス金利で利の乗った日本国債を売却し、そのカネで外債投資を行ったため、今期決算で損失を計上する見込みだと報道されています。

   今回はそうした評価損がどの程度であるか、個人投資家はどうすべきかをアドバイスします。

   例として金利の低かった昨年の8月1日に投資したとして、現時点での金利上昇のインパクトを計算し、評価損益をお示しします。10年債と30年債を例にとります。

・10年債 金利1.6%を 16年8月1日に為替レート102円、価格100で購入

・30年債 金利2.3%を   以下同

   現在の10年債利回りを2.5%、為替を113円とすると、評価損はどうなっているかを計算します。厳密には9年半くらいの残存ですが、9年半のイールドを入手できないため、近似値としてそのまま10年の利率を採用します。

 するとドル建ての

・10年債価格は、100が92.53になったためロス

・30年債価格は、    84.65になったためロス

 一方、為替は 102円だったドルが113円に上昇 113÷102=10.8%ゲイン

 その結果昨年8月1日にそれぞれ100万円購入した場合、現在の評価は

・10年債 102.5万円

・30年債  93.8万円

  10年債は価格の下落より為替の上昇が大きく、25,000円の評価益が出ている。それに加えて、年率1.6%の金利の7か月分9,300円を得ているため、単純計算で 34,000の益となる。

  30年債は価格の下落のほうが為替の上昇より大きく、62,000円の損失が出ている。しかし7か月分の金利13,400円を得ているため、48,600円の評価損となる。

  債券の評価損益の計算は複雑でわかりづらいので、私はキャピタルゲイン・ロス、為替のゲイン・ロス、金利のゲインと3つの要素に分けて数字をお示ししました。

  これがゼロクーポン債でも、さほど大きくは変わらないのですが、ゼロクーポン債の場合、金利が元本変動に含まれていてわかりづらいため、ここでは通常の利付債を例にとり、計算をお示ししました。

   では、30年債のように大きな評価損が出ている場合、どうするべきか。

   そもそも債券投資を複雑にしているのは、地方銀行のように四半期ごとに評価損益を算出するからです。なぜそのようなことをするのか。それは地銀のような機関投資家の多くが、持ち切り投資を前提に投資しているのではなく、途中での売却を前提にするからです。もちろん会計原則も、評価損益を計算しろとなっているからですが、我々一般の個人投資は違います。償還まで持ち切るので評価損益を気にする必要はありません。

  私がみなさんにお薦めしているのは、あくまで持ち切り投資です。債券はいくらで買おうが最後は必ず100で償還されます。100より高い価格で買う場合、クーポン金利が十分に高いため、最後まで持ち切って金利を得ていれば、ドル建てで損失することはありえません。

   その安心感が債券投資の安心感の大元です。最近相談された定年退職さんや地方勤務医さんも、円のリスクに目覚めてヘッジのため米国債投資を考え、ストレスフリーの世界に入ろうとされています。

   もちろん為替変動や金利の変動で超長期債は評価損・益が大きくなりがちです。それでもこれまで米国債を買われた大勢の方が、ストレスフリーの資産運用を心からエンジョイされています。これから投資をされる方も、買ったらあとは慌てず騒がず寝て暮らしましょう。

   最後に「フィクスト・インカム」について。

   アメリカでは債券投資のことを「フィクスト・インカム投資」と呼びます。私のブログのサブタイトルにも「フィクスト・インカムの専門家」と表示しています。今回コメント欄でいただいた質問にアドバイスを差し上げている中で、多くの方が定期的に金利収入を得られるフィクスト・インカムに目覚められたようです。それこそが本来の意味での債券投資です。金利上昇の果実を収入として得ることを、是非選択肢の一つとして検討してみてください。

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定年をひかえる地方勤務医さんへの資産運用アドバイス

2017年03月03日 | 定年退職時の資産運用

たいへんお待たせしました。

定年はまだまだの地方勤務医さんですが、私なりのアドバイスを差し上げたいと思います。

まず現状と将来を概観してみましょう。

 

現状

預金6,000万円

まずはよかったですね。何もせず、失敗もなく、トラの子が安全に保たれていて。それがなによりですよ。

>5年前に8000万で自宅を購入し残債が3000万程度となっております。

地方で8千万とは、すごいおうちなんでしょうね。52歳という年齢と年収を考えると、きっと残債は65歳の定年退職までに返済できると想像します。先走って返済する必要は全くありません。借金はインフレヘッジですので。

将来

65歳からは年金収入だけでも暮らせるはずです。持ち家があって当初の10年が40万であればなおさらです。75歳を過ぎたら、必要なおカネは少なくなります。

もっともその前に、ご自身が医師で定年退職後も働く気があれば、かなりの年収を得られるはずです。勝手な推測ですが、70-75歳くらいまでなら年金と同等どころか、それよりはるかに多く収入を得られるでしょう。 

医師不足の日本ですから、元気でいる限り是非とも世のため人のため、お仕事の継続をお願いしたいと思います。リタイアはそれからで(笑)。

そう考えるなら、現在の預金と退職金はかなりの部分を安心安全のためドルでヘッジされることをお薦めします。「定年退職さん」へのアドバイス、あるいは著書でもお示ししたように、円への偏りがなによりもリスクです。

 預貯金・退職金の全部をドルにしたところで、不動産や今後の収入を足し上げた額の半分以下です。では

 

提案その1.大胆案   代替案ではありません(笑)

6千万円をすぐに超長期の米国債、それも利付債へ全額投資。

 ちなみに今、珍しく野村証券のサイトに、30年の3%クーポン付きが出ています。

それを買うと、円貨ですが半年ごとに90万円、年に180万円が30年入り続けます。税引きでも144万円、毎月12万円もらえて、最後に6千万が償還されます。その間の円リスクはフルにヘッジできます。別に円安に振れなくとも、よい投資だと思います。一つぜいたくな難点は、82歳で6千万円ものキャッシュがもどってしまうことです。

 といってもそこまでは踏み切るのはかえってストレスになる可能性がありますので、

 提案その2.普通案

今後1年かけて6千万の半分から3分の2程度、3千万から4千万を徐々にドルに転換してはいかがでしょう。

偶然にもFRBによる利上げ機運が高まっていて、長期債の金利も上昇しています。為替と金利の難しい変動予測などせずに、ドルへの転換即米国債への投資をお薦めします。つまり直接ドル建て米国債を買うのです。

 例えば今の114円、10年債2.45%は好条件です。

 今後もし円安になったときには金利高になっているはずだし、逆に円高だと金利は低いけど、ドルを安い時に買えることになります。

こう考えれば、1年を何回かに区切って投資タイミングを決め、トランプ相場を楽しむのも手でしょう。

何故数年でなく1年なのか。理由は、これだけいい加減な大統領のいい加減な政策が続く時代に、適切な為替予測や金利予測は誰にもできませんし、この1年で大揺れしそうだからです。そして数年に分けると、日本の破たんが始まってしまう可能性があり、ヒヤヒヤするかもしれないからです。

 例えば1千万円を4回、合計4千万円を1年間で投資するとします。

対象の米国債は将来の楽しみに備えて10年物から5年ごとくらいの長期債に分散して満期時期を分け、5年ごとのボーナスを楽しむのです。10年債の次は15年債、20年債・・・というように。

そして私の地方勤務医さんへのお薦めはゼロクーポン債ではなく、大胆案にもあった「利付債」です。多額の預金があって、今後も長く収入の見込める方は、元本を増やす必要がありません。

例えば1年後に最後の1千万で25年債を買うとします。すると満期を迎えるころに78歳になっています。そこで大きなボーナスをもらっても使いきれません。今の金利でも元本がおよそ2倍にもなってしまいます。それよりも利付債で半期に一度、小さいながらもボーナスが出ていたほうが、楽しいですよ。そのたびに奥様と旅行を楽しむことができます。そうでもしないとこれまでの地方勤務医さんの生活同様、たぶんお金を使わないと思うからです。

「金利はすべて使い切る」

「宵越しの金利はもたねー」ことにするのです。

 

ここまでのアドバイスは私流のアドバイスです。そのまま従う必要は全くありません。投資時期、購入金額、満期時期などはご自分の生活設計、遺産の計画をしながら、じっくりと考えてみてください。わくわくした将来像を描けるはずです。

 

なんだか将来必ず当たる宝くじ、「取れるタヌキの皮算用」をしているようで、うらやましいですね(笑)。

 

今後も金利が上昇してくれば、利付債は実に素晴らしい投資対象です。

他のみなさんも今一度、利付債を検討対象に加えてみてください。

 

以上が地方勤務医さんへの私からのアドバイスです。

ご質問などあれば、いつでもどうぞ。

 

ただし、私はあさって日曜日から10日ほどコロラドのヴェイルというスキーリゾートにでかけます。今年何と6回目のスキー。我ながらあきれます(笑)

 

でもトランプちゃんが「貿易戦争中につき、日本人出入り禁止」などとご乱心しないうちに行ってきます(笑)。

ブログはもちろんチェックするつもりですが、返事が遅くなるのは、どうかお許しください。

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日本につける薬の話 その2

2017年02月28日 | 大丈夫か日本財政

  今を去ること3週間ほど前に「その1」を書きましたが、今回はその続きで2回目です。何人かの方からコメント欄でも解説を依頼されていました。

   1回目の後は定年退職さんの「はじめての資産運用」のお話になり、そのまま3週間が過ぎてしまいました。この議論には多くのコメントをいただき、きっとみなさんのお役に立った重要な議論だったと思います。

   では本題です。日本の行く末ばかりでなく、みなさんの保有資産の将来の価値を減少させようという、捨ててはおけない重要なお話ですので、みなさんもしっかりと今後の議論の行方を見極める必要があります。

 1回目の記事を要約します。

   日経新聞が日曜版にフルページで、クリストファー・シムズ教授の財政理論(FTPL)をインタビュー形式で解説しました。ノーベル賞を受賞したプリンストン大学教授の理論が、日本経済一発逆転の切り札になりそうだと、内閣顧問の浜田宏一氏などが評価しています。

   まず手順について日経の記述を引用します。

   政府が財政支出を増やす

   企業や個人が将来の財政悪化を懸念する

   お金の価値が下がる

   インフレが発生する

  そのインフレで政府債務の実質価値を減らそうというものです。物価上昇がゼロ近辺だと、金融政策では限界があり、財政出動の番なのだそうです。

   そして政府は財政支出を増やしても、「増税はしません。インフレで借金を返します、と公約すればいい」、とあります。

「政府のトップが『インフレを起こす準備ができている。それを債務返済に使う』と言えば、人々の予想を十分に変えることができる」と教授は言っています。

   私は債券の専門家の立場から批判的見解を述べます。まず、一番大事なのは、

①  国債の価値を毀損してやる、と政府が言い放つのと同じ

こんなたわけたことを言う政府はいないということです。もしいたら、自ら「借用証書など破って捨ててやる」と言うような政府に、誰も金輪際金を貸さないでしょう。

  「投資家がいてこそ成り立つ国家債務の話を、投資家抜きで考える机上の空論にすぎない」

  これがまず債券の専門家からシムズ氏への一撃です。他の経済評論家や金融評論家からこの重要な批判は聞こえてきません。私が知らないだけかもしれませんが。

②   政府が財政支出を増やす

日本ではすでに20年以上財政支出を増やし続け、人々は十分過ぎるほど懸念をしています。いったいこの教授、日本が世界最悪の債務超過国で、しかも現在も赤字を垂れ流し続けていることをどの程度認識しているのでしょうか。ついでに日本の物価上昇率がゼロ近辺になったのは95年の話で、今に始まったことではありません。大丈夫かな???

  もし日本が世界の他の先進国並みの債務レベルで、最近物価上昇率がゼロ近辺になったならまだしも、日本と言う極めて特殊な超債務国に対するアドバイスとは全く思えないのです。  

  もしそれを十分に認識した上で言っているなら、ゼロインフレでGDP対比で240%にもなる財政支出をしてきた過程で、何故デフレを克服しインフレにできなかったのかを説明願いたい。金利政策も超緩和が続いていました。

③   企業や個人が将来の財政悪化を懸念する

「増税しないと言えば人々が消費に励む」なんてことが今の日本にあるわけがない。一方で国債価値が毀損されていけば、投資家=金融機関は破たんに瀕します。97年の金融危機を彷彿し、人々や企業は金融機関からカネを引き出しにかかります。

④   お金の価値が下がりインフレが発生する

このブログに集まっている方々は③と④の懸念から、ご自分の資産を守るためヘッジ方法をさぐり、ドルへ避難し、そして米国債投資こそが最も安全だと納得し、実行しています。

   インフレを助長することができたとしても、インフレとともに円は暴落します。そうしたヘッジの動きがすでに一般個人にまで徐々に浸透しています。

   さらに債券の専門家に戻ってコメントを続けますと、

「インフレで債務を帳消してみせる」と日本政府が宣言したとたん、シングルAをやっとキープしている格付けを、格付け会社は間違いなくダウングレードします。実質踏み倒し宣言なのですから。

   すでに日銀は国債発行残高の4割を保有していますが、それでも残りを保有する金融機関を中心とした機関投資家は売却に殺到します。もしそれをせずに保有を継続したりすると経営陣は株主から善管注意義務違反、あるいは背任行為で訴えられ、個人で損害賠償をすることになります。

   経営者が「政府に協力する」などと言う言い訳が通用したのは、ガバナンスなどなかった古きよきむかしの物語です。

  さらに、「日本と言う国は債務をインフレで帳消しにする国だ」というレッテルは、末代まで残ります。国がいったん信用を失うと、回復までに何年もかかるのです。ギリシャなどの南欧諸国が比較的早く回復したのは、あくまでユーロ圏の内にあり統合欧州全体の庇護を受けているからで、日本にはそうした後ろ盾は一切ありません。

   この教授はもちろん日本の現状と過去の経緯をよくわかっているはずです。なので14年の消費増税が失敗だったと評価しています。たったの3%の消費増税で大きく消費は落ち込み、その後3年も回復していません。賃金は名目で多少なりとも上昇しているにもかかわらず、消費増税を上回る実質上昇がないからです。

   だったら今後10年単位で2%のインフレ=増税が継続するとどうなるのか。賃金や年金の上昇がそれを上回り続ける保証がないため、消費増税直後と同じように人々の消費は毎年毎年落ち込みます。

   昨日のウォールストリート・ジャーナルは遂に、「日本の金融緩和策は失敗に終わった」と結論付けました。その一番の理由は「20歳から34歳のインフレを知らない若い世代は安全志向が強く、積極的に消費などしない」というものです。

 ついでに団塊の世代を代表して私から一言。

 「最もカネを持っている高齢者は若者より慎重で、カネを貯めこむことしかしません」、キッパリ!

   インフレを知っている団塊の世代さえ防衛本能に従っているほどなのに、誰が政府のインフレ宣言ごときで無駄な消費などするもんですか(笑)。

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