新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

時事用語の考察

2022-12-10 09:31:17 | コラム
時事用語には良く解らないカタカナ語が増えて弱っている:

マインドコントロール:
これは「被害者救済法案」に盛り込むかどうかで、政府内と政党間で議論が一寸激しかったようだった。私は「まさか、カタカナ語を法律に使うことはないだろう」とは思っていたが、偽らざる所を言えば「マインドコントロールって何」状態で、これが造語なのかリアルな英語なのかも解らなかった。だが、「心というか精神を操って寄付をさせてしまうとは、信仰することは怖いものなのだな」程度の理解しかできていなかった。

そこで、時代に遅れないようにと「マインドコントロール」乃至は“mind control”を調べることにした。先ず疑ったのは「カタカナの造語では」だった。広辞苑には「(和製語mind control)催眠などによって個人や集団を被暗示性の高い状態に導き、暗示によって特異な記憶や思考を生じさせて操ること」とあって非常に解りやすかった。被害者が寄付をするのはこういう状態にさせられたからかと解った気がした。

そこで、和製語ならば和英辞典に載っているだろうと調べてみた。すると、ウイズダム和英辞典には載っていて「mind control;(洗脳)brainwashing」とあり、例文には“brainwash him into doing”とあった。何と英語の表現だとなっているのだった。だが、ジーニアス英和にもOxfordでも見つからなかった。なおも検索すると「mind controlという英語の表現はある」との説もあるし、「brainwashingが近い」との解説もあった。

私の考えでは「法案には『マインドコントロール』が使えなかったようだが、何もカタカナ語を使うか否かで右往左往するよりも、広辞苑にあるような解釈をそのまま用いれば十分に意を尽くせたのではないか」となるのだ。そもそも、何故和製語と広辞苑が指摘しているカタカナ語で法案の文言を審議する方が不自然だと思うのだ。

リアルタイム:
近頃この表現も有識者やテレビに登場される有名人が好んで(衒っているかのように聞こえて仕方がないが)使われるカタカナ語なのである。少し英語を知っているつもりの私には、何の意味か解らなくて困っている。そこで、矢張り先ず広辞苑から入っていくことにした。(即時、同時、実時間。「~で放送する」)とあった。「何だ。そうならそうと、漢字の表現で言ってくれれば」と嘆いた。

ところが、ここでも更に検索してみれば「精選版日本国語大辞典」には「リアルタイム」とは
〘名〙 (real time operation から)
① コンピュータで、入力データの処理を即時行なうこと。〔電子計算機(1968)〕
② ある出来事が起こっているのと同時に、の意を表わす。時刻のずれのないこと。「リアルタイムで報道する」
とあった。何の事はない当方が暗い分野である電子計算機の用語を日常会話の中で使ったのらしいと解った。

そうだったのならば、ここでも矢張り広辞苑にあったような漢字の熟語で表現して貰えば、後期高齢者は悩まずとも済んだのではないかと思ってしまった。

ピンポイント:
これも「何の事か」と首をかしげさせられるカタカナ語だ。元が英語のpinpointだろう事くらいは察しがつくが、今日これまで使ったことも聞いたこともない単語のような気がしたので、正確な意味が把握出来なかった。矢張り、広辞苑から先に調べた。(「針の先の意」極めて限られた狭い地点。「~攻撃」)とあった。明快だった。

次はジーニアス英和。名詞では「ごく小さな点」であり、動詞だと①本質・原因などを正確に指摘「記述」する;(・・・かを)正確に把握する。②・・・の正確な位置を示す(locate)。形容詞では「限定」きわめて正確(精密)な。となっていた。

どうやら、形容詞の意味を名詞の形でカタカナ語にして使っているのだと看做すことにした。理屈を言えば、このような語法は良くある言葉の誤用である。例えば、本来は名詞の前にしか使えない形容詞であるmainを「主体」とか「主に」という名詞に使っているのと同じに。

結論を言えば「矢張り格好を付けてカタカナ語を使わないで、解りやすい言葉で説明してよ」となるのだ。