新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

内閣総理大臣岸田文雄氏論

2022-12-20 07:39:54 | コラム
何故岸田文雄内閣総理大臣は世論調査で不人気なのかな:

昨19日には「折角良い事をしておられるにも拘わらず、内閣支持率が低下するとはお気の毒」だと言ったが、畏メル友RS氏は岸田総理の問題点は「国家観の欠落では」と厳格に指摘しておられた。

私は何も岸田文雄氏だけの問題ではないと見ている政治家の疑問点があると思っている。それはNHKの国会中継などで目立つ(耳立つ)「原稿棒読みの答弁」が代表的だと思う。私はnaïveにも国会の場での議論は「その場で論旨を組み立てて丁々発止と論争する場だ」と永年信じてきた。会社の会議で予め用意してきた原稿の読み上げ大会になる事などあり得ないのと同様に。

所が国会の場の現実は総理を始めとして閣僚も皆棒読みに徹しているのだ、それも知る限りでは各省庁の精鋭が準備した原稿のである。1980年代の後半にある官庁の28歳の課長補佐(勿論東大出身)が「我々が夜を徹して答弁を準備している。我々が国を動かしていると言えるのでは」と個人的に語ってくれた。国会開催中は毎日午前2時や3時の帰宅になると言う。

私はこのような仕組みを否定するとか非難する気もないし、閣僚の方々にすれば即興でその場で答えるよりも、事前に提示された質問に対する答弁の原稿を専門職である各省庁の精鋭に依頼して整えざるを得ないと思っている。だから、時には事前に提示していなかったことであるが」というような質問や「事前に提示されていないことを訊かれた」などという遣り取りがあるのも解る気がする。

再び同じ事を言うが、私はこのような仕掛けになっていることに対して何か言う気はない。しかしながら、何も岸田総理に限ったことではないが、棒読みからは真摯に答えようとするような気迫も信念も感じないのである。答えておられるご当人の信念であるのかないかも汲み取れないのである。安全第一を旨としておられるのは解るが、岸田文雄という方の個性が滲み出ないのだ。

この辺りを菅政権の頃にBSフジのPrime Newsに登場された日本大学危機管理学部教授の先崎彰容氏が、菅総理の原稿読み上げの答弁と記者会見での原稿無しの語り口を比較して「原稿無しで語られた方が菅義偉氏個人の信念と個性が溢れ出ていて、なるほど菅義偉とはこういう人だったのかが良く解った」と指摘された。非常に印象的な論評(カタカナ語にすれば「コメント」だが)だった。先崎教授の言外の意味は「原稿無しで語って下さい」だと勝手に解釈していた。

私はこれまでに岸田文雄氏については余り好意的なことは言ってこなかったと思う。それは、岸田氏自身が「聞く力がある」とか色々な自己紹介をされたが、総理就任の後では余りに「原稿棒読み」傾向が顕著なので、岸田文雄という方の個性というか個人の思想・信条が前面に押し出されてこないのだ。すなわち、「この方は何をしたいのか」や「国民の為に何をしてくれるのか」が全くハッキリと打ち出されていないのだ。

即ち、昨日は新資本主義と言ったかと思えば、今日は「救済法案」かと思えば、明日は外遊であったり、「防衛予算の43兆円」であったりという感じであって、やることに「岸田文雄これにあり」という信念が全体を貫く心棒のように打ち出されていない気がするのだ。だから、支持しないという比率が高くなってくるのではないのかと思って見ている。

より極端に言えば「総理大臣になれば、こうやって日本を動かしてみせる」のような信念が感じ取れない気がするのだ。対ロシア制裁もそうだが、自分の前に後から後から浮かび上がって諸々の難題に対応し、対策を打っていくので精一杯なのではないだろうか。こちら側にいれば偉そうに批判もできるが、実際に国を背負っている内閣総理大臣がどれほどの激務であり、難しい職務なのかは解っているつもりでも、言いたくなるのだ。