新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

7月31日

2016-07-31 17:42:02 | コラム
晴れている間にと午前中に都知事選挙に:

天気予報では午後からは雨降りとあったので、10時過ぎに家内を督促して直ぐ近所の小学校の投票所に向かった。世の中には同じようなことを考えている人は多いと見えて、道中沢山の投票済みと覚しき人に出会ったし、同じ方向に歩く人もまた多かった。投票所内もそれなりに混雑していて、もしかして中年から高齢者の都知事選に対する関心の度合いは高いのかと思わせてくれた。校門には珍しく出口調査か共同通信の腕章を巻いた男女が立っていたが、何故か我が夫婦には何の声もかけてこなかったのは極めて不満足。折角何か言おうと待っていたのに。

投票を終えてから我が家の道路を隔てた反対側にあるイオンの小型の食品スーパーに買い物に向かった。店内にはつい先ほど投票所で顔を合わせた同じアパートのご夫婦が何組かおられた。ここでも皆考えることは同じかと思わせられた。この店はテレビでもしきりに宣伝している”WAON”のポイントカードを導入して以来、何となく繁盛しているような気がする。だが、ポイントに縛られると、他店でお買い得の商品を見つけてもつい見送ってしまうこともあるので、ポイント制に縛られるのも一長一短かと家内と語り合っている。

午後からは天気予報を信じて御身大事とばかりに一歩も外に出ることなく、専らテレビ鑑賞で過ごした。ところが、17時45分現在、雨など降ってこないのだ。とは言っても、見ていたのは神奈川県の高校野球の決勝戦だった横浜高校対慶応高校の野球と、大東建託がスポンサーの女子のプロゴルフだけだった。横浜高校にはマスコミが凄いと囃し立てていた投手がいると思ったので、関心を持って見たが、とても現在プロにいるロッテの涌井級にも及ばない程度で、些か幻滅だった。横浜高校はかの有名なる渡辺監督がやっと(失礼?)引退されたので、その仕上がりは如何にと多少の興味があったが、私の目には甲子園で16強に残れるかどうかの程度かとしか見えなかった。

女子のゴルフは昨日までの結果では日本人の20歳だったかの若手3名が上位に残って、彼女らを我が国で既に21勝というとんでもない実績を誇る安宣柱が首位の2人を僅か1ストローク差で追っていたので、また賞金を持って行かれないかと大いに不安だった。兎に角、何とかして若手の2人に勝って欲しいと愛国心に燃えて熱心に観戦した。結果的には「ささきしょうこ」とひらがな書きした名前の見知らぬプロが見事に優勝してくれて、大いに気分を良くした。このように若手が進出して何時までも韓国勢の蹂躙に任せていないように努力して貰いたいものだと思うのは私だけだろうか。

実は、高校野球とゴルフの裏番組だと思う巨人とヤクルトの試合もCMの間に一寸は見たが、途中経過で巨人が8対1とリードしていると知ってのぞき見するのは辞めた。ヤクルトは投手陣の絶対数が足らない上に、川端と畠山が故障欠場で雄平も出ていないとあっては、とても調子が上がってきた巨人の敵ではないと解っていたが、やはり「もしかして」と一縷の希望を抱いてのぞき見したのだった。だが、希望は無残に打ち砕かれた。本日の広島の模様は知らないが、筒香があれほど当たっている横浜が相手では、巨人とのゲーム差がまた縮まってセントラルリーグが面白くなってしまうのかも知れない。広島も巨人も如何にして夏場を乗りきるかで優勝が決まる気がするのだが。

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7月30日 その2 アメリカの製造業の会社では新卒を定期採用しないのです

2016-07-30 19:37:25 | コラム
日米間の文化と思考体系の違い:

先ずお断りしておくべき事柄がありました。それは「私が語るアメリカの会社」とは、あくまでもアメリカに本拠を構えるアメリカ人の会社であり「日本何とかかんとか株式会社」や「何とかかんとかジャパン株式会社」ではないということです。これらの日本式法人では全てが日本文化の基準の下に設けられた企業であり、新卒を一斉に試験して採用し、育てていくシステムを採用しておられると思っております。大卒の新入社員でも先ず工場勤務を経験させると思っております。(因みに、ウエアーハウザーの日本事務所は「ウエアーハウザー・ジャパン」と名乗っていますが、この事務所は全面的にアメリカ本社の延長であり、日本式に運営されてはいなかった、言わば連絡事務所です。)

私が語っているアメリカの製造業の会社では新卒の採用などは絶対にあり得ないことです。と言うのは、金融・証券関係の会社では四年制大学の新卒を採用していると思っておりますから。製造業界ではそのような手間暇をかけて新卒者を育成はせずに、本社機構内や研究所には新規事業部門を設けた際や、業績の拡張や、リタイヤーした者か他社に転じた者乃至は退職させた者等が発生して空席が生じた場合に、そこを埋める即戦力となる者を、内部からの公募、社外からの引く抜き、その事業部に入社を希望して履歴書を本部長宛に送ってきた者たち、ヘッドハンティング等々の手段で選んで中途採用します。

その際には人事権も持つ事業本部長(=general manager)が面接して採用するか否かを決め、その際に給与(本給のみの年俸)、職務の内容、インセンティヴ等を話し合いで決めて採用します。即ち、我が国のように同学年で同期入社などはあり得ませんし、その与えられた仕事の内容次第で年俸も全く異なっているので、自分の給与を他人と比較する意味はないのです。勿論、能力と経験が基準で年功序列は余り加味されないでしょう。

その採用時に本部長と話し合って決めた年俸は、毎年一度本部長と一対一で見直しの機会があり、職務の内容(job description)を項目別に成績を検討し(その会社によって異なるでしょうが)5段階の評価をして、大幅昇給、少額の昇給、据え置き、減俸、馘首の何れかが決まります。その上で、翌年の職務内容も決めます。次年度分のjob descriptionは前年度よりも項目が増えていないことはあり得ないと思いますし、年度内に自主的に増やしていなかったようでは昇給は先ず望めないでしょう。

ここまでで忘れてはならないことは、アメリカ人の会社では物理的、精神的な仕事というか行動の基準は全て彼らの体格、身体能力、行動力(加えるにMBA等の学歴)を下に設定されていますから、我々(で悪ければ私)の体力では非常にきついというか過剰負担になるという厳然たる事実です。仕事の内容、言葉の問題等とは全く別なこういう障害を何の苦もなく飛び越えてみせねば、評価の対象にはなり得ないのです。そこでは英語が上手いとか話せることなどは評価される訳はないのは当然。それ以外にぶつかる高い壁は「文化と思考体系の違い」ですが、この違いが存在することは、当人が余程意識していない限り「何でそうなるの」という疑問に四六時中遭遇することになって苦しむでしょう。言うなれば「見えない壁」でしょう。

それだからこそ、私はプロ野球の選手たちは「ただ単に野球が上手いから俺は通用する」というだけの思い込みでアメリカに行くと、このような目に見える壁と見えない壁にぶつかって自滅する結果になる確率は高いと言うのです。誤解がないように言えば、その壁は彼らアメリカ人の選手たちが優れているために高いのではなく、単純に文化が異なるだけのことであることが多いのでありながら、相互の理解と認識不足で必要以上に高くて厚い壁にしてしまっただけのことでしょう。

自慢にもなにもなりませんが、私がその壁の存在に気が付き、その内容を分析して「ここがこう違う」という部内でのプリゼンテーションが出来るようになったのは、ウエアーハウザー入社後14年目でした。それを90分間のプリゼンテーションとして発表出来たのが、1990年でした。それほど、私はこの「日米間の文化の違い」を私なりに解明出来るまでに長期間を要したのでした。

更に申し上げておくべきことは「アメリカ側には巧みな日本語を操る人が著しく増えたとは言え、我が国との文化の違いの本質まで弁えている人は矢張り少数派だと申し上げて誤りではない」との点です。そうだからこそ、嘗てのクリントン政権のように高圧的に我が国は対米輸入(特に紙類)を増やすべきだと見当違いの押しつけて来たのだと、私は考えております。これはアメリカ側だけの失態ではなく、両国の首脳部の相互に違いの相違を認識する努力を欠いた失態だと断じたいのですが。もっとハッキリと言いたいことを言えば「日米間の企業社会も含めた文化の違い」は留学や会社員として海外に駐在しただけでは容易に知り得ないということです。

私は通算22年半もアメリカの大手紙パルプメーカーの社員として、彼らの文化と、思考体系と、言わば会社経営の哲学の下に対日輸出を担当して、その食い違いと行き違いに悩ませられた結果で「違いを認識し、克服の仕方」に行き着いたのです。「アメリカ(日本)の会社でも、我が国と同じように運営されているはずだ。だから、詳しく言わずとも我々の主張を理解するはずだ」などとは夢にも思い込んではならないのです。何しろ、相手国は文化とものの考え方が違うのですから。

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7月29日には

2016-07-30 10:02:28 | コラム
¥850の鰻重を楽しんだ:

帰京後2日目。朝5時20分にPCの部屋から外を眺めれば、本当に暫くぶりの雲一つない青空が目の前に広がっていたのに感激。牛乳をかけたフルグラ、桃、トーストにdecafのコーヒーの朝食の後でブログを更新してから一休み。そして、これも暫くぶりのことで家内とともに9時19分のバスで高田馬場駅前の西武ビッグボックス内のジムに向かった。家内は未だ主治医を許可が出ていないので、ジムでの運動は出来ないのでシャワーと入浴のみなのは残念。

当方は何時も通りに20分間のストレッチから始めるのだが、近頃は(旧制)中学の蹴球部時代の練習前の体操に組み入れられていた片足立ちで足首を回す運動も試みている。これを柔らかなストレッチ用マットの上で展開するとなかなかバランスが取れないのだが、漸く何とかなるようになってきた。それから何人かの女性トレーナーさんに褒められたPUMAのハイカットの運動靴(カタカナ語を排斥するとこうなってしまう)を履いてウオーキング。何となく好調で、1 km歩き終わって時計を見れば1周=100 mを65秒の早さで歩いていたことになっていた。少し汗が出る程度の運動だ。

そこで一休みしてから、水分を補給してからエアロバイク。約13分間こぎ続けて2.4 kmを走破したことになり、30 キロカロリーのエネルギー消費した結果になった。私は病院でのリハビリと同じで負荷は2にしているが、多くの女性や高齢者でも5以上が普通のようだ。これで運動を終了してマッサージチェアに向かい、15分間もみほぐしてからシャワールームに。計量すれば約300 gの減量でやや少なめだった。同じ運動量でも最大400 gの日もある。

家内とは駅前のバス停で落ち合って11時37分のバスで、我が家の二停留所先の東京山手メデイカルセンター前に向かう。目的地は新宿サンパークホテルの「レストラン椿」で、狙いは¥850の鰻重だった。到着してみれば何と29日と土用の丑の日30日の二日間はランチは鰻重のみとなっていた。このホテルは我が家から徒歩5分程度と近いのだが、10年程前に東中野にアパートを持っているカリフォルニア州在住のSM氏が帰国した際に開拓してくれるまで、不覚にもその存在には全く気付いていなかった。

サンパークホテルは新宿駅の近くで靖国通り沿いにあるスーパーマーケット「三平ストア」のグループ企業で、椿から見下ろすところに大きな石灯籠や石が目立つ立派な日本庭園があるのが特徴。三平ストアが親会社であるためか豊富なランチメニューは皆お手頃価格で、近所にこれという食べ物屋がないことも手伝ってなかなかの繁盛振りである。この鰻重はその値段が示すように本格的なものではないようで、家内の見立てでもレトルト食品のようだ。

つい2~3ヶ月前までは鰻丼の形で提供されていたが、鰻重にすると全く見た目が異なって豪華になり、大久保通りにある牛丼店の鰻丼よりも遙かに本物感が味わえるのだ。しかも、小鉢、漬け物に味噌汁付きで、食後にはコーヒーかウーロン茶まで出てくるのでお買い得だ。昨日は味噌汁ではなくしじみ汁だったのは上出来で、大いに楽しめたし満足だった。因みに、鰻重はこの値段で常時提供されている。味は如何かとお尋ねか、そんな野暮は言わないものだ。
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7月29日 その2 西武プリンス・ショッピング・センターにて

2016-07-29 07:37:04 | コラム
中国人の家族連れの買い物客も散見されたが:

今年も東京を避けて涼しいところに静養に出かけたのは良かったが、関東地方の梅雨明けが遅かったせいで、行く先々で雨降りに出会ってしまった。結果的には確かに涼しさだけは満喫出来たが、傘を持参して良かったのでは・・・・という具合だった。

毎年恒例の軽井沢のプリンス・ショッピング・センターにも勿論出かけていった。当日は駐車場は国技館のように満員御礼の垂れ幕でも下げたら如何とでも言いたい盛況で、何とか地下駐車場の一角を確保して「さー、買うぞ」と上がっていった。広い駐車場には関東近県のみならず、関西方面のナンバープレートを付けた車等も数多く止められていて、その繁盛振りが印象的だったし、わざわざ関西からやってこられる程の軽井沢人気に感心させられた。東北方面の車を見かけなかったのは、何も涼を求めて南下することはないのだろうと考えていた。

さて、ショッピング・センターである。印象では毎年のように言わば「リニューアル」され(実態は「レノベーション」でしたが)拡張され、新たな出店者が目立ち、フードコートも新設されるなと「如何にも西武だな」と思わせてくれた。確かに域内は買い物客?が溢れ活気があった。中国語を大声で話す家族連れには何組か出会ったが、最早勢いよく買いまくっている印象は全くなく、寧ろ軽井沢の雰囲気を満喫しているのかとすら思わせてくれた。我々のホテルにもアメリカ人のパック旅行の一団がいたが、何と軽井沢に前夜に到着してそのまま次の目的地に向かうと言っていたのには驚かされた。

このショッピングセンター(解りやすく言えば「アウトレット」だろうが)で感じることは、海外の所謂デザイナーブランドでも知名度と言うべきか人気と言うべきか知らぬが、お客の入りに偏りがあって、「ローヤルコペンハーゲン」や”Tod’s”等の言わば一捻りしたブランドの店には全く人の気がないのが目立った。面白い現象だと思ったのが、確か関西のアパレルのブランドである「ジョルダーノ」(如何にもイタリア風の響きがある)は店を構えておらず、通路に露天のような形で出店していたこと。だが、そのポロシャツなどは出色のデザインで¥1,500でお買い得と見えたにも拘わらず、誰も立ち止まっていなかった。

私は毎年このアウトレットを歩いて不思議に思うことは、犬を連れて(あるいは抱いて)歩く人の数が年々増えているのだが、未だ嘗て一度も犬どもが粗相をしたのも見ていなければ、マーキング(と言うのかな)も見かけず、言わばお犬様用の排泄の場所が設営されているのすら見たことがない点だ。我が家で犬を飼っていたのは1967年までで、現在のように車に乗せて連れ歩くことなど夢想だにしなかった時代だったので、私は事ペットについては時代遅れだとは自覚している。現代では犬を飼っておられる方はどのような躾をなさっているのかと、単純に気になっている。

このアウトレットの繁盛振りを見れば、我が国の消費者はそこそこ品質が良く、お買い得でありさえすれば、未だ未だ出費を躊躇わないのだと再確認出来た。一部の店には明らかに「アウトレット用」に作られた商品があるのは確かだが、売れ残りというのか型落ちとするのかは知らないが、人気ブランド品が格安で入手出来る以上、この手の商法は今度とも栄えていくように思えるのだ。しかし、それがGDPにどれほど貢献するのかなど難しいことは考えなくても良いのだろう、お買いものが楽しければ。

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日米の文化の比較

2016-07-29 06:29:48 | コラム
日米企業社会における文化の違い:

以下は昨年7月28日に更新したものだが、私はこれは何度でも掲載してご理解願いたいと思っているので、敢えて再録する次第。実は、これとほぼ同じ内容で、一昨年にも掲載していたので、今回も多少加筆訂正した箇所がある事をお断りしておく。

実は、私はこういう題名で1990年4月に本社副社長兼事業部長に志願して事業部の全員と工場の幹部に集まって貰い、約1時間30分のプリゼンテーションを行った。そして、その後には工場の事務と現場の管理職にも何度も聞いて貰った。さらに、社外のビジネスマンと Community collegeの生涯教育学部長兼教授にもプリゼンテーションの機会を得た。

これをやらせて欲しいと副社長兼事業部長に願い出た理由は「我が社の日本を最大の得意先とする我が事業部と雖も、日本に出張してくる者たちが余りにも両国間の違いに無神経というか無知であって、要らざる摩擦を起こしている例を見てきて事もあったのは誠に寒心に堪えない。更に言えば、日本側のアメリカについての知識も誠に皮相的で信ずるに足らないのも事実だ。これは必ずしも当部だけではないが、是非とも改善されて然るべきだ」であり、それを彼が了承して実現したのだった。

私は副社長には「予め文化の相違点を認識して日本に来れば何事もショックとは感じないで済むはずだ。その点を理解願いたい」と談じ込んだのだった。彼もその点を認識し始めていたのでプリゼンテーションの実施を承認してくれた。

この細かい内容はこれまでに色々な形で指摘して来たことであり、ここであらためて全容を紹介する気はない。しかし、後難を怖れずに言えば「我が国の相当以上の大企業で海外慣れしておられるはずのところでも、私が得意とする文化比較論の一部にでも言及すると「エッつ、そうでしたか。知らなかった」と言われたことが何度もあったのである。しかし、国内で語り且つ書くようになったのは、リタイヤー後の1994年2月以降だった。

このプリゼンテーションの原稿を作成している時に、東京に本社の製材品部門から東京に派遣されていたマネージャーが日米間の相違を把握し理解していたので、査読して貰った。彼は「これで良いと思うが、是非とも付け加えて貰いたい項目がある」として指摘したのが、

font color="black">*Representation of the company to the customer,

*Representation of the customer to the company,


の2項目だった。私も瞬間「何のこと?」と訝ったが、これを日本語にすれば前者は「お客様には会社の意向を伝える(のが社員の仕事かまたは使命)」であり、後者が「会社に向かってお客の代弁をする(な)」だと、暫くして解って「尤もである」と納得出来た。

しかし、これでも「何が言いたいのか?」と怪訝な顔をしておられる方は多いと疑っている。そこで出来る限り解説してみよう。

彼は「後者は多くのアメリカから日本に派遣されてきた者たち(expatriate と言うが、英和辞書にはそうはなっていない場合が多い)が先ず腹立たしい思いをするのが、日本人の社員は会社の意志や命令や意向を客先に真っ向から伝えることを躊躇い、反対にそれらに対するお客の反論なり反対の意見を聞いて我々に伝えてそれに従おうと提案する。彼等は何処から給与を貰っているかが認識出来ていない。お客の代弁をするとは不届きであると、極めて腹立たしい思いに駆られる」ものだ」と教えてくれた。

正直に言って、私は「矢張りか」と納得した。即ち、前者は「会社ないしは本部の意志を間違いなくお客に伝えて、それを無事に納得させてくるのが社員の使命であって給与を貰っている会社の命令を忠実に実行するのが社員の本分である」なのである。解りやすい例を挙げれば「本部が値上げをすると決めた以上、お客様には何とかして受け入れさせるのが社員の仕事で、それに対する反論であるとか延期の要望を聞いて帰ってくるのは "job description" の内容に違反している」という簡単な理屈である。要するに "From where does your pay check come?" ということだ。

しかしながら、この簡単明瞭な理屈はアメリカ国内だけで通用するもので、我が国の企業社会にはこのような一方通行の交渉が認められることは先ずないだろう。アメリカ人の上司には得意先の拒絶と反抗は受け入れらない事になるのだ。別の見方をすれば、アメリカ人の二進法の思考体系では「命じられたことは、実行してくる」との選択肢しか残されていないのだ。このようなお客様の意思などは二の次で「命令忠実実行型社員」の評価が高いのが、アメリカの会社の世界の常識ということ。

しかし、日本に長年駐在し、その実態に接して事情に精通していたマネージャーは言った。「これは間違った捉え方で、日本市場には通用しないと認識すべきことだ。特に短期間の出張者などは直ぐにこのお客の代弁者に腹を立てて怒りまくる傾向がある。そこで教えてやることは、兎に角日本人社員が言うことを何が何でもじっくりと聞いて見ろ。すると、そこに日本市場に真実の姿が見えてくるものだ。(英語にすれば”understand the Japanese market right.”)短気は禁物だ。君に必要なことは『良き聞き役』に徹することだ」と言って説得すると解説してくれた。

この2点は非常に重要であり、日米間の企業社会における大きな文化というか思考体系の相違点である。これを知らない日本のお客様は「アメリカの会社の日本人社員は何と高飛車なのだ。本部の意向を伝えに来るだけで当事者能力が皆無では交渉に進めようがない」と言って激怒された例もあったと聞く。アメリカ側も日本の会社がどのような組織というか、どのような経路で最高幹部にまで報告が上がっていくかを知るべきだったと、何時かは理解出来るようになって行く例もあったのだ。

この2点は有り難いことに私のプリゼンテーションの重要な項目の一つとなった。そして我が事業部では "representation of the customer" 精神に徹する者が増えていった。言うなれば「目出度し、目出度し」だった。このように我々は常に「日米企業社会における文化の違い」というデコボコ道を歩み続けていたのだった。要するに「この道路をどれだけ速く滑らかな舗装道路にするかが日本市場での成功の一つの鍵を握っているのだ」ということだ。

余談の部類に入るだろうが、私がアメリカの通商代表部がTPPの交渉等に臨む際に、我がマスコミは「妥結が近い」だの「妥結点の探り合い」などと報じるのを真っ向から「彼らが妥協などする訳がない」と言って批判してきた根拠は上記の文化の相違にある。まさか代表者にまるで権限が認められていないとは思えないが、彼らは「自社か自国の主張を通す為に交渉の席につくので、それ以下かそれ以外は先ずあり得ないのだ。だからこそ、TPPの大筋合意に至までにあれほどの日時を要したのだった。

妥協もせずに、落としどころを探るよう真似をもせず、自社にとって絶対的に有利に交渉を纏め、相手側にもある程度の満足感を与える交渉術を身に付けていたビジネスマンが私の元の上司だった副社長兼事業本部長だった。彼は州立大学の出身で、MBAでもなかったアメリカの大手企業には珍しい存在だった。これも余談である、念のため。
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