新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

12月2日 その2 冷静なる評論家の弁

2022-12-02 16:39:32 | コラム
私がサッカーをどのようにして見ているか

あらためて、スペイン戦の勝利を振り返って見ようと思うので、先ずは私独自の観戦と評価の仕方を公開していこう。

私は勝敗に一喜一憂するのではなく、飽くまで両ティームの試合運びを観察して技術的や精神的な面を評価し、監督の作戦とコーチたちの力量も合わせて読んでいこうとの姿勢を貫いている。勿論、そこには私自身が永年経験してきた「サッカーとは」と「私のサッカー論」があるので、どうしてもそれに合致しない技術や試合運びを見ると、批判したくなってくるのだ。それに加えるに、生まれ持ったA型の批判精神があるので、滅多に褒めることがないのである。

だが、本日の我が代表のスペイン戦の勝利というか「勝ち方を心得た勝ち方」にはほぼ文句を言いたい点が見えてこなかったのは、大いに喜ばしいことであり、「欣快に存じます」となるのだ。

また、本日は前立腺肥大(ガン)の定期検診・診断の日であり、キチンと午前3時半に起きて試合を見終えてから手早く感想を纏めた後で、国立国際医療研究センター病院に向かったのだった。

そして、長い待ち時間の間にGoogleのニュースにあった、あの後半6分だったかに三苫薫が堂安のシュートが横に流れて、あわやゴールラインを割るかと見たところに諦めずに飛び込んでゴール前に返したところに田中碧が飛び込んで決勝点にした場面をVARで真上から撮った画像を、らくらくスマートフォンで見るこことができた。立派にインプレーであることも確認できた。

あの場面で諦めずに飛び込んでいった三苫の執念と直向きな敢闘精神は、幾ら褒めても褒め足りないだろう立派なプレーだった。その三苫の折り返しに間に合うように忠実に上がってきた(詰めてきた)田中碧も褒めて上げねばなるまい。確か背番号25番もゴールに飛び込んでいた。田中は蹴り込んだのではなかったように見えたが、ゴールをするのに何も足で蹴らねばならないことはないのだ。体に当てて押し込んだだけで十分だった。

後半には森保監督が誰かを入れ替えてくるだろうとは予測していたが、三苫と堂安を入れたことが2点に結びついたということも素晴らしい選手起用であり、時宜を得ていた(カタカナ語を使えば「タイムリー」とでもなるか)のも素晴らしかった。この2得点が示すように、後半は全く前半とは別の様相を呈してきていた。その点を私は「スペインの作戦の誤り」か「我が方を甘く見て隙が出来たのか」の何れか、もしかして両方だったかも知れないと見る。

負ける試合とはあのようなもので、(経験からも言えるのだが)スペインの選手たちは「こんなはずではなかった」と日本の思いがけなかった攻勢に対して為す術を知らず、何をやっていたのかも、どのような手を打つべきか解らない儘に過ごしていたのだろう。だから、45分+7分の間を、ウロウロとしていただけだったのではないかと推理している。それが証拠にアディショナルタイムの間でも、悠長に後方に回して組み立て直す攻め方しかできていなかった。

何方かが「スペインは2位抜けなら良いというような甘い考えがあったのではないか」と指摘していたが、私は慢心があって付け込まれる隙を作ったのではなかったと見ている。そのコインの裏側には、我が方の揺るがない精神状態(近頃は「メンタル」など言うが、困ったことにこのmentalの形は形容詞なのだ)があって、ドイツ戦で身につけた「勝ち方」を十二分に活かしていたのだと思ってみていた。

兎に角、ドイツとスペインに続けて逆転で勝利した実績は誠に素晴らしいことで、ここにあらためて「貴方たちは偉い。立派だった」と心から賞賛したいし、会得した「勝ち方」を活かして、次なるクロアチア戦も勝ち上がって見せてくれると期待しよう。森保監督さん、宜しくお願いします。


我が代表がスペインに勝って16強に

2022-12-02 08:25:40 | コラム
立派な勝ち方だったと賞賛したい:

何をさて措いても、私は森保一監督には「信頼していない」などと言ってしまったことをお詫びせねばならないと思う。失礼致しました。また、選手たちに向かっても「素晴らしいサッカーを見せてくれて有り難う。君たちは偉い」と褒め称えねばならないと思う。

私は「勝つか負けるか」の予想はしなかったが、それはスペインのそれまでの試合を見ていなかった為なので、「パスサッカー」なるものにどれほどの威力があるのかが皆目分かっていなかったのだ。

前半では詳しいスタッツは解らないが、恐らくスペインのパスサッカーではボールの支配率は90%に近かったのではなかったかと思わせられたほど、回しに回して我が方に攻め込む機会を与えていなかった。だが、その精密に組み立てられたパス回しの組織を良く観察して見ると「パス回しの為のパス」になっている場合が非常に多かったのだった。言い方を変えれば「相手に触らせずに良く回すが、点を取る形には組み立てられていないことが多い」と読めたということ。

その徹底したパス回しの中には常に安全を期して、一寸でもディフェンダーが寄せてくるか、前が空いていないと見るや躊躇うことなく中盤からでも一気に後陣に戻すか、GKにまで蹴り返してしまうのだった。これでは、後半に解説の岡田武史氏が指摘したように「我が方の守備のブロックの前で回しているだけならば怖くない」と指摘されたように、先日取り上げた「レッドゾーン・オフェンス」にも似た、手詰まりのようにも考えられたのだった。

我がディフェンス陣はそのパス回しに耐えて良く守っていたし、結果的には吉田麻也を含めて4人だったかにイエローカードを出されたが、右斜め後ろから蹴り込んだ長いパスをヘディングで合わされた1点だけに食い止めたのは良かったと思う。小野伸二だったかは「ディフェンス陣の体力消耗が気になる」とは言っていたが、後半には富安や遠藤を入れて補うことができていたようだった。

その状況が、後半に久保に代えて堂安と三苫を入れてきた辺りから大きく変わってきた。スペインのパス回しが殆ど効果的ではなくなってきた辺りで、私は「ひょっとすると、ひょっとするかも知れない」という気がしてきた。彼らスペインが三苫や堂安に恐れをなしたのかも知れないが、もたつき始めたかと思えば、自陣のゴール前でハッキリと蹴り出さなかったところを堂安が衝いて、見事なミドルシュートで同点に持ち込んだのだった。

そこから先には明らかにスペインの足並みが乱れ、明らかにパス回しの為のパスというのか、焦りからか無意味な展開に終始してきた。すると、右サイドに切り上がった浅野だったか誰か確認できなかったが、ゴール前を横切るパスが通り、それにGKが倒れながら出した手に触れてゴールラインを割ったかに見たところに駆け込んだ三苫が、VAR判定で「割っていなかった」となった切り返しで無人となったゴールに田中碧が蹴り込んで2対1と勝ち越したのだった。

実は、ここまで来る間に「もしかして」との期待が高まったので、殆ど時計を気にしている暇が無かったのだった。そして気が付けば残りは15分を切っていたのだった。スペインは引分けでも勝ち抜けられるはずだったから、その期に及んでも悠長に後方に展開しては再度「ビルドアップ」というのだそうだが、後陣から組み立て直す方式で攻勢に出てきた。私は如何にスペインでも、その方式では15分で2点は取れないと読み切ったので、ほぼ「勝利」を信じていた。

何の事はない、スペインは私が散々貶してきた我が方の「後陣でのディフェンダー間の横パス交換と、FWが一寸でも前に空いていると後方に戻してしまう、私に言わせれば無意味にボール支配時間を延ばす戦法」と同じ事を繰り返していただけになって、7分という長いアディショナルタイムの間にも、得点できる気配も見せずに終わってしまった。しかも、我が代表は「後陣でのパス回し戦法」には出ていなかったのだった。

私にはあれがスペインのパスサッカーの実力負けなのか、驕りから来た負けなのか判断出来ないが、我が方の選手交代の上手さと後半に見せた気力溢れる攻撃を賞賛すべきだと思っている。こと守りについても、伊東純也や三苫薫が良く下がって懸命にスペインの攻撃に対応していたことも褒めて上げるべきだと思っている。

兎に角、後半の我が代表選手たちのあの「勝ってやろう」との気力に満ちたサッカーは安心して見ていられた。何れがFIFAのランキングの上位なのかも解らなくなったと思わせてくれた勝利だった。上位のスペインとドイツに勝っての16強だったのも賞賛すべきことだろう。

ここに次なるクロアチア戦の勝利を祈って終わる。未だ「勝利を期待すると言わないのか」と言われそうだが、白紙状態で見ている方が精神的に楽なのだ。