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新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

第47代大統領にトランプ氏を選んだアメリカ合衆国

2025-04-25 08:01:42 | コラム
アメリカ合衆国に失望させられている:

私は縁あって1972年にアメリカの紙パルプ産業界の会社に転職し、22年間も精一杯の努力をして尽くしてきた国だったアメリカに幻滅を感じているのは、何と言って表せば良いか解らないほど残念なのである。

戦後間もなくの中学1年生の頃から色々な形で接触し、その優れた諸々の点を知り得たアメリカには確かに憧れのような感覚があった。だが、アメリカとアメリカ人が日本をどのように見ているのかを少しでも知り得たが為に、大学卒業の前にはアメリカの会社に職を求めようとする考えは全く無かった。それにも拘わらず「運命」と「逆らえない運の流れ」と「偶然」が重なって転職する事態になった。

当初は「アメリカの会社の中に入ったら、その先には同じように会社という組織になっていても、何かが違うのかもしれない。そこで何か思いがけない事態に出会ったら何とかするしかないだろう」くらいの、何とも間抜けで悠長な考え方で踏み込んで行った。幸いにも初歩的な“language barrier“だけには衝突する事がなかっただけで、知らず知らずの間に異文化と言う深い谷間をさ迷う場合もあった。

1975年3月からは、またもや何とも表現しようもなかった運命と偶然のお陰で、ウエアーハウザーに転じてしまった。ここでは所属した事業部が同業他社の中で日本市場への参入が最も遅かった弱小メーカーだったが為に、毎日が苦労の連続だったし、壮烈とでも言いたくなるような日本市場独特の文化とのすれ違いに悩まされたのだった。

“language barrier“に悩まされる事がなかったと言ったが、これとても誤りでアメリカの業界で一二を争い、AAAの格付けの会社では所謂“upper middle“という階層かそれ以上の人たちが幹部であるから、言葉遣いにも極めて厳格な決まりがあったのだ。戦後間もなくから馴染んできた日常会話的な言い回しは通用しない事もあった。

その出遅れたメーカーがどのようにして同業他社を押しのけて日本市場で最大のシェアーホールダーの地位を占めるに至ったかを回顧してみよう。

副社長兼事業部長以下が何としても克服すべき問題だと捉えるようになった事柄が「日本とアメリカの企業社会との間に存在する文化と思考体系の相違」だと解ってきた。

何故そう言うかと言えば「アメリカ側は日本の企業と折衝する時にアメリカ式の手法とセールストークが通用する」または「日本側を自社の狙い通りに屈服させる」との態度が宜しくなかったからだ。これは日本側に「高飛車」であり「傲慢」な商法と捉えられ歓迎されなかった。

日本側には「遠路遙々来て頂いた事を多として礼儀正しく、奥床しく、謙譲の美徳の姿勢で対処され、極力論争と対立を避ける態度で臨まれる」のだった。だが、アメリカ側のひたすら「イエスかノーか」の回答を求めて押していく姿勢から見れば「議論の核心をグルグル回っているだけの感情論的話し合い」としか受け止められず、屡々すれ違いになってしまう事態が生じてしまうのだった。

我が事業部は10年かけてこの「異文化との衝突」の時期からの脱出に成功して、日本市場における確固たる地位を占めるに至った。副社長兼事業部長以下担当した全員が全得意先の幹部から工場の現場担当者に至るまで昵懇の間柄になって行った。何もここで自慢話をしようと言うのではない。お互いに異文化を乗り越えてこそ、初めて意思疎通も行き届き信頼関係が成り立つという事。

副社長兼事業部長は全ての取引先の担当の常務以下の幹部全員と親密な間柄となって、アメリカ式の歓迎である自宅に招待して夕食を摂って語り合うようになっていた。ここまで来れば異文化など何処かに吹き飛ばされている。このようにお互いに「良い国との付き合い」を楽しむ関係になっていた。

だが、今のアメリカ合衆国と日本国の大統領と総理大臣以下が信頼関係を確立して、何か事があっても「腹蔵なく語り合って問題を解決の方向に向けていく態勢が整っているのだろうか」を思う時に、不安だらけではないのか。トランプ大統領のように何か高圧的な材料を持ちかけてdealとか言う駆け引きで押しつけようとしては、心の底からの「相互信頼関係」が成り立つものだろうか。そんな事はあり得ない。

そういう観点から言っても、私は「トランプ大統領はビジネスマンだから」という類いのお追従をテレビに出てきて言う専門家だの学者先生を信用できないのだ。トランプ大統領のreciprocal tariffs方式などは「正統なビジネスマンの感覚」からは生じる事など考えられないのだから。取引先に対する尊敬の念など欠片も無い人物として見えないのが残念だ。

上記のような点からして、私は長い間親しんで良い国だと信じて尽くしてきたアメリカ合衆国に失望の思いを禁じ得ないので、本当に残念で堪らないのだ。


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