新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

9月30日 その2 神とGodについて

2023-09-30 13:56:13 | コラム
宗教を論じる意図などはないが:

「美しき天然」の歌詞を知って考えたこと:
これは明治35年に出来た田中穂積作曲、竹島羽衣作詞の唱歌である。何を言い出すのかと思われそうだが、今朝の4時45分からTBSのBSの番組「日本の名曲ミニアルバム」だったかで、この美しくて懐かしい歌が聞けたのだった。正直に言ってこの歌は知っていたが、歌詞が画面の下に表示されたので、初めて知ることが出来た。

意外だったのは、キリスト教国ではなかったはずの我が国で、今から130年ほども前に「美しき天然」を神が設え賜ふたという歌詞になっていたことだった。竹島羽衣という方がどういう考え方というか動機で「神」を使われたのか知る由もないが、当時でも「造化の神」のような観念があったのだろうかと思わせられた。

ここに思いがけないことに「神」が出てきたので、日頃から気にかかっていることを思い出した。そこで、次にはその点に触れてみようと思う。

“Oh, my God!”:
この言い方はプロテスタントの国であるアメリカで「余り使わない方が良い」と教えられていた。それは、ご存じの方は多いかと思うが、その意味は「神様、何と言う事でしょう」や「神様、困った事です」や「弱ったな」や「あれまー」のような意味になるのだ、ここには神であるGodが出てきているのだ。このようにGodを使うのは「神を冒涜している」と解釈されるので、使わない方が宜しいのだそうである。

だが、キリスト教がそれほど広く普及していない我が国では「まさか神を冒涜している表現だ」というところにまで考えが及んでいないので、テレビに登場する者たちは「オーマイガー」などと気軽に叫んでいる。これについてキリスト教信者の方々から「神を冒涜するとは怪しからん」というクレームがあったとも聞いていないが、可能ならば言わせない方が良いと思う。

それでは何と言えば良いかは、アメリカ人たちに教えて貰っていた。即ち、Godは使わない方が良いというので、”Oh my gosh!”(「ガーシュ」と発音する)か、”Oh, my!”か、簡単に”Gosh!”の一言ならば許されるのだそうだ。私は当初は”Oh my God!”はswearwordの範疇に入るので禁句かと思っていたが、そうではなく、「Godを冒涜するのが宜しくない」のだという事だった。このことをテレビに登場するタレントさんたちに誰が伝えるのだろう。


慣用句(=idiomatic expressions)を覚えておこう

2023-09-30 07:45:35 | コラム
単語を覚えていても「慣用句」を知らないと解らないnative speakerの表現:

私はずっと以前から我が国の英語教育で「単語を覚えることを重要視する」のを批判して「単語は文章の流れの中でどのような意味で使われているかを覚える方が良い」と指摘してきた。今回はこの主張を理解して貰う為にも、簡単で易しい単語ばかりを使った慣用句を使った例文を幾つか取り上げて、native speakerたちが日常的に使っている慣用句が、どれ程解りにくいかを示していこうと思う。例によって思いつくままに並べていこう。

“It’s a piece of cake.”
解説)「ケーキの一切れ」ではない。”a piece of cake”で「簡単なこと」か「たやすいこと」や「朝飯前」になるのだ。”I can get the job done before breakfast.”とはならないのだ。これなどは「俗語」(slang)の範疇に入るかもしれない気もするが。単語だけを覚えていても、英会話は”a piece of cake”とはならないのだ。

“It’s all Greek to me.”
解説)「全く何のことかちんぷんかんぷんである」という意味になる。思うに、ギリシャ語が何のことか解らなかったからこうなったのかも。慣用句もその部類に入ってくるだろう。単語だけを覚えていてはGreekになってしまうのでは。

“I get a kick out of Jazz music.”
解説)「ジャズを蹴飛ばす」のではなくて、get a kick out ofで「大いに楽しむ」とか「愉快になる」という意味になる。確か”I get a great kick out of you.”という歌詞のジャズソングがあった。

“I’ll keep my fingers crossed for you.”
解説)初めて指を交差させてこの言い方を聞かされた時には、何を言っているのかサッパリ解らなかったので、反応できなかった。これで「君の成功を祈っている」になるとは後で同僚に説明して貰ってやっと理解できた。正式には”to cross one’s fingers”なのであろう。

“A little bird told me that he will soon tender a resignation.”
解説)これで「噂によれば(ある人から聞いたことでは)、彼は間もなく辞表を出すそうだ」となる。”a little bird told ne”がそういう意味なるのだそうだ。なお、「辞表を出す」が英語ではtender a resignationというらしい。

“We will visit Ukraine come hell or high water.”
解説)これで「我々は何が何でウクライナを訪問する」の意味になる。”come hell or high water”で「雨が降ろうと槍が降ろうと」のように使われている。強調しておきたいことは、ここに上げた例文のように、言わば易しい言葉ばかりを組みあせると、全くそれぞれの単語とは異なった意味になってしまうのが慣用句の怖い所なのだ。

こういう慣用句に加えて、俗語(符丁、隠語)のslangが入ってくるし、”What’s new today?などが”How are you doing?”のような挨拶の代わりに日常的に出てくるのだから、単語の意味だけを覚えていても、現場では余り役に立たないと解っていただければ幸甚である。


Englishではこういう風に言うのだが

2023-09-29 08:03:36 | コラム
知っていても使える機会がないかも知れないEnglishの表現:

久しぶりに英語の話を取り上げようと思う。アメリカ人の中で暮らしていると、彼らが日常的に使っている表現には「へー。そういう風に言うのか」と「成る程。彼らnative speakerたちはこの場合にはこういう単語を使って簡単に言い表すのか」と感じ入ってしまうことが多かった。それらを覚えておいて「ここぞ」という時に仕えるようになればしめたものだ。そこで、思い出せる限りのそういう「上手いことをいうものだ」という言い方を紹介していこうと思う。

“We’ll see how it goes."
解説)これは他でもない、あのエンジェルスのネヴィン監督(Phillip Nevin)が、大谷翔平が肘の検査に行った日に言ったことで「成り行きを見守ろう」か「模様眺めにしよう」の意味になる。私はこの言い方が怪しからんと指摘したが、それは最も大事な選手が検査に行ったのだから上司としては「良い結果が出ると期待する」か「深刻な状態ではないことを祈る」くらいが言えないのかと怒ったからだった。

“No kidding!"
解説)「冗談じゃない」でもあり、「冗談でしょう」でもある言い方。同じような言い方に”You are kidding me.”もあるし、”Don’t kid yourself.”もある。似たような意味には”Don’t fool yourself.”などというのもある。”You are telling me.“か、”Don’t tell me.”だと「嘘を言わないで下さい」か「揶揄わないで」になるようだ。

“None of my business.”
解説)「私には関係がないこと」という意味。「だから放っておいてくれ」と言っていることになる。ここでのbusinessは「ビジネス」の意味ではないので要注意。似たような言い方に”None of your business.”がある。ここでyourになったので「(他人)が余計なことをいうな」の意味になる。”Mind your own business.“とも言うようだ。

“Let’s have a bite (to eat). It’s my shout."
解説)これらを昼飯前に言って誘えば「昼食に行こう。私のおごりで」となるのだ。”have a bite“が「食事」で”my shout”で「おごる」となっているのだが、初めて聞いた時には「何のこと?」と当惑させられた。

“It depends.”
解説)「時と場合によるよ」という意味で使われている。カタカナ語の「ケースバイケース」に一寸似ている、じゃなかった、カタカナ語の方が似ている気もする。”It depends on each case.”とでもすれば「ケースバイケース」の意味になるかも。「イエスかノーか」をハッキリ言いにくいような場合に使えば良いと思う。

“I am so glad you made it.”
解説)“make it”は「~を作る」ことではない。「来る」とか「出席する」という意味でも使える。従って「良く来て下さいました」でもあれば、「良くここまで来られましたね」と言いたくても使われるようだ。“make”という単語は“have”や“get”と共に、熟語として上手く使えば多くの表現が出来るのだ。

“They are pretending to be good people. But, it is just a make-believe.”
解説)これまた“make”の応用編である。ここでは“make-believe”は「見せかけ」を意味するので「彼らは良い人のような振りをしている。だが、それは見せかけだけ」なのだ。“pretend”もOxfordには“to behave in a particular way, in order to make other people believe ~ that is not true"となっているのも面白い。ジーニアス英和には“a world of make-believe”で「空想の世界」という例文が出ている。

“May I ask you if you have any dependents?”
 解説)「貴方には扶養家族の方はおられますか」という意味だが、ここでは“ent”または“ant”が付くと「扶養家族」の意味に使えるのだ。実は、英語で話す時に注意すべき事柄として「個人的な質問をしてはならない」と言ってきたが、この質問は極めて個人的な事柄だ。しかし、“dependent”を採り上げたくて、無理矢理にこういう例文を作ってしまった。現実の会話では真似をされないようにお願いしたい。

“I have every reason to believe he will not show up tonight."
解説)「彼が今夜は現れないと確信している」なのだが、要点は”show up“が「現れる」の意味で使われ、”every reason to believe”で「確信する」となっている辺りだ。日常的にはこの手の表現が屡々出てくるので、慣れるまでは悩まされる。因みに、ホテルでは”No show”と言って、予約しても現れなかったことを言うようだ。


9月28日 その2 医長先生からの警告

2023-09-28 14:09:44 | コラム
COVIDは未だ要警戒であるしインフルエンザも:

26日に国立国際医療研究センターの循環器内科で定期診断を受けた。その際に折角の機会なので、主治医である医長先生に「街を歩けばマスク無しの日本人が過半数を占めているだけではなく、インバウンドの連中は先ずマスク無しであり、しかもどんどん増える傾向があるが、この状態は安心して見ていられるのでしょうか。マスクの常時着用は未だ必要でしょうか」と伺ってみた。

ご存じの方も多いかと思うが、国立はCOVID対策の総本山と言っても良いような組織なので、管轄ではない循環器内科の医長先生も実情には詳しいのである。先生は「確かに感染者は増加傾向にある。だが、今回は重症化した患者さんは少ない。そうかと言って安心してはならず、これまでのように警戒しているべき。特に基礎疾患がある高齢者にはマスクは必需品であり、日頃の行動範囲を逸脱しないよう心がけて人混みは避けているのが無難である」と言われた。

さらに、「季節外れのインフルエンザの流行もあるので、ワクチン接種の案内が来たら、遅滞なく接種することを強くお勧めする」事も教えられた。新宿区区役所からは既に案内は郵送されてきていて、10月1日から接種可能となっていた。つい先頃、7回目のファイザーのワクチンの接種を受けたばかりだ。忙しいことになってきた。

念のために申し上げておくと、医長先生がCOVIDという言葉を使われたのではない。私が「コロナ」などという戯けたカタカナ語を認めていないので、敢えて英語の表記を使っただけのこと。言うまでもない事で「コロナ」(=corona)とは「太陽の光環」のことである。


アメリカの質が低い労働力が何をもたらしたか

2023-09-28 07:49:53 | コラム
アメリカの労働力の質に問題がある:

些か回顧談の部類にはなるかと思うが、アメリカの職能別労働組に20年以上もアメリカ側の一人として接触してきた経験から、その労働力の質の低さが何をもたらしたかを考えてみようと思う。その詳細は21年3月に述べてあったので下記に一部を引用しておく。私はアメリカの問題点は日本にはない職能別労働組合(craft union)の制度にあるとみているのだ。後難を恐れずに割り切って指摘すれば「その労働力の質の問題の為に、輸出市場での競争力に乏しくなっていた」のである。

その実態はウエアーハウザーが1990年代に入ってからは、アメリカの会社の中で対日輸出額ではボーイング社に次ぐ第2位だった実績も雄弁に物語っている。それは、「我が社は木材・紙パルプという、言わば一次産品に近い製品ばかりを輸出している」と上智大学経済学部の緒田原涓一教授に語ったところ「それでは、アメリカはまるで日本の植民地のようではないか」と言われてしまった事からも言えると思う。

その辺りを見抜いたGAFAMは「自社の工場で生産しない」形の企業として飛躍的に成長して、その分野における巨人とも言える企業になっていた。思うに、彼らは「アメリカは基本的に輸出国ではなく、内需で賄われている国であること」を承知していたのだろう。その点はロッキー山脈で経済圏が東西に分断され、ロッキーよりも東側にある企業は太平洋沿岸の国への輸出に不適格であると認識して国内市場に専念しているのだ。

トランプ前大統領はその輸出には不向きな産業構造をご承知でなかったようで、「日本はアメリカに輸出をしても輸入をしないのは怪しからん」などと見当違いのことを言い募って、故安倍晋三総理に迫っていたようだった。この事がトランプ前大統領はアメリカの労働力の質に問題があると認識できていなかった実態を示していると言わざるを得ない。

1994年7月に当時のUSTRの代表者だったカーラ・ヒルズ大使が公開の席で指摘された「対日輸出を増やす為には識字率の向上と初等教育の充実の必要性がある」との2点を挙げてきた。これは誠に尤もなのであるが、我が国では一寸想像できない事態だと思う。それは、「アメリカの労働組合員たちの中には字が読めず、十分な教育を受けていなかった為に英語が読めない者がいる」と、ヒルズ大使は言っておられたのだから。

 その実情はどうなっているかと言えば、アメリカでは工場には組合員の指針とする為に、作業の手引となるマニュアルに親切丁寧に作業の内容が指示されている。だが、字が読めない組合員たちもいるのだから、読まないか読んだ振りをすることが屡々生じるのだ。また、経験上も言えるのだが、彼ら組合員たちには確かに英語が解らない移民や難民や外国人がいるのだ。

換言すれば、アメリカの製造の現場では、そのような労働者を抱えて作業しているとなるのだ。そのような状態にある組合員たちがいるのでは、スペック通りに製造されていない、規格外品が正常品として検査の目を潜って出荷されてしまう事も起きてしまうのだった。

 ここで、念のために確認しておくと「私が論じている事はアメリカの紙パルプ産業界の工場における事であり、他の産業界でも同様な状況にあるとまでは断定していない。だが、アメリカでは労働組合は会社に属しておらず、業種毎に業界横断のCraft Union(=職能別組合)から組合員が派遣されている仕組みになっているのだ。例えば、自動車業界にはUAWがあり、鉄鋼業界にも業界横断のUSWAがあるという具合に。

紙パルプ産業界や、ボーイング社に代表される航空機産業以外の産業界が我が国への輸出で大成功を収めていないという現実を見れば、そこにも労働力の質に問題があると思っている。認識しておいて欲しいことは「労働組合は法律的にも会社とは別個の存在である」という文化の違いがある点なのだ。

ここで、もう一つ我が国との決定的な違いに触れておこう。それは製造の現場で作業している組合員たちは会社に所属しているのではないのだから、現場の設備にでも何か事故が生じた際などには、会社側の技術者は「対策の内容を指示できるが、手を下してはならない」のである。それは、組合員ではない者が直接に介入すれば、組合に対する「労働阻害行為」に当たるからだ。

 
即ち、労働組合員たちは会社側とは別個の存在であり、組合に入れば“union card”という身分証明書を交付されて身分は法律的に保護される事になる。そして、組合員は時間給制であり、現場に出れば、先ず最低の時間給である雑役から始まって、年功と共に仕事の内容が高度になって行き、時間給も上がっていく仕組みになっているのだ。

 組合員たちは勤務年数が増えれば仕事が行動で難しくなっていき、最年長者ともなれば現場から離れて、会社員のようにジャケットを着て試験室でデータ表の作成をする等の楽な仕事をするようになるのだ。ここで注意しておく事がある。それは、勤務年数で職位が上がっていくという事は、馴れない新人が入ってくるか、これまでに雑役に従事していた製造現場の未経験者が未知の分野の製紙の機械を操作さするようになる。

そこで、先達からの引き継ぎが解らなかいとか、用意されているマニュアルが読めない者がいたらどうなるのかという事だ。現実にはそういう者でも年功で仕事の質が上がっていくのだから怖い。

我が事業部では本社機構にいる者全員がこの現場の実態を十分に認識していたからこそ、組合員たちに「技術を向上させ、品質の向上と改善に努力する事が事業部全体の営業面での安定に貢献し、対日を始め輸出市場での地位が確固たるものになれば、君らの職の安全と安定が保証されるのだ」と、再三再四説き聞かせてきたのだ、換言すれば「輸出市場でのサプライヤーとしての地盤と地位の確立」と「労働組合の意識向上と労働力の質の向上」は、言わば車の両輪であると言い聞かせたのだった。

 労働組合が会社側とは別個の存在であるとの点は、これまでに何度も採り上げてきた。しかしながら、思うにトランプ前大統領のように実情というか、アメリカは輸出国ではない事をご存じではなかったとしか思えない政治家もいるのだ。あのトランプ氏が故安倍晋三総理に執拗に迫っておられた会談を見る度に「困った大統領だ」とウンザリさせられていた。

また、敢えて言うが何もトランプ前大統領だけに限られたことではなく、「我が国にはこの彼我の文化というか産業構造の違いを認識しておられる方が、マスコミをも含めて、それほど多くおられるとは思えてならない」のである。

このような企業社会における製造現場の構造の違い(文化の違いと言っても良いと思うが)が、我が国とアメリカの市場に存在するのだから、品質に細かい注文をつけるし、価格にも敏感な日本市場には簡単に通用しなかったのだ。その難儀な市場にアメリカ市場にのみ通じるような品質と規格の製品を売り込んでも容易に成功しないのである。このような問題が生じている主たる原因の一つに、職能別労働組合の存在があると認識している。