ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその2-ゆきゆきて神軍

2012年01月12日 | 邦画
スパークするパーソナリティ

1987年日本映画界稀有な現象が起きていた。
シネマテーク系の映画館で、或るドキュメンタリー映画が異例のロングランを続けていたのだ。
その映画は「ゆきゆきて神軍」主演は奥崎謙三。
あらすじは第二次世界大戦末期、奥崎の属していた部隊で部下の銃殺事件が起きたことを知った彼はその真相を追究すべく当時の関係者を訪ね歩きその事件の真相を究明するというものだ。
そして物語が進行するにつれてその行く先は驚くべき結果をもたらす。
奥崎は失礼な相手には暴力をふるっても対峙する、カメラはその姿を淡々と収めていく。
この映画の凄いところはドキュメンタリーにもかかわらず「映画」としてもしっかり創られているところだ。
そしてこの映画の一番の見所はやはり奥崎の強烈なパーソナリティであろう。
私はこの映画を観たとき、映画の創りの素晴らしさと奥崎のパーソナリティの凄さに驚嘆した。
時間が経過して忘れ去られそうな一作ではあるが、是非機会があれば観ることをお勧めする。
そして彼のパーソナリティの凄さをご自身で確認していただきたい。
1934年にアメリカの「ロバート・フラハティ」の制作した「アラン」でドキュメンタリー映画はその歴史に一歩踏み出した。
それから様々なドキュメンタリー映画が創られたが、この「ゆきゆきて神軍」はその歴史に刻まれる傑作であろう。
1987年公開、原一男監督、疾走プロダクション制作。