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石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

今週の各社プレスリリースから(7/31-8/6)

2016-08-06 | 今週のエネルギー関連新聞発表

8/3 出光興産 当社大株主代理人による本日の記者会見について 
8/3 石油連盟 内閣改造について(会長コメント) 
8/4 JOGMEC インドネシア共和国タングーLNGプロジェクトの拡張開発事業第3系列LNG液化施設建設事業への債務保証について 

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(8月5日)

2016-08-05 | 今日のニュース

・米Chevron、中国海上油田などアジアの資産50億ドル売却。 *

 

*(参考)「苦境続くシェブロン:五大国際石油企業4-6月決算速報」(連載中)

 

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苦境続くシェブロン:五大国際石油企業2016年4-6月期決算速報(2)

2016-08-04 | 海外・国内石油企業の業績

1. 五社の4-6月期業績比較(続き)

(2)利益 (図:http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-52.pdf参照)

 利益が5社の中で最も多いのはTotalの21億ドルであり前年同期比3割減である。これに次ぐのがExxonMobilの17億ドルであるが前年同期(42億ドル)の4割にとどまっている。Shellは2社よりもさらに利益が低く12億ドルで前年同期の3分の1以下である。BPとChevronの両社は欠損であり、今期の欠損額は共にー14億ドル台である。BPは前期が58億ドルの大幅な赤字であったが今回は改善されており、Chevronは前期の黒字(6億ドル)から一転して赤字に転落している。

 

 利益を上流部門(石油・天然ガスの開発生産分野)と下流部門(石油精製および製品販売分野)で比較すると、ExxonMobilは上流・下流部門の利益がそれぞれ3億ドル、8億ドルであり下流部門の利益が上流部門の約3倍である(なお上記各社の総合利益には石油化学品部門あるいはその他の損益を含んでいるため上・下流部門の利益の合計額とは一致しない)。

 

 Totalは上流部門の利益(11億ドル)と下流部門の利益(10億ドル)がほぼ同じである。上下両部門で利益を上げたのはExxonMobilとTotalの2社だけであり、Shell、BP及びChevronの3社はいずれも上流部門が欠損であるのに対して下流部門が利益を計上している。このうちShellの上流部門は20億ドルの赤字、下流部門は17億ドルの黒字である。Chevronは上流部門の赤字が25億ドルに対し下流部門の利益は13億ドルにとどまっている。BPは上流部門がー1億ドル、下流部門は+14億ドルで差し引きでは黒字であるが、今期もメキシコ湾汚染事故処理の負担が発生したため全体としては赤字である。

 

 このようにTotalを除く4社はすべて下流部門の利益が上流部門のそれを上回っており、下流部門が上流部門を支えている状況である。国際石油企業の利益構造はこれまで利益の大半を原油・天然ガスの生産(上流部門)で稼ぎ、精製、石油化学など(下流部門)の低収益を補うという構図であったが原油価格の大幅な下落により収益構造が様変わりしている。即ち上流部門の利益が急減する一方、精製、石油化学部門は原料の原油・天然ガス価格が急落したため利益の出る体質に変化したのである。

 

(3)売上高利益率 (図:http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-53.pdf参照)

 売上高利益率はTotalが5.6%と最も高く、ExxonMobilが2.9%で続いている。Shellの利益率は1.9%にとどまりBP及びChevronはマイナス(それぞれー3.1%、-5%)である。前年同期の各社の利益率はChevron6.6%、ExxonMobil5.7%、Shell5.4%、Chevron1.4%であり、BPはマイナス9.6%で同社以外はプラスの利益率であった。5社は好調時には10%台と言う高い利益率を誇っていたこともあるが、近年各社の利益率は急速に悪化している。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail;maedat@r6.dion.ne.jp

 

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苦境続くシェブロン:五大国際石油企業2016年4-6月期決算速報(1)

2016-08-03 | 海外・国内石油企業の業績

 スーパーメジャーと呼ばれる五大国際石油企業(ExxonMobil、Shell、BP、Total及びChevron)の4-6月期決算が相次いで発表された。ここでは売上高、利益、売上高利益率、設備投資および石油・天然ガス合計生産量の五項目について各社の業績を横並びで比較するとともに各社の四半期決算の推移を検証する。

 

 決算の詳細は以下の各社のホームページを参照されたい。

ExxonMobil:

http://news.exxonmobil.com/press-release/exxonmobil-earns-17-billion-second-quarter-2016

Shell:

http://www.shell.com/media/news-and-media-releases/2016/second-quarter-2016-results-announcement.html

BP:

http://www.bp.com/en/global/corporate/press/press-releases/second-quarter-2016-results.html

Total:

http://www.total.com/en/media/news/press-releases/second-quarter-and-first-half-2016-results

Chevron:

https://www.chevron.com/stories/chevron-reports-2q-2016-loss

 

 なお前期(2016年1-3月期)及び2008年から2015年までの通年の業績比較は下記レポートを参照されたい。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0377OilMajor2016-1stQtr.pdf

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0372OilMajors2015.pdf

 

 

1. 五社の4-6月期業績比較

(表:http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-D-4-22.pdf 参照)

 五社を横並びで比較すると売上高ではShellがトップであり、利益はTotalが最も多い。また設備投資はShellが最も多く、石油および天然ガスを合わせた生産量ではExxonMobilがトップである。売上高利益率はTotalが最も高く、BPとChevronは利益面で欠損を出している。

 

(売り上げは軒並み2割減!)

(1) 売上高(図:http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-51.pdf参照)

 2016年4-6月の売上高は5社ともに前年同期に比べ2割前後の大幅な減少であった。これは言うまでもなく原油価格が下落したためである。因みにShellの決算資料で見ると、昨年第1四半期はバレル当たり平均56ドルであったものが、今期は40ドルと3割近く下がっている。2011年あるいは2012年の年間平均価格は100ドルを超えており価格はピーク時の2分の1以下である。原油価格の下落がそのまま各社の売上高減少に反映されたと言えよう。

 

 各社の売上高および対前年同期の減少幅は、ExxonMobilが577億ドル(22%減)、Shell603億ドル(19%減)、BP 464億ドル(23%減)、Total 372億ドル(17%減)、Chevron 293億ドル(27%減)で、5社の中ではChevronが最も大きく落ち込んでいる。

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail;maedat@r6.dion.ne.jp

 

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見果てぬ平和 - 中東の戦後70年(31)

2016-08-03 | 中東諸国の動向
第4章:中東の戦争と平和
 
3.ポピュリズムが育てる独裁者
 
 中東の独裁者たちにほぼ共通しているのは貧しい出身でありながら士官学校で優秀な成績を収め軍の幹部にのし上がったと言うことである。当時のアラブ諸国では大学に進学できるのは一部の富裕層に限られており、向学心に燃える貧しい家庭の子弟は士官学校を目指した。こうして士官学校には優秀な若者が集まった。彼らは士官学校で最新の技術と知識を習得し、成績優秀者はソ連に留学した。若くしてソ連に留学した彼らがどのような思想的感化を受けたかは言うまでもないであろう。アラブ民族主義がソビエト流社会主義と結びつき、彼らは欧米資本主義・帝国主義を敵視するようになる。
 
 ただしソ連留学組は同時に社会主義思想そのものに違和感を覚えた。彼らは物心ついた時すでにイスラームという「心」のアイデンティティにからめとられており、「智」の産物である社会主義イデオロギーにはなじめなかったはずである。さらに共産主義思想が無神論であることを彼ら留学組は生理的に受け付けなかったに違いない。合理的思考の持ち主ではあるが同時に敬虔なムスリム(イスラーム信者)であるアラブ人の若手将校たちはその後次第に社会主義国家ソ連と距離を置くようになる。
 
 東西冷戦の渦中で中東の指導者たちは西側につくか、東側につくか厳しい判断を迫られていた。1950年代に中国の周恩来、インドのネール、チェコスロバキアのチトーなどが非同盟を呼びかけバンドン会議を開いた時代とは異なり、いずれの側にも属さない中立という立場はあり得なかった。第二次世界大戦直後、それまで西欧帝国主義に蹂躙されていたアラブ諸国はその反動として民族解放運動と結びついた社会主義国家ソ連に傾倒した。しかしイスラームを深く信奉するアラブにとって無神論のソ連共産主義は水と油の関係である。彼らにとってはそれ位ならむしろ同じ一神論の西欧キリスト教国家の方が理解しやすかった。さらに民族は違っても同じイスラーム教徒(ムスリム)である中央アジアの少数民族がモスクワ中央政府によって弾圧されている現実を前にして中東の独裁者たちは次第に西側諸国に傾いていくのであった。
 
 ただし彼らは西欧のように政治的自由を一般市民に与える気は毛頭なかった。国の名前に共和制を冠して国民や国際社会の目をくらます一方、実態は過酷な独裁強権主義国家を築いたのである。リビアの国名がそれを象徴している。カダフィは「大リビア・アラブ社会主義ジャマヒリーヤ(直接民主主義)国」と名付けた。「アラブ」(民族)、「社会主義ジャマヒリーヤ」とこれでもかというほどの飾り文句を並べている。しかし実態は程遠い絶対的独裁国家であった。国名で比較するならこれは北朝鮮の正式国名「朝鮮・民主主義・人民・共和国」と双璧を成すものと言ってよいであろう。独裁者はとかくうわべを飾りたがるものである。
 
 庶民全てがそのような独裁者を冷ややかに見ているかというと実は必ずしもそうではない。それどころか拍手喝さいで独裁者の登場を迎えることも少なくない。アラブの人々は腐敗した王制国家に倦み、或いは第二次世界大戦後も打ち続く戦乱に嫌気がさしていた。そのような旧体制(アンシャンレジューム)を打破しようとする若手軍人たちの「青年将校団」に世直しを期待したのである。「青年将校団」を名乗る組織はエジプトだけではない。シリアやリビアにも生まれている。
 
 貧しいが故に正規の高等教育を受けられなかった優秀な若者が軍隊組織の中で最新の知識と軍事技術を身に着け、同僚や部下を惹きつけるリーダーシップも身に着けた。彼らは大衆の人気を得る手練手管に長じている。もちろん独裁者は登場した時から独裁者だった訳ではなく、トップに上り詰めた後、大衆を煽りつつ知らず知らずのうちに権力を一身に集める。
 
 そして独裁者は一度手にした権力は絶対に手放そうとはしない。彼を助けるのが取り巻きの側近たちである。側近は独裁者の陰で甘い汁を吸うことを覚える。ボスが居てこその特権であるから彼らはボスがいつまでもボスであり続けるように画策する。その反面彼らは独裁者の地位が儚いことを熟知しているだけに自ら独裁者になるだけの勇気はない。ともかくボスにできるだけ地位を保ってもらいたいのである。
 
 いずれの国にも民主主義的な憲法があり大統領の任期と多選禁止が明記されている。しかし独裁者とその側近は意図的に大衆の人気を盛り上げ、憲法を都合よく変更するのである。こうして終身大統領が生まれる。大衆が気がついた時には独裁者はもはや手の付けられない怪物に変身しているのである。
 
 ただいくら終身とはいえ人間の命には限りがある。老いを自覚した独裁者は後継者を物色する。しかしその頃の彼は誰一人信用できなくなっている。側近に寝首を掻かれるのではと恐れ、血のつながった兄弟すら反逆者と疑い次々と粛正する。最後に残るのは血を分けた息子たちだけである。中東の独裁者たちは別々の人生を歩みながらも不思議なことに最期は驚くほど似通っているのである。
 
 それでも独裁者が君臨している間はまがりなりにも平和であり、大衆はそのことに満足する。独裁者はいつの時代も大衆のポピュリズムが生み出す奇形児なのである。
 
(続く)
 
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 荒葉一也
 E-mail; areha_kazuya@jcom.home.ne.jp
 Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
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BPエネルギー統計2016年版解説シリーズ:天然ガス篇4

2016-08-01 | 中東諸国の動向

1. 世界の天然ガスの埋蔵量と可採年数(続き)

(着実に埋蔵量を積み上げる米国、食いつぶし始めたカタール!)

(5)主な天然ガス資源国の過去15年間の埋蔵量の変化

(http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-1-G04.pdf参照)

 2015年末の天然ガス埋蔵量上位7カ国(イラン、ロシア、カタール、トルクメニスタン、米国、サウジアラビアおよびUAE)について2000年~2015年までの埋蔵量の推移を見ると、イランの場合2007年までは埋蔵量27tcm(兆立方メートル)前後を上下していたが、2010年に30tcmを突破してロシアを追い越し2015年末の埋蔵量は世界一の34tcmである。ロシアは2000年から2009年まで世界一の埋蔵量(31tcm)を誇っていたが現在は世界2位である。しかし両国の差は5%程度とわずかである。世界第3位の埋蔵量を誇るカタールは2001年に埋蔵量を14tcmから26tcmに大幅に上方修正し現在に至っている。

 

 これまでイラン、ロシア、カタール3カ国の埋蔵量が他を圧倒していたが、近年トルクメニスタンの伸長が著しい。同国の埋蔵量は2007年まで2tcmにとどまっていたが、2008年の7tcmから2010年には10tcmを突破、2015年末の埋蔵量は18tcmに達し過去8年間で9倍に増加しており、比較した7カ国の中では飛び抜けた増加率である。

 

 イランとトルクメニスタンは2007年以降共に埋蔵量が急増している。しかしイランは米国の経済制裁により国際石油企業との協同事業が進まず自前の技術で探鉱開発を行っており同国の技術が時代遅れのものであることは周知の事実である。このような状況下で埋蔵量が増加しているのは石油篇で述べたと同様、イラン政府が政策的に埋蔵量の水増しを行っている可能性が否定できない。これに対してトルクメニスタンの場合は外国民間企業との全面的なタイアップにより国内で探鉱作業を行った成果であり埋蔵量の数値は信頼性が高いと考えられる。

 

 米国も2006年以降埋蔵量が増加する傾向にあり2010年には2006年比1.4倍の8.6tcmに達し、サウジアラビア(7.9tcm)を上回り、2015年は10.4tcmと過去最高の水準に達している。このことはシェールガス開発が盛んに行われていることを示している。

 

(天然ガス篇埋蔵量完)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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