8/3 出光興産 当社大株主代理人による本日の記者会見について
8/3 石油連盟 内閣改造について(会長コメント)
8/4 JOGMEC インドネシア共和国タングーLNGプロジェクトの拡張開発事業第3系列LNG液化施設建設事業への債務保証について
1. 五社の4-6月期業績比較(続き)
(2)利益 (図:http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-52.pdf参照)
利益が5社の中で最も多いのはTotalの21億ドルであり前年同期比3割減である。これに次ぐのがExxonMobilの17億ドルであるが前年同期(42億ドル)の4割にとどまっている。Shellは2社よりもさらに利益が低く12億ドルで前年同期の3分の1以下である。BPとChevronの両社は欠損であり、今期の欠損額は共にー14億ドル台である。BPは前期が58億ドルの大幅な赤字であったが今回は改善されており、Chevronは前期の黒字(6億ドル)から一転して赤字に転落している。
利益を上流部門(石油・天然ガスの開発生産分野)と下流部門(石油精製および製品販売分野)で比較すると、ExxonMobilは上流・下流部門の利益がそれぞれ3億ドル、8億ドルであり下流部門の利益が上流部門の約3倍である(なお上記各社の総合利益には石油化学品部門あるいはその他の損益を含んでいるため上・下流部門の利益の合計額とは一致しない)。
Totalは上流部門の利益(11億ドル)と下流部門の利益(10億ドル)がほぼ同じである。上下両部門で利益を上げたのはExxonMobilとTotalの2社だけであり、Shell、BP及びChevronの3社はいずれも上流部門が欠損であるのに対して下流部門が利益を計上している。このうちShellの上流部門は20億ドルの赤字、下流部門は17億ドルの黒字である。Chevronは上流部門の赤字が25億ドルに対し下流部門の利益は13億ドルにとどまっている。BPは上流部門がー1億ドル、下流部門は+14億ドルで差し引きでは黒字であるが、今期もメキシコ湾汚染事故処理の負担が発生したため全体としては赤字である。
このようにTotalを除く4社はすべて下流部門の利益が上流部門のそれを上回っており、下流部門が上流部門を支えている状況である。国際石油企業の利益構造はこれまで利益の大半を原油・天然ガスの生産(上流部門)で稼ぎ、精製、石油化学など(下流部門)の低収益を補うという構図であったが原油価格の大幅な下落により収益構造が様変わりしている。即ち上流部門の利益が急減する一方、精製、石油化学部門は原料の原油・天然ガス価格が急落したため利益の出る体質に変化したのである。
(3)売上高利益率 (図:http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-53.pdf参照)
売上高利益率はTotalが5.6%と最も高く、ExxonMobilが2.9%で続いている。Shellの利益率は1.9%にとどまりBP及びChevronはマイナス(それぞれー3.1%、-5%)である。前年同期の各社の利益率はChevron6.6%、ExxonMobil5.7%、Shell5.4%、Chevron1.4%であり、BPはマイナス9.6%で同社以外はプラスの利益率であった。5社は好調時には10%台と言う高い利益率を誇っていたこともあるが、近年各社の利益率は急速に悪化している。
(続く)
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前田 高行 〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
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スーパーメジャーと呼ばれる五大国際石油企業(ExxonMobil、Shell、BP、Total及びChevron)の4-6月期決算が相次いで発表された。ここでは売上高、利益、売上高利益率、設備投資および石油・天然ガス合計生産量の五項目について各社の業績を横並びで比較するとともに各社の四半期決算の推移を検証する。
決算の詳細は以下の各社のホームページを参照されたい。
ExxonMobil:
http://news.exxonmobil.com/press-release/exxonmobil-earns-17-billion-second-quarter-2016
Shell:
BP:
http://www.bp.com/en/global/corporate/press/press-releases/second-quarter-2016-results.html
Total:
http://www.total.com/en/media/news/press-releases/second-quarter-and-first-half-2016-results
Chevron:
https://www.chevron.com/stories/chevron-reports-2q-2016-loss
なお前期(2016年1-3月期)及び2008年から2015年までの通年の業績比較は下記レポートを参照されたい。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0377OilMajor2016-1stQtr.pdf
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0372OilMajors2015.pdf
1. 五社の4-6月期業績比較
(表:http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-D-4-22.pdf 参照)
五社を横並びで比較すると売上高ではShellがトップであり、利益はTotalが最も多い。また設備投資はShellが最も多く、石油および天然ガスを合わせた生産量ではExxonMobilがトップである。売上高利益率はTotalが最も高く、BPとChevronは利益面で欠損を出している。
(売り上げは軒並み2割減!)
(1) 売上高(図:http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-51.pdf参照)
2016年4-6月の売上高は5社ともに前年同期に比べ2割前後の大幅な減少であった。これは言うまでもなく原油価格が下落したためである。因みにShellの決算資料で見ると、昨年第1四半期はバレル当たり平均56ドルであったものが、今期は40ドルと3割近く下がっている。2011年あるいは2012年の年間平均価格は100ドルを超えており価格はピーク時の2分の1以下である。原油価格の下落がそのまま各社の売上高減少に反映されたと言えよう。
各社の売上高および対前年同期の減少幅は、ExxonMobilが577億ドル(22%減)、Shell603億ドル(19%減)、BP 464億ドル(23%減)、Total 372億ドル(17%減)、Chevron 293億ドル(27%減)で、5社の中ではChevronが最も大きく落ち込んでいる。
(続く)
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荒葉一也
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1. 世界の天然ガスの埋蔵量と可採年数(続き)
(着実に埋蔵量を積み上げる米国、食いつぶし始めたカタール!)
(5)主な天然ガス資源国の過去15年間の埋蔵量の変化
(http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-1-G04.pdf参照)
2015年末の天然ガス埋蔵量上位7カ国(イラン、ロシア、カタール、トルクメニスタン、米国、サウジアラビアおよびUAE)について2000年~2015年までの埋蔵量の推移を見ると、イランの場合2007年までは埋蔵量27tcm(兆立方メートル)前後を上下していたが、2010年に30tcmを突破してロシアを追い越し2015年末の埋蔵量は世界一の34tcmである。ロシアは2000年から2009年まで世界一の埋蔵量(31tcm)を誇っていたが現在は世界2位である。しかし両国の差は5%程度とわずかである。世界第3位の埋蔵量を誇るカタールは2001年に埋蔵量を14tcmから26tcmに大幅に上方修正し現在に至っている。
これまでイラン、ロシア、カタール3カ国の埋蔵量が他を圧倒していたが、近年トルクメニスタンの伸長が著しい。同国の埋蔵量は2007年まで2tcmにとどまっていたが、2008年の7tcmから2010年には10tcmを突破、2015年末の埋蔵量は18tcmに達し過去8年間で9倍に増加しており、比較した7カ国の中では飛び抜けた増加率である。
イランとトルクメニスタンは2007年以降共に埋蔵量が急増している。しかしイランは米国の経済制裁により国際石油企業との協同事業が進まず自前の技術で探鉱開発を行っており同国の技術が時代遅れのものであることは周知の事実である。このような状況下で埋蔵量が増加しているのは石油篇で述べたと同様、イラン政府が政策的に埋蔵量の水増しを行っている可能性が否定できない。これに対してトルクメニスタンの場合は外国民間企業との全面的なタイアップにより国内で探鉱作業を行った成果であり埋蔵量の数値は信頼性が高いと考えられる。
米国も2006年以降埋蔵量が増加する傾向にあり2010年には2006年比1.4倍の8.6tcmに達し、サウジアラビア(7.9tcm)を上回り、2015年は10.4tcmと過去最高の水準に達している。このことはシェールガス開発が盛んに行われていることを示している。
(天然ガス篇埋蔵量完)
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