石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

ニュースピックアップ:世界のメディアから(3月15日)

2012-03-15 | 今日のニュース

・米国の需給緩和報道で石油価格下落。WTI$106.12, Brent$125.66

 

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日米・BRICs6カ国の石油と天然ガスの自給率(下)

2012-03-13 | その他

(注)本稿の上中下は「前田高行論稿集 マイライブラリー」に一括掲載されています。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0221EnergySupplyDemandGap.pdf

 

5.結びにかえてー深刻の度合いを増す日本
 石油・天然ガス資源が殆ど無い日本。日本のエネルギー自給率がゼロを上回る可能性は皆無である。本稿で比較対象とした国の中で中国は今後も自給率が年々低下することは間違いなさそうである。これに対してロシアは現在でも生産量が消費量の2倍以上あり、新たな油田、ガス田の開発も行われているため、今後とも供給サイドのキー・プレーヤーであり続けるであろう。米国とインドは数年前から自給率が向上している。このような傾向がいつまで続くかは不明であるが両国は自国のエネルギー問題について多少とも余裕がある。

こうして見るとエネルギー問題で余裕が無いのは日本と中国であり、特に日本は非常に苦しい立場に立たされている。日本は原発事故による電力不足を乗り切るためにLNGの大量購入を迫られ、更に円高と世界経済の停滞による輸出不振も重なり貿易収支及び経常収支が赤字に転落した。円ドルの為替問題は円高であればエネルギーの輸入価格が低く抑えられる一方、工業製品などの輸出は打撃を受ける。円安の場合はその逆で輸出が回復する一方、エネルギー価格は上昇する。

これに加え国際的な政治情勢も無視できない。米国とイランの対立によりエネルギー価格はじりじりと上昇している。万一ホルムズ海峡が閉鎖されれば日本は石油・天然ガスの輸入及び価格の両面で大きな危機に晒される。

中国の場合も原油の調達面で大きな問題になるであろうが、日本とはかなり違った様相になると思われる。原油価格が上がれば同国の国営石油企業(SINOPECなど)は大きな利潤を得ることになる。為替も厳重に管理されており、また政府の政策誘導で国内のエネルギー消費を人為的に抑制することが比較的容易である。中国は石油・天然ガスの価格高騰或いは量的確保についてかなり柔軟性があると判断することができる。更に中国は国連安保理事会の常任理事国で外交大国であるためエネルギー問題について米国とは一線を画した政策を取ることができる。

一方、米国のエネルギー自給率が向上していることはどのように影響するであろうか。米国のエネルギー自給率は過去10年間常に5割を超えており、ここ2年間では6割近くに達している。このことからエネルギー需給に関して米国自体は世界の政治経済情勢に左右されるにくく、エネルギー問題に対する抵抗力が増していると言えよう。米国は中東に対する石油・天然ガスの依存度が確実に減っている。極論すればホルムズ海峡が閉鎖され、ペルシャ湾からのエネルギー供給が途絶し、世界の石油・天然ガス価格が暴騰したとしても、米国はさほど大きなダメージは受けない。エネルギー価格が高騰すればむしろ米国内のエネルギー産業が活況を呈し、その分野の雇用が増えるという見方すら出来る。このような状況下では米国の世論はイランに対する感情論は高まるにしても、「紛争は遠い地球の裏側の対岸の火事だ」という意識が生まれるに違いない。政治的な世論としては「イスラエルとともにイランと戦え!」ということはあっても、経済的な世論として「日本や韓国など友好国の経済危機に手を差し伸べよう」などという議論が起こるとはとても思えないのである。

大局的に見て日本が従来の対米依存方針を変えることのマイナス効果が大きいことは認めるが、だからと言って米国が日本を助けるなどと虫の良い考えは持たない方が良い。このことは大多数の日本人も解っているはずだ。結局日本のことは日本人自身で考えるしかないのである。

(完)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(3月13日)

2012-03-13 | 今日のニュース

・クウェイトで国際エネルギーフォーラム開催、イラン問題が焦点

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(3月12日)

2012-03-12 | 今日のニュース

・JX日鉱日石、ドバイに事務所開設。潤滑油の拡販目指す

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日米・BRICs6カ国の石油と天然ガスの自給率(中)

2012-03-11 | その他

 

(注)本稿の上中下は「前田高行論稿集 マイライブラリー」に一括掲載されています。

 

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0221EnergySupplyDemandGap.pdf

 

 

3.消費量
(1)2010年
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-1-98a6CountriesOilGasProdCons2010.pdf 参照)
 5カ国の中では米国の消費量が飛び抜けて高く2010年の石油・天然ガスの合計消費量は石油換算で3,092万B/Dであった。これは同年の世界全体の22%を占めている。米国に次ぐのが中国の1,094万B/D、ロシア1,034万B/Dでほぼ同量である。以下日本(608万B/D)、インド(439万B/D)、ブラジル(306万B/D)となっている。米国の消費量は中国の3倍弱、日本の5倍、インドの7倍に達している。

(2)2000年~2010年の消費量の推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-1-98c6CountriesOilGasCons2000-10.pdf 参照)
 2000年から2010年までの各国消費量の推移を見ると、米国は毎年3千万B/Dを超える高い水準である。その他の5カ国では中国の伸びが著しく、2000年の同国の消費量は519万B/Dであり、ロシア(880万B/D)、日本(678万B/D)より少なかった。しかし2004年には日本を追い抜き世界第3位の消費国になり、さらに2010年にはロシアを上回り1,094万B/D(世界第2位)となっている。同国の消費量は過去10年間に2倍に増加した。

 日本は6カ国の中では唯一10年間を通じて減少しており、2010年の消費量は2000年より10%減となっている。インドは中国と同様消費量が毎年増加しており、2010年には10年前に比べ1.6倍の439万B/Dに増加、今後もこのような増加傾向をたどれば近い将来日本を追い抜き世界第4位の消費国となる見込みである。

4.自給率(ロシアを除く5カ国)
 生産量(上記2)を消費量(上記3)で割った数値が自給率である。ロシアは生産量が消費量の2倍あり、自給率は常時100%を上回っている。ここではロシアを除く5カ国の自給率を比べてみる。
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-1-98d6CountriesSupplyGap2000-10.pdf 参照)
(1)2010年
 2010年の5カ国の自給率では、ブラジルが78%と最も高く、これに次ぐのが米国58%、中国52%、インド39%であり、日本のみが自給率ゼロである。石油・天然ガスの消費量が世界1位と2位の米国及び中国の自給率は5割を超えており、両国が消費量の半分を国産の石油・ガスで賄っていることは注目すべきである。またインドも4割のエネルギーを自給している。そのような中で世界第4位の消費国日本の自給率がゼロであることは極めて特異なことである。
  
(2)2000年~2010年の自給率の推移
 2000年から2010年までの自給率の推移を見ると、ブラジルは2000年の自給率が64%であったが2005年には80%に達し、その後もその水準を維持している。同国は近年深海油田の開発が軌道に乗っており、今後更に自給率が上がるものと推測される。

 これに対して中国は2000年には72%であった自給率が年々低下し2010年には52%になっている。同国の経済成長率は今後も高い水準を維持するものと思われ、それに伴ってエネルギーの需要も年々増加することは間違いない。そのため同国の自給率は今後もしばらくは低下し続けると考えられる。

 一方米国は2007年を境に自給率が改善する傾向にあり2010年は58%となり、2001年の57%を上回り、過去10年間では最も高い。同国では近年シェールガスやオイルサンドなど非在来型と呼ばれる天然ガス及び石油資源の開発が盛んである。これらの活発な探鉱開発活動が自給率の向上につながっていることは大いに注目すべきであろう。またインドも2008年を底に自給率が改善しており今後の動向が興味深い。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(3月10日)

2012-03-10 | 今日のニュース

・ギリシャ問題はさみBrent原油$125台でもみ合い。WTIは$106.92

 

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今週の各社プレスリリースから(3/4-3/10)

2012-03-10 | 今週のエネルギー関連新聞発表

3/6 出光興産    役員異動に関するお知らせ http://www.idemitsu.co.jp/company/news/2011/120306_2.pdf
3/6 出光興産    機 構 変 更 の 件 http://www.idemitsu.co.jp/company/news/2011/120306.pdf
3/6 石油連盟    地球環境保全自主行動計画について http://www.paj.gr.jp/paj_info/topics/2012/03/06-000561.html
3/8 ExxonMobil    ExxonMobil Plans Five-Year Investment of $185 Billion to Develop New Energy Supplies http://www.businesswire.com/portal/site/exxonmobil/index.jsp?ndmViewId=news_view&ndmConfigId=1001106&newsId=20120308005168&newsLang=en
3/9 JX日鉱日石エネルギー    仙台製油所の生産再開について http://www.hd.jx-group.co.jp/newsrelease/2011/20120309_01_1050061.html

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(3月9日)

2012-03-09 | 今日のニュース

・シェル、イラン原油購入をストップ

・エクソン・モービル、向こう5年間で原油、ガスに1,500億ドル投資

 

*シェル、エクソンの昨年度業績

 

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(3月8日)

2012-03-09 | 今日のニュース

・カタール、ガスの需給緩和を見据えてアジアでのLNG長期契約獲得に先手

・原油価格反転。Brent$122.74, WTI$105.29

 

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日米・BRICs6カ国の石油と天然ガスの自給率(上)

2012-03-06 | その他

 

(注)本稿の上中下は「前田高行論稿集 マイライブラリー」に一括掲載されています。

 

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0221EnergySupplyDemandGap.pdf

 

 

1.はじめに
世界経済が発展と停滞を繰り返しながらも、エネルギーの消費は毎年着実に増加している。そのエネルギーの枢軸をなしているのが石油と天然ガス、いわゆる化石資源である。石油と天然ガスの埋蔵量、生産量、消費量についてはBPの「BP Statistical Report of World Energy」をもとに毎年「BPエネルギー統計解説シリーズ(*1)」を執筆公表している。

*1 2011年版については下記参照。
石油篇:http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0187BpOil2011.pdf 
天然ガス篇:http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0189BpGas2011.pdf 
石油+天然ガス篇:http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0219BpOilGas2011.pdf 

 日本と米国は言うまでもなく世界有数のエネルギー消費国であるが、今後の世界経済を牽引すると言われるBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の消費量も非常に大きい。因みにBP統計をもとにこれら6カ国の石油・天然ガス合計消費量の世界順位を見ると米国1位、中国2位、ロシア3位、日本4位、インド5位とベスト・ファイブを独占しており、ブラジルも韓国に次ぐ世界13位である 。

 一方、日本を除く米国とBRICsの5カ国は同時に世界有数の石油・天然ガスの生産国でもある。同じくBP統計で世界順位を比較するとロシア1位、米国2位、中国6位の3カ国がベスト・テンに入っており、ブラジル及びインドはそれぞれ世界17位、24位である。つまり日本を除く5カ国は石油・天然ガスの大消費国であると同時に一大生産国でもあることがわかる。

 消費量と生産量の比率、即ち自給率で見ると、日本だけは自給率ゼロ(全量輸入に依存*2)であるが、その他の国は4割以上を国産の石油・天然ガスで賄っており、ロシアの場合は生産が消費を上回っている。

*2 日本国内でも石油・天然ガスが生産されているが、統計上は意味を持たないほど少量である。

 本稿は日米、BRICsの石油と天然ガスを合わせたエネルギーの生産量、消費量及び自給率について2010年の数値で比較するとともに、2000年から2010年までの各国の推移を分析したものである。なお天然ガスから石油への換算率は10億立方メートル/年=629万バレル/日である。

2.生産量(日本を除く5カ国)
(1)2010年
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-1-98a6CountriesOilGasProdCons2010.pdf参照)
 5カ国の中で石油と天然ガスの合計生産量が最も多いのはロシアの2,042万B/D(石油換算、以下同じ)であり、上に述べた通り同国は世界一の生産国である。これに次ぐ米国は1,804万B/Dで世界第二位である。中国、ブラジル及びインドの生産量はそれぞれ574万B/D、239万B/D、170万B/Dであった。ロシアと米国は非常に大きな生産量を誇り、中国も日本の消費量(608万B/D、後述)に匹敵する生産量があることに注目すべきであろう。

(2)2000年~2010年の生産量の推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-1-98b6CountriesOilGasProd2000-10.pdf参照)
 石油・天然ガスの合計生産量の推移を見ると、ロシア、ブラジル及び中国4カ国はほぼ毎年生産量が増加している。米国の場合は2000年から2005年までは減少傾向にあったがそれ以降の生産量は毎年前年を上回っている。そして5カ国はいずれも2010年が過去10年で最高の生産量であったことがわかる。

 2000年と2010年を比較した場合、最も大きく増加したのはロシアである。同国の2000年の生産量は1,564万B/Dで米国(1,709万B/D)より少なかったが2002年には米国を追い抜き2006年には2千万B/Dを突破、2010年には2,042万B/Dを記録している。ロシアの場合は石油生産の増加が大きな要因であり、2000年に42%であった石油の比率は2010年には50%に上昇、同国は現在石油と天然ガスが同じ割合で生産されている。これに対し米国の生産量は2005年に1,570万B/Dまで減少したもののそれ以降は毎年増加し続け2010年の生産量は1,804万B/Dに達している。

 中国はこれら2カ国に比べて生産量は少ないものの毎年着実に増えており、2000年の372万B/Dから2010年には574万B/Dと1.5倍に増加している。同国の場合はロシアと逆に過去10年間で石油の比率が2000年の87%から2010年には71%に減少しており、石油生産の停滞を天然ガスの開発で補っていることがわかる。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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