石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

日米・BRICs6カ国の石油と天然ガスの自給率(上)

2012-03-06 | その他

 

(注)本稿の上中下は「前田高行論稿集 マイライブラリー」に一括掲載されています。

 

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0221EnergySupplyDemandGap.pdf

 

 

1.はじめに
世界経済が発展と停滞を繰り返しながらも、エネルギーの消費は毎年着実に増加している。そのエネルギーの枢軸をなしているのが石油と天然ガス、いわゆる化石資源である。石油と天然ガスの埋蔵量、生産量、消費量についてはBPの「BP Statistical Report of World Energy」をもとに毎年「BPエネルギー統計解説シリーズ(*1)」を執筆公表している。

*1 2011年版については下記参照。
石油篇:http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0187BpOil2011.pdf 
天然ガス篇:http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0189BpGas2011.pdf 
石油+天然ガス篇:http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0219BpOilGas2011.pdf 

 日本と米国は言うまでもなく世界有数のエネルギー消費国であるが、今後の世界経済を牽引すると言われるBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の消費量も非常に大きい。因みにBP統計をもとにこれら6カ国の石油・天然ガス合計消費量の世界順位を見ると米国1位、中国2位、ロシア3位、日本4位、インド5位とベスト・ファイブを独占しており、ブラジルも韓国に次ぐ世界13位である 。

 一方、日本を除く米国とBRICsの5カ国は同時に世界有数の石油・天然ガスの生産国でもある。同じくBP統計で世界順位を比較するとロシア1位、米国2位、中国6位の3カ国がベスト・テンに入っており、ブラジル及びインドはそれぞれ世界17位、24位である。つまり日本を除く5カ国は石油・天然ガスの大消費国であると同時に一大生産国でもあることがわかる。

 消費量と生産量の比率、即ち自給率で見ると、日本だけは自給率ゼロ(全量輸入に依存*2)であるが、その他の国は4割以上を国産の石油・天然ガスで賄っており、ロシアの場合は生産が消費を上回っている。

*2 日本国内でも石油・天然ガスが生産されているが、統計上は意味を持たないほど少量である。

 本稿は日米、BRICsの石油と天然ガスを合わせたエネルギーの生産量、消費量及び自給率について2010年の数値で比較するとともに、2000年から2010年までの各国の推移を分析したものである。なお天然ガスから石油への換算率は10億立方メートル/年=629万バレル/日である。

2.生産量(日本を除く5カ国)
(1)2010年
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-1-98a6CountriesOilGasProdCons2010.pdf参照)
 5カ国の中で石油と天然ガスの合計生産量が最も多いのはロシアの2,042万B/D(石油換算、以下同じ)であり、上に述べた通り同国は世界一の生産国である。これに次ぐ米国は1,804万B/Dで世界第二位である。中国、ブラジル及びインドの生産量はそれぞれ574万B/D、239万B/D、170万B/Dであった。ロシアと米国は非常に大きな生産量を誇り、中国も日本の消費量(608万B/D、後述)に匹敵する生産量があることに注目すべきであろう。

(2)2000年~2010年の生産量の推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-1-98b6CountriesOilGasProd2000-10.pdf参照)
 石油・天然ガスの合計生産量の推移を見ると、ロシア、ブラジル及び中国4カ国はほぼ毎年生産量が増加している。米国の場合は2000年から2005年までは減少傾向にあったがそれ以降の生産量は毎年前年を上回っている。そして5カ国はいずれも2010年が過去10年で最高の生産量であったことがわかる。

 2000年と2010年を比較した場合、最も大きく増加したのはロシアである。同国の2000年の生産量は1,564万B/Dで米国(1,709万B/D)より少なかったが2002年には米国を追い抜き2006年には2千万B/Dを突破、2010年には2,042万B/Dを記録している。ロシアの場合は石油生産の増加が大きな要因であり、2000年に42%であった石油の比率は2010年には50%に上昇、同国は現在石油と天然ガスが同じ割合で生産されている。これに対し米国の生産量は2005年に1,570万B/Dまで減少したもののそれ以降は毎年増加し続け2010年の生産量は1,804万B/Dに達している。

 中国はこれら2カ国に比べて生産量は少ないものの毎年着実に増えており、2000年の372万B/Dから2010年には574万B/Dと1.5倍に増加している。同国の場合はロシアと逆に過去10年間で石油の比率が2000年の87%から2010年には71%に減少しており、石油生産の停滞を天然ガスの開発で補っていることがわかる。

(続く)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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