石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

EI世界エネルギー統計(旧BP統計)2024年版解説シリーズ(3)石油3

2024-07-12 | EIエネルギー統計

I.石油(続き)

3.石油精製能力

(拮抗する米国と中国の石油精製能力!)

(1) 2023年の国別石油精製能力 

(表http://bpdatabase.maeda1.jp/3-T01d.pdf参照)

 2023年の世界の石油精製能力は1億350万B/Dである。国別で精製能力が最も高いのは中国の1,848万B/Dであり、米国は中国よりほんのわずかに少ない1,843万B/Dである。両国はそれぞれ世界全体の精製能力の18%弱を占めている。両国に次いで高い精製能力を保有しているのはロシアである。ロシアは678万B/Dの能力を有しているが米国、中国の3分の1程度にとどまっている。

 

 世界4位はインド(509万B/D)、5位韓国(336万B/D)、6位サウジアラビア(329万B/D)であり、7位に日本(307万B/D)がランクされている。8位、9位及び10位の各国とその精製能力は以下のとおりである。

 

 8位イラン(260万B/D)、9位ブラジル(229万B/D)、10位ドイツ(208万B/D)。

 

(ついにトップに躍り出た中国!)

(3) 米国、中国、日本、韓国、インド5カ国の過去10年間の精製能力推移

(図http://bpdatabase.maeda1.jp/3-G03d.pdf参照)

 米国とアジア4カ国(日、中、韓、印)の 2014年から2023年まで10年間の石油精製能力の推移を追う。

 

 2014年の米国の精製能力は1,797万B/Dであり、中国1,525万B/D、インド万B/D、日本375万B/D及び韓国372万B/Dであった。米国は2019年に1,897万B/Dのピークに達したが、2021年には精製能力は100万B/D削減され1,794万B/Dとなり、2023年は1,843万B/Dまで回復した。

 

 これに対し中国の精製能力は2016年を底にその後は急激に能力を高め、2019年には1,600万B/D、2022年に1,700万B/D台へと増加のスピードが上がり、米国との格差が縮小した。そして2023年には1,848万B/Dとなりついに米国を上回る精製能力を確保している。

 

 日本と韓国とインドの3か国を比較すると、2014年はインドの精製能力は432万B/Dですでに日本(375万B/D)を上回っており、韓国の精製能力は日本を60万B/D強下回っていた。過去10年間を通して見ると、日本は一貫して減少しており、2023年の精製能力は300万B/Dをわずかに超える307万B/Dにとどまっている。

 

一方、韓国は2019年までは精製能力が拡大し続け日本を追い抜いた。ここ数年は横ばい状態であるが、2023年の精製能力は336万B/Dで、世界第5位に位置付けられている。インドは日本と逆に過去10年間継続して精製能力が増強しており、2023年の同国の能力は509万B/Dに達している。

 

(続く)

 

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     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

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                   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

 

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