(英語版)
(アラビア語版)
(目次)
Part I:「イスラエル、イラン核施設を空爆す」(1)
第一章 未明の出撃 (1/4)
20XX年某月某日未明、イスラエルの空軍基地から3機のF35ステルス戦闘機が東に向けて飛び立った。通常の訓練飛行或いは作戦訓練であれば西の地中海上空に向かうはずである。東へ向かえば数十分で隣国ヨルダンの国境を越え、さらにはサウジアラビア或いはイラク上空に達する。それは明らかな領空侵犯である。
しかし3機は離陸後ぐんぐん上昇し、高度1万メートルに達すると水平飛行に移り迷うことなく進路を真東にとった。高々度で巡航し目標地点が近くなれば低高度で侵入、任務終了後再び高々度に上昇して基地に帰還する予定である。作戦用語でいわゆる「Hi-Lo-Lo-Hi(ハイ・ロー・ロー・ハイ)攻撃」と呼ばれるものである。
機内の全地球測位システム(GPS)と機体に装着したレーザー誘導爆弾(LGB)「バンカーバスター」にセットされた攻撃目標はイランの首都テヘランの南200マイルにあるナタンズ。目標までの距離は約2,000KM。ナタンズの地下十数メートルの壕には数千基の遠心分離機によって濃縮ウランが製造されている。イランの核開発施設の中で最も需要な施設の一つである。
(続く)
荒葉一也
(From an ordinary citizen in the cloud)