(英語版)
(アラビア語版)
Part I:「イスラエル、イラン核施設を空爆す」(84)
第31章 回転する六角星(1)原子力空母H.S.トルーマン(1/3)

『マフィア』に続いて『アブダラー』も編隊を離脱した後、一番機の『エリート』はペルシャ湾上空をホルムズ海峡に向かって真っ直ぐ飛行を続けていた。彼の横には米軍戦闘機がぴったりと並走しており、コックピットのパイロットの姿をはっきり見ることができる。パイロットは時々こちらを見ては親指と人差し指を丸め<そちらはどうか?>と聞いてくる。『エリート』も同じ身振りで<OK!>と無言のサインを送る。
<彼らはどこへ連れて行かれたのだろう?>
『エリート』は並走する米軍機に僚友2機の行く先を尋ねたい衝動に駆られた。親分肌の彼は仲間の安否が何よりも気がかりだ。しかし無線の会話は禁じられている。そして自らの命運も米軍パイロットに委ねられていることに思いが至った。今はただ仲間二人と一緒に祖国に凱旋することを信じて状況に身を委ねる他なかった。
(続く)
荒葉一也
(From an ordinary citizen in the cloud)
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