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Part I:「イスラエル、イラン核施設を空爆す」(89)
第32章 回転する六角星(2)海に墜ちた一番機(3/4)

パイロットを放り出した無人の戦闘機はそのまま海面に向かって墜ちていく。機体の横の日頃見慣れない六角星のマークが目に入る。水兵たちは一様にどよめいた。
イスラエル機は海面に機体をぶつけると水しぶきを高くあげて一度跳ね上がった。機体はつんのめるように機首を真下に垂直になると、次に180度仰向けに引っくり返り海面に叩きつけられた。
その間、横っ腹の六角星もゆっくりと180度回転した。米兵たちは最初その星が余りにもスムーズに転がるように見えたことに違和感を覚えたが、彼らはすぐにその理由に気がついた。彼らが日頃見慣れた五角形の星は回転がぎこちない。それに比べ六角形の星は滑らかに転がる。
彼らは同時に六角形よりも五角形の方が安定していることにも気がついた。五角形は両手両足を広げた人間の姿である。二本足で立ち、両腕を真っ直ぐ横にあげ、頭がしっかりと正面を向いている五角形の星。どっしりと構えた五角形の星は自信を示している。それに比べ上下左右ともに対照である六角形の星は一見安定的に見えるが、目の前の『ダビデの星』は流れるように転がって行く。そして『ダビデの星』は水面を滑るように一回転し、やがて水兵たちの視界から消えていった。
(続く)
荒葉一也
(From an ordinary citizen in the cloud)
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