石油と中東

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BPエネルギー統計2018年版解説シリーズ:天然ガス篇 (2)

2018-07-24 | BP統計

 

2018.7.24

前田 高行

 

1.世界の天然ガスの埋蔵量と可採年数(続き)

(埋蔵量は増えても可採年数は低下気味!)

(3)1980~2017年の埋蔵量及び可採年数の推移

(図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-1-G02.pdf 参照)

 1980年末の世界の埋蔵量は72tcmであったが、2017年末のそれは194tcmであり、この37年間で2.7倍に増加している。埋蔵量は1990年、2001年及び2010年前後とほぼ10年毎に大幅に増加しており、以下のような4つの成長時期に分けることができる。

 

1980年代は年率4%前後の割合で伸び、1988年末の埋蔵量は96tcmに達した(第1期)。そして1989年には対前年比11%の大幅な増加を示し同年末の埋蔵量は106tcmとなった。その後1990年代は年間成長率が平均2%とやや鈍り2000年末の埋蔵量は141tcmであった(第2期)。2001年は前年比10%増加し同年末の埋蔵量は155tcmに達したが、2002年以降2007年までは年間成長率が1%以下に停滞している(第3期)。2008年から埋蔵量は再び増加の兆しを見せ2010年及び2011年の対前年比伸び率はそれぞれ4.4%、6.0%であった(第4期)。2011年から2017年の埋蔵量は横ばい状態で2017年末は194tcfであり現在の第4成長期が高原状態に達しているようである。

 

 一方可採年数の推移をみると1980年代は50年台前半であったが1990年代以降は50年台後半を維持し、2001年から2003年までは可採年数は60年を超えている。2004年以降は50年台後半に逆戻り、また2015年以降は50年台前半を維持、2017年の可採年数は53年となっている。上に述べた通り1980年から2017年まで可採埋蔵量はほぼ一貫して増加している(2012年および2015年のみ対前年比で微減)。可採埋蔵量が増加したことは世界各地に新しいガス田が発見され、或いは従来商業生産が難しいとされていたものが技術革新により実用化されたことを意味している。前者の新規ガス田発見の例としては中央アジアのトルクメニスタン、ロシアの北極海或いは東アフリカのモザンビーク沖における大型ガス田の発見があり、後者の技術革新の例としては米国のシェールガスや世界各国におけるコールベッドメタンの開発をあげることができる。しかし可採年数が低下している事実は新規発見を上回るベースで生産・消費が拡大していることが原因である。(生産量・消費量については第2章、第3章参照)

 

(続く)

 

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        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 


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