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石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

当面続く化石エネルギーの時代:五大国際石油企業業績速報シリーズ(2)

2024-02-14 | 今日のニュース

I. 5社の2023年第4四半期(10-12月)及び通年(1-12月)業績概要(続き)

以下の各表参照。

表A:http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-20A.pdf (利益、売上、設備投資)

表B:http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-20B.pdf (キャッシュフロー)

表C:http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-20C.pdf (石油・ガス生産量)

 

(10-12月期は大幅な減益、通年利益でも前年の2分の1!)

2.Shell[1]

*同社ホームページ:

https://www.shell.com/media/news-and-media-releases/2024/fourth-quarter-2023-results-announcement.html

(1)売上高

 Shellの2023年10-12月の売上高は787億ドル、通年売上高は3,166億ドルであった。前年同期比ではそれぞれ▲22%及び▲17%の減収である。

 

(2)利益

 10-12月期及び通年の損益はそれぞれ5億ドル及び194億ドルであった。10-12月期は前年同期の20分の1、通年でも前年の2分の1にとどまった。

 

(3)売上高利益率

 通年ベースの売上高利益率年は6.1%であり前年11.1%を大幅に下回った。

 

(4)設備・探鉱投資

 2023年の年間の設備・探鉱投資額は230億ドルであり前年(226億ドル)とほぼ横ばいである。

 

(5)キャッシュフロー

Shellの2023年の年間営業キャッシュフローは542億ドルであった。これに対して投資キャッシュフロー及び財務キャッシュフローはそれぞれ▲177億ドル、▲382億ドルであった。この結果同社の2023年12月末のキャッシュフロー残高は388億ドルとなっている。

 

(6)石油・ガス生産量

 昨年のShellの石油生産量は1,325千B/Dであり、前年(2022年)と変わらない。天然ガスは日量平均2,754mmcfdであり前年を▲16%下回っている。石油と天然ガスの合計生産量は石油換算で1,800千B/Dとなり、前年比▲5%減となっている。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行

 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

     Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

     E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

[1] Shellの売上、利益、設備投資及びキャッシュフローは決算資料の下記項目による。

売上:Total revenue and other income

利益:Incom/loss attributabel to shareholders

設備投資:Capital expenditure, Consolidated Statement of Cash Flow

営業キャッシュフロー:Cash flow from operating activities

投資キャッシュフロー:Cash flow from investing activities

財務キャッシュフロー:Cash flow from financing activities

年末キャッシュフロー残高:Cash and cash equivalent at end of period

 

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見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(116)

2024-02-14 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第5章:二つのこよみ(西暦とヒジュラ暦)(2

 

116 西暦に侵食されるヒジュラ暦(2/4)

 日本でもかつては月の満ち欠けによる太陰暦が使われていたが(旧暦)、季節のずれを調整するために閏月(うるうづき)が設けられていた。しかしヒジュラ暦ではそのような操作は行われないため毎年季節が少しずつずれていくことになる。その結果断食月として知られるヒジュラ暦第9番目のラマダーン、或いはヒジュラ暦最後の12番目の月の恒例のマッカ大巡礼(ハッジ)が真夏になることもあれば真冬になることもある。ヒジュラ暦では30数年単位で季節が巡ることになる。西暦622年がヒジュラ元年であったが、今年(2020年)8月にヒジュラ暦は1442年を迎える。西暦622年から2020年までは1398年間であるが、ヒジュラ暦では1442年間であり暦の上では44年も先に進んでいることになる。

 

 イスラーム諸国と昔の日本が同じ太陰暦を使用しながら日本では閏月を設けて季節のずれを調整したのに対してヒジュラ暦では今も調整されない理由を考えると興味深い。そもそも毎日の月の満ち欠けを暦のベースにすることは、太陽が1年をかけて高低を繰り返し、日の出と日没がほんの少しずつ早くなったり遅くなったりする現象に比べて目に見えてわかりやすい。そしてもう一つイスラーム発祥の中東には月と太陽に対する特有の感覚の違いがあることが指摘できよう。日本のような温帯性気候の国では太陽は恵みであると考える。しかし灼熱の乾燥した砂漠が多い中東では太陽は時に死を意味する。それに対して穏やかな月夜は憩いの時である。アラブの人々は太陽よりも月を愛する。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

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