(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0548OilMajor2021-3rdQtr.pdf
4.設備投資[1]
(Shellが46億ドルでトップ!)
(1)当期設備投資 (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-54.pdf 参照)
国際石油企業5社の7-9月期設備投資は、Shellが46億ドルで最も多く、これに次ぐのがExxonMobilの39億ドルである。その他の3社はbp 29億ドル、Chevron28億ドルで、TotalEnergiesは5社中で最も少ない19億ドルであった。前期(4-6月期)に比べると、bp、Shellは増加、ExxonMobil及びChevronは横ばいであるが、TotalEnergiesは▲42%と大幅に減少している。
(横ばい続ける4社、半減させたTotalEnergies!)
(2)2019年10-12月期以降今期までの設備投資の推移
(図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-64.pdf 参照)
2019年10-12月期の各社の設備投資はExxonMobilの85億ドルを筆頭にShell、Chevronが60億ドル台で続き、TotalEnergies及びbpは40億ドル前後であった。2020年に入り各社の設備投資は急減し、2020年7-9月期には各社ともほぼ半減している。その後10-12月期は少し回復したが、2021年1-3月期はExxonMobilが前期比▲34%減の37億ドルであった他、bpを除く4社はいずれも減少した。そのbpも4-6月期は前期比▲34%であった。今期(7-9月期)はExxonMobil、Shell、bp、Chevron4社はほぼ横ばいであるが、そのような中でTotalEnergiesのみは今年に入ってから3期連続で設備投資を削減しており、今期は昨年10-12月期の4割に落ち込んでいる。
5月に公表されたIEAレポートは2050年までの炭酸ガス排出量ネットゼロを目標とし、化石燃料供給プロジェクトへの新たな投資を控えるよう提言している[2]。またオランダの裁判所がShellに対して2030年までに排出量を2019年比で45%削減するよう命じており(Shellは控訴中[3])、ExxonMobilの株主総会では環境対策を求める投資ファンドから取締役2名の選任を押し付けられた[4]。さらに11月に英国で開催された国連COP26では化石燃料の使用に強い警告を発している。このように石油企業を取り巻く環境は厳しさを増しており、各社とも従来の設備投資方針の見直しを迫られている。
(続く)
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[1] 「設備投資」は各社資料から下記項目を抽出した。
ExxonMobil:Capital and Exploration Expenditures
Shell:Capital expenditure, Consolidated Statement of Cash Flow
bp:Capital expenditure
TotalEnergies:12. Net investments
Chevron:Capital & Exploratory Expenditure, Worldwide
[2] ‘Net Zero by 2050 A Roadmap for the Global Energy Sector’
https://www.iea.org/reports/net-zero-by-2050
[3] ‘Shell response to Dutch court ruling in case brought by Milieudefensie!’
[4] ‘ExxonMobil announces preliminary results in election of directors’