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石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

需給バランスを破壊したコロナ禍とOPEC:メジャーズとJXTG/出光興産の業績比較(2)

2020-06-01 | 海外・国内石油企業の業績
(注)本レポートは「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0505MajorJxtgIdemituMar2020.pdf


I.2019年(度)業績比較
(表http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-25.pdf参照)
1.売上高 (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-5-01.pdf 参照)
JXTGJXTGの2019年4月-2020年3月(以下2019年度)の売上高は10兆円である。これを1ドル=109円で換算すると919億ドルとなる。また出光の同年度の売上高は6兆460億円であり、ドルに換算すると(換算レート108.7円/ドル)556億ドルである。

これに対して国際石油企業(以下メジャー)5社の2019年1-12月(以下2019年)の売上高は最も多いShellが3,521億ドル、ついでBP 2,784億ドル、ExxonMobil 2,649億ドル、Total 2,003億ドル、Chevron 1,465億ドルである。JXTGはメジャーで最大のShellの4分の1であり、最も少ないChevronの6割にとどまっている。出光はShellの6分の1に過ぎず売り上げ規模ではJXTGあるいは出光はメジャーと大きな差がある。

2.総合利益 (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-5-02.pdf 参照)
 JXTGの2019年度の総合損益は1,879億円(17億ドル)の巨額の赤字であった。出光はJXTGほどではないが同じく229億円(2億ドル)の損失を計上している。一方メジャーはShellの158億ドルを筆頭に、以下ExxonMobil 143億ドル、Total 113億ドルといずれも100億ドル以上の利益を計上、BP、Chevronはこれら3社に及ばないまでもそれぞれ40億ドル及び29億ドルの黒字であった。

 日系2社とメジャー5社の損益は極端な明暗に分かれているが、これは後述する四半期決算の比較に示す通り今年1-3月に石油価格が暴落したことに伴い、日系2社が第4四半期(1-3月)に原油及び製品の在庫評価損を計上したためである。決算期間のずれが業績に大きな影響を及ぼしていると言えよう。因みにChevron、Totalを除く欧米3社も1-3月期は赤字を計上している。

3.売上高利益率 (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-5-03.pdf 参照)
 JXTG、出光とメジャーの売上高利益率を比べてみると、利益率が最も高いのはTotalの5.6%であり、これに次ぐのがExxonMobil 5.4%、さらにShell 4.5%、Chevron2.0%、BP1.4%と続いている。これに対しJXTGは▲1.9%、出光は▲0.4%である。因みに前年(2018年)と比べると、Chevron が8.9%と最も高く、ExxonMobil(7.2%)、Shell(5.9%)、Total(5.5%)とメジャー5社のうち4社の利益率は5%を超えている。これに対しJXTGは2.9%のプラスであるが、BP(3.1%)より低く利益率でもメジャーに及ばない。(出光は今回が合併後初決算のため前年度の数値なし。)

(続く)

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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp


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