石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

ニュースピックアップ:世界のメディアから(9月5日)

2012-09-05 | 今日のニュース

・サウジアラビア、2030年には石油輸入国に転落か?国内電力急増で燃料需給ひっ迫:Citigroupレポート

 

*参考:「BPエネルギー統計レポート2012年版:石油篇」

 http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0231BpOil2012.pdf

 

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BPエネルギー統計レポート2012年版解説シリーズ:天然ガス貿易篇6 LNG貿易(3)

2012-09-05 | その他

 

(注)本レポートは「マイ・ライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

 

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0238BpGasTrade2012.pdf

 

 

5.LNG輸入
(世界のLNGの3割以上を輸入する日本!)
(1)2006~2011年のLNG輸入の推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/4-2-G03.pdf 参照)
 LNG輸入の全体量は2006年の2,111億㎥から2011年には1.6倍の3,308億㎥に増加している(既述第3項(1)の輸出の総量と同じ)。国別で見ると日本の輸入量は2006年の819億㎥から2008年に921億㎥に増加した。2009年には一旦859億㎥に減少したものの、2010、2011年は再び増加、特に2011年は対前年比14%の大幅な増加を示し1千億㎥を突破した。これは言うまでもなく原発の運転停止による火力発電用燃料としてLNGの輸入が急増したからである。この状況は今後もしばらく続くため日本のLNG輸入は高止まりするものと考えられる。

 韓国は日本に次いで輸入量2位の位置を占めているが日本との差は大きい。従って日本は当分の間LNG輸入量が世界一であり続けることは間違いない。但しLNG貿易は拡大しており、また輸入国も多様化しているため、日本のシェアは2006年の39%から2011年には32%へと漸減傾向にある。

 第3位の英国はここ数年で急激に輸入量が増加している。即ち2008年は10億㎥に過ぎなかった同国のLNG輸入は2009年には一気に103億㎥に激増し2011年には253億㎥のLNGを輸入している。英国はこれまでは北海油田からの随伴ガスにより国内のガス需要を賄っていたが、油田が枯渇しつつあるため安定的な天然ガス供給源として外国産LNGを輸入するため2009年にウェールズ州サウス・フックにLNG受入基地を建設している。

 これら3カ国以外の主なLNG輸入国はスペイン、インド、中国、台湾等である。上位7か国のうち4カ国(日本、韓国、中国、台湾)は極東アジアの工業国である。日本、韓国及び台湾は国内にガス資源が殆ど無く、またパイプラインで近隣国から輸入する手段もないため天然ガスをLNGに依存しているのである(なおロシア産のガスを日本はサハリンから、また韓国は北朝鮮経由のパイプラインで輸入する計画もあるが、採算性、政治的リスク等の問題があり実現には障壁が多い)。

(米国は世界10位のLNG輸入国。しかしいずれは輸出国に!)
(2)2011年の国別LNG輸入量
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/4-2-T02.pdf 参照)
 2011年のLNGのNET輸入国は24カ国であり、総量は3,260億㎥である(注)。1位は日本であり1,070億㎥を輸入し世界に占めるシェアは33%に達する。2位は韓国(493億㎥)であるが日本の半分以下に留まっている。3位英国(253億㎥)、4位スペイン(234億㎥)はさらに韓国の2分の1前後である。

 中国(166億㎥)はインド(171億㎥)に次いで輸入量世界7位であるが、その伸びは著しく、2006年には10億㎥に過ぎなかった輸入量が2007年は39億㎥、2009年は76億㎥となり、昨年2011年には166億㎥と6年間で17倍に増加している。この勢いが続けば今年はインドを追い抜き、数年後には日本、韓国に次ぐ世界3位のLNG輸入国になることは確実であろう。

 この他LNG輸入上位10カ国にはフランス、イタリア及び米国が名を連ねている。このうち米国は国内でシェール・ガスの生産が急拡大しており、LNGとして輸出する計画も浮上している。米国の石油・天然ガスの自給率は近年急速に改善しており2011年は62%に達している(本シリーズ「石油+天然ガス篇」3-(6)参照)。近い将来米国のエネルギー自給率は100%を超えてエネルギーの輸出国になると思われる。

(注)各国のNET輸入量の合計。LNGの輸入と輸出を同時に行っている国については両者を相殺した数量である。例えば米国は中南米から100億㎥のLNGを輸入する一方、アラスカ産LNGなど20億㎥を日本他各国に輸出しており、同国のNET輸入量は80億㎥である。このため上記(1)の輸入量(Gross)と異なる。

(続く)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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