Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

ツキと6ペンス

2014-12-26 01:58:39 | コラム
少し前の話だが―。
格闘家の石井慧に会ってきた。
(写真・女子のほうは、アイドルをやっている奥さん)

柔道で金メダルを取ったひとなのに、柔道家とかメダリストと「ここまで」いわれないひとも珍しい。

石井は、鳴り物入りで総合格闘技の世界にデビューした。
先輩の、吉田秀彦や小川直也以上に。
メダルを取った直後だったものだから、受け手が抱く幻想も大きかった。

ボクシング、村田諒太と同じような扱い。
テレビ的にいえば、「確実に数字が取れるひと」であったから。

しかし。
巧かったのは「喋り」だけで、格闘技のセンスがあるとは思えないデビュー戦を展開し恥をかいた。
なにしろパンチが届かない、これはリングに上がる以前の問題だと自分も失望した。

そうして石井は、ハワイに雲隠れする。
「誰にも会いたくない」と。

それからしばらくして、(彼の所為ではないが)「K-1」や総合格闘技が地上波テレビから消えた。

現在の石井?

地道に練習を続けている。
戦いかたは柔道時代と似て、相変わらず派手さはないけれど。

二度目の結婚は順調、嫁さんのことが本当に好きで、彼女の下着を嗅いではニタニタしているという。
ここいらへんの性癖は自分によく似ており、とても好感を抱く。


総合を「なめていた」ともいえる石井のキャリアはしかし、タイミング―時代といってもいいが―によっては、もっと開花していたかもしれない、、、などとも思う。

そう、ツキにも見放されていた。
前述したように、石井が総合参戦したあたりから日本の格闘技熱が冷め、冬の時代が訪れる。
それは現在でも続いているわけだが、石井がデビューしたその日に、格闘家を引退したものが居る。

「K-1」のスター、魔裟斗だ。

石井とちがって、魔裟斗のタイミングは抜群だった。
「K-1」が日本に認知されたころにデビューし、冬の時代が訪れる前に引退。

魔裟斗、ひとり勝ち。
まるで、すべてを知っていたかのようなキャリアなのである。

魔裟斗が時代を作った―ともいえるかもしれないが、それだけじゃあないだろう。
ツキがあったんだと思う。
時代の空気を敏感に感じ取る嗅覚にも優れていた、そんな風に評価出来ないだろうか。

それもまた才能なのだろうな。
ということを、現在の石井と会って痛感させられている。


でも、なんというのかな。
ヒトとして、ツキのないヤツにこそ魅かれるところがないかい?

ジョン・マクレーンじゃないけれど。

たとえばヤクルトの伝説的投手、伊藤智仁。
スライダーの天才といわれ、しかし、何度も何度も、あと一歩のところで完封試合を逃している。
(タイミングをずらした篠塚が、アクマに見えたよ!笑)

たとえば、レオくんことレオナルド・ディカプリオ。
オスカー級の演技を披露し、今年こそ取るんじゃないか―といわれる年にかぎって、有力過ぎる対抗馬が出てきてしまうツキのなさ。

この世は残酷だなぁって。
でも、こういうひとだからこそ、ドラマが生まれるのだなぁって。

好きだったが、魔裟斗は完璧に過ぎて、応援しがいがなかったもの。


だから自分は、みんな「口だけ」といって見放している石井慧のことを、もう少し応援しようと思っている。


※フジとTBSの格闘技対決。
この年、この試合だけにかぎっていえば、TBSのほうが勝っていた。

そうなんだ、魔裟斗は対戦相手によって輝くファイターなのである。




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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

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明日のコラムは・・・

『年代別 ☆きらきら・ぎらぎら★ ~年末年始特別篇その壱~』

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初体験 リッジモント・ハイ(108)

2014-12-25 00:19:12 | コラム
クリスマスが描かれる映画でもうひとつ、大事な作品を忘れていた。

生涯のベストテンの一本に入れている、ミロシュ・フォアマン×ジャック・ニコルソンの『カッコーの巣の上で』(75)。

刑務所の強制労働がイヤで精神病を偽ったマクマーフィーが、入院した精神病院で「ひっちゃか、めっちゃか」を繰り返し、ついにはロボトミー手術で植物人間にされてしまう―という、じつにショッキングな映画だった。

シャバに戻りたくなったマクマーフィーが、病院からの「脱獄」を企てる。
しかし世間はクリスマスで浮かれている。
ここ(病院)に居続けるこいつら(患者たち)にも、少しは刺激が必要なはずだ。

脱獄前夜―。
彼は病院内に女子を連れ込み、患者たちに酒を振る舞った。

翌朝―。
鬼看護婦長が乱痴気騒ぎの「宴のあと」を目の当たりにし、怒りに震える。
ナンヤカンヤがあって、マクマーフィーは強制的に手術台に乗せられる・・・というわけ。

ロマンチックな日、、、のはずなのだけれどもね。


さて、自分の話である。

21歳のころ、バイト先の女子大生Kちゃんに恋をした。

脚美人。
アニメ声。
病弱風。

もろ自分の好みである。

けれども。
ちゃんと告白して、ちゃんと振られた。

聞けばKちゃんも、振られたばかりだという。
同じバイト先のSさんと、うまくいきそうで、いかなかったと。

じゃあ、どっちも傷心なんだねと笑い合う。
こうなると、ドラマなんかでは新しい恋が生まれたりするもの。

恋が生まれなくとも、たとえば『ディア・ハンター』(78)では・・・
帰還しない恋人(クリストファー・ウォーケン)を待つのが辛くなって、メリル・ストリープは共通の友人であるデ・ニーロに「お互い、慰め合いましょう」といってベッドに誘っている。
映画のなかのデ・ニーロは自尊心を傷つけられたような演技をしていたが、自分なら「ほい、きた!」とむしゃぶりつくところだろう。

だが現実は甘くない。
Kちゃんは、トーゼンだが「慰め合いましょう」といってくれなかった。

お前がいえって?

それはさすがにおかしいでしょう、狂っているでしょう、振られた張本人なのだから。

しかしクリスマスにひとりで居るのはさすがに寂しいから、その日の晩だけはデートみたいなことをしてみよう―ということになった。

デートの場所は、自分が住む町田のオンボロアパート。
なんとか出来そうだが、そうはさせまい! とする雰囲気が強く、これは無理だなぁと最初の10分であきらめた。

うん、なにもしてませんよ。
訂正、手だけつなぎました。

純よのぉ、自分にもそんな時代があったんだよ。


さて、そんな日になにを喰ったかという話である。

チキン?

ちがう。

ピザ?

ちがう。

ケーキ?

ちがう。


炊き込みご飯、だったのである。
Kちゃん手作り? の。


自分のリクエストではない。
白米推しだし。
炊き込みや、まぜご飯の類は「あんまり…」だし。
好きなのは唯一、わかめご飯くらいだし。

それでも、3合の炊き込みご飯はその晩で完食した。

エラソーにいうが、そこそこ美味かったから。


「ねぇ、なんでこれにしたの? チキンとかじゃなくて」
「クリスマスから、かけ離れたものを食べたかったんだもん」


なるほどなぁ。
傷心娘、いじましいじゃないかと。

というわけで、ふたりがどうこうしたとかいう展開は、ぜんっぜんなかった。

現実は、こんなものということで。


おわり。


※映画『ラブ・アクチュアリー』より、無言の告白シーン




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初体験 リッジモント・ハイ(107)

2014-12-24 00:10:00 | コラム
きょうはクリスマスイヴなので、柄じゃあないが、たまにはいいでしょう、クリスマスのことを書こう。

クリスマスを描いた映画といえば、挙げ切れないくらいに沢山ある。
たぶん、大晦日や元旦を描いた映画より多いだろう。
現実社会では大晦日や元旦のほうが劇的なのだけれども、クリスマスはロマンチックだからね。

『ダイハード』(88)でもマクレーンがタカギ社長に聞いている、

「日本でもクリスマスを祝う?」と。

それに対しタカギ社長はこう返す、

「日本は柔軟なんですよ」

うん、それに尽きると思う。
現代でも違和感が残る(日本における)ハロウィンだが、あと10年もすれば「かなり」馴染んでいるかもしれないし。


いつもの繰り返しになるが、ここ20年、、、いや、生まれてからずっと、自分にとってのクリスマスはチキンを喰らう日であって、教会に行く日でもなければ、素敵なデートを楽しむ日でもない。

チキンチキンチキンチキンチキンチキンチキンチキンチキンチキンチキンチキンチキン、
一口だけケーキ、
チキンチキンチキンチキンチキンチキンチキンチキン、
一口だけケーキ、
チキンチキンチキンチキンチキンチキン、最後にケーキ…みたいな感じ。

そんな自分でも、若きフリーターだったころはアルバイトのシフトに「24日だけ×印」をつけていたものだ。
25日は無問題、でも24日は「予定がなくても休みたい」―そんな、フツーの若者だったわけですよ。

見栄です、見栄。

いまはそういう歳じゃないからね、あぁそうですよ、キチン馬鹿喰いしてシコッて寝るだけですよ―と、初対面のひとにだっていえるようになった。

時代的にも10年くらい前と比べると、みんなそれほど気にしなくなったようにも思う。
そりゃ企業はいろいろ売りたいから煽るが、はしゃぐのは子どもたちくらいなんじゃないか。

恋人たちにとっては、現代でも素敵なイベントであることに変わりはないが。
背景が整っているものねぇ、冬とイルミネーションと、ときどき雪と。

♪ 日本じゃ真冬のクリスマス、オーストラリアじゃ真夏のクリスマス ♪
(ももクロ、『サンタさん』より)


というわけで。
今回の初体験シリーズは、クリスマスに「初めて女子と過ごしたとき」のエピソードを綴ってみる。


まずは、いつものとおり映画から。

以下、思いつくままクリスマスの映画を―。


『ラブ・アクチュアリー』(2003)
『三十四丁目の奇蹟』(47)
『3人のゴースト』(88)
『スモーク』(95)
『戦場のメリークリスマス』(83)
『クリスマス・キャロル』(70)
『ホーム・アローン』(90)
『素晴らしき哉、人生!』(46)
『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(93)
『あなたが寝てる間に…』(95)
『ナショナル・ランプーン/クリスマス・バケーション』(89)
『バッド・サンタ』(2003)
『グレムリン』(84)
『クリスマス・ストーリー』(2008)
『大停電の夜に』(2005)
『サンタが殺しにやってくる』(80)
『恋におちて』(84)
『スマイル 聖夜の奇跡』(2007)
『ホワイト・クリスマス』(54)
『サンタクローズ』(94)


・・・そして、もちろん『ダイハード』。

まだまだあるけどね、このくらいでいいか。


ちなみに高校2年生のころ、ダサダサだった自分は他校に通うヤンキー女子高生に惚れて、通学中に恋文を渡した。
自分がバイトしていた映画館『清流』で上映中の『ダイハード2』(90)に誘ったのだが、まぁ予想通り振られた。

だからこれは初体験シリーズのエピソードではなく、単なる前フリである。

それから4年後の21歳のとき、初めて女子とクリスマスを過ごすことになった―。

つづく。





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HAPPY

2014-12-23 00:10:00 | コラム
映画小僧を自称しているので、「しあわせな気分になる映画、教えて~」なんていうお願いを、きゃわいい女子からされることがある。

まぁ楽勝っちゃあ楽勝。
あまり「ひねり」を加えずに数本を挙げれば、「ありがとう~。ハッピーな気分になれたわ♪」と感謝されるもの。

ところが。
「まっき~が、しあわせな気分になる映画、教えて~」という「自分自身への問い」となると、ちょっとばかり厄介かもしれない。

「ひねっていない」のに「ひねり」を加えたように捉えられるから。

真面目に答えているのだけれどね、
ひとがどんどん死んでいく『タクシードライバー』(76)や、
父が娘を撃つ『カノン』(98)、
全員が救われているわけではない『マグノリア』(99)、
苦難の旅がつづく『ユリイカ』(2000)などを観て、自分はほんとうにハッピーになり、あぁ生きよう頑張ろうと思うのだもの。


とはいえ。
いつもそんな作品ばかり観ているわけじゃない、軽快なストーリーテリングと心地良い映像に身をゆだね、なーーーんにも考えずに映画を楽しみたいときだってある。

あすはクリスマス・イヴだからね、「(場合によっては)ひとが死ぬには死ぬが、死者を最小限に抑えた?」自分がハッピーになる映画を20本挙げておこうか。


※制作年度順…意外とフツーだし、それに、やっぱり80年代が多くなるね!

『お熱いのがお好き』(59)…観返す度に感心する、ビリー・ワイルダーは天才だなぁって。
モンローのキャリアでも、いちばんの作品なのではないかな。

『椿三十郎』(62)…前作よりも、かなりコミカルな味つけ。
それでも、ひとは死んでいるのだけれども。

『家族ゲーム』(83)…日本映画史上で最高のコメディ。
うん、まちがいない。

『グレムリン』(84)…初めて行列に並んで観た映画。
映画館でのワクワク原体験は、この作品にあるのかも。

『グーニーズ』(85)…このころのハリウッド産ビッブバジェットの「ほとんど」に、スピルバーグが関わっている。
すごいひとだよ、ほんとうに。

『ビバリーヒルズ・コップ2』(87)…兄リドリーが偉大過ぎて過小評価されたトニー・スコットだが、こんなに純粋に楽しめる映画は、リドリーは創れないと思う。

『赤ちゃん泥棒』(87)…ジェットコースター感覚で、100分があっという間。
いまのコーエン兄弟も好きだけど、このころのほうが「もっと」好き。

『ワンダとダイヤと優しい奴ら』(88)…世界映画史上で最高のコメディ。
これ、絶対。

『ニュー・シネマ・パラダイス』(88)…ベタといわれようが、好きなものは好き。
完全版でトトの童貞喪失シーンがあるが、なんか笑っちゃった。

『メジャーリーグ』(89)…結末が分かっていても、何度でも楽しめる。
それぞれのキャラクター造形がしっかりしており、それが勝因だろう。

『ビルとテッドの大冒険』(89)…馬鹿馬鹿しさが徹底されていて、不思議と感動してしまう。
最近のキアヌはネガティブ発言連発だが、原点回帰ということで、久し振りにこういうのに出てみればどうだろう。

『デーヴ』(93)…影武者がホンモノより優秀だった―というのは、よくある話だが、脚本がしっかりしているうえに俳優陣もみな好演、これぞ良質なエンタメ映画。

『エド・ウッド』(94)…こころ打たれる、「評価されなかった」映画監督の物語。
敢えて悲惨な後半生を描くことをしなかったところに、監督ティム・バートンの意図が見える。

『ベイブ』(95)…かわいい子豚を見ていると、自分も頑張ろうと思えてくる。
創り込んではいるが、じつにシンプルな物語だ。

『エリン・ブロコビッチ』(2000)…「全員にフェラしてやった」から署名を取れたと発するジュリア・ロバーツが、最高に格好いい。

『キューティ・ブロンド』(2001)…バカが知性派をやっつける物語。
強引さが目立つものの、気持ちいいからそれもよし。

『ムーラン・ルージュ』(2001)…ミュージカルから一本。
いつもやり過ぎなバズ・ラーマンだが、この作品にかぎっては、それが功を奏した感じ。

『スクール・オブ・ロック』(2004)…ジャック・ブラックのひとり舞台。
楽しそうに演奏する子どもたちを見ていると、こういう学園生活も悪くないなと。

『ヒューゴ』(2011)…血もファック・ユーもないスコセッシの映画も、たまにはいいものだ。
映画好きなら、観ておくべし。

『テッド』(2012)…字幕版・吹き替え版の両方で楽しめる。
ダメ中年こそ、この映画の真の面白さが分かるんじゃないかな。






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シネマしりとり「薀蓄篇」(102)

2014-12-22 00:10:00 | コラム
とらう「ま」→「ま」ーだーけーすぶっく(マーダーケースブック)

『週刊マーダーケースブック』とは、世界の猟奇的殺人事件をファイル化した雑誌のこと。

95年に創刊号が発売され、96号までが発刊された。(97年に完結)
現在は絶版中でオークションや古本屋でしか手に入らないが、これらすべてを揃えた自分のことを自分で褒めてあげたいと思う。

趣味性や専門性に特化されたこれらの雑誌は、創刊時こそ書店で平積みされるが、(よほどの人気作でないかぎり)社会的な興味は薄れていき、発行部数そのものが激減していくものだから。

それを予約せず、近所の書店を回りに回ってすべてを揃えたのだから、自分は偉いなぁと。
だからこそいうが、なんで96号で終わるのかなぁ。100号までいこうぜ!!

こういうの集めるのに真剣になるのは、我ながら趣味が悪い。
ただそこそこ売れたのだから、みんな興味があるということではないか?

この世界? の90年代のトピックスといえば、元FBI捜査官ロバート・K・レスラーが著した『FBI心理分析官』がベストセラーとなり、プロファイリングやシリアルキラーという専門的用語が一般化したこと。

シリアルキラーとは、殺害そのものを目的とする犯罪者を指す。
つまり金銭や憎悪を目的としない、快楽先行のヘンタイ殺人鬼。

…………………………………………

男がほとんど。
身内に犯罪者やアルコール・麻薬中毒者が居る。
幼児期に児童虐待や育児放棄など、悲惨な体験をしている。
異性との正常な性交が不可能にちかい。
殺人の手口や被害者の特徴が共通している。

…………………………………………

・・・などなど、レスラーは様々な嗜好を項目化。
もちろんそれに当てはまらないケースも稀にあるが、大抵はその「いずれかに」含まれる。

自分が興味を抱くシリアルキラーは、

女優シャロン・テートを惨殺したチャールズ・マンソン、
「何百人殺した」と告白したヘンリー・リー・ルーカス、
パリで人肉を食した佐川一政、
そして、未だ未解決のゾディアック事件の犯人。

映画とシリアルキラーは、たいへんに相性がいい。
あんまり趣味がいい傾向とはいえないけれど、でも映像には「ある種の」インパクトが必要で。

血や暴力のおぞましさは、観たくない。目をふせる。でも、ちょっとだけ観てみたいと思う―この複雑な感情の揺れを、映画はきっちりと「掬って」くれる。

フィクションではなく、ノンフィクションのシリアルキラー「入門篇」として適切な映画をいくつか挙げてみよう。


『モンスター』(2003)

米国史上初の女性シリアルキラー、アイリーン・ウォルノスを描いた傑作。

シャーリーズ・セロンが、敢えていうが「初めて」女優した映画なんじゃないか。






『ゾディアック』(2006)

謎のシリアルキラーに翻弄される刑事や作家を中心に描く、デヴィッド・フィンチャーの野心作。

異常者は、ふつうの人間を異常にするほどのパワーを宿している、、、ということか。

『冷たい熱帯魚』(2010)

園子温が躍進するきっかけとなった大傑作。

「埼玉愛犬家殺人事件」をモデルに、狂気の世界をパワフルに描く。

『ロシア52人虐殺犯/チカチーロ』(95)

ノンフィクション『子供たちは森に消えた』をベースに描く問題作にして、シリアルキラー映画の教科書のような作品。

とはいえ、罪もない少年少女を惨殺した彼に嫌悪感を抱くひとも多かろう。

『悪魔のいけにえ』(74)

嘘みたいな話だが、(誇張はあるものの)実際に起こった事件だというのが恐ろしい。

この映画の殺戮描写は悪趣味から一線を超え、映画史に残ると評するファンも多い怪作である。


次回のしりとりは・・・
まーだーけーすぶっ「く」→「く」ーくらっくすくらん。

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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

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明日のコラムは・・・

『HAPPY』

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