Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

初体験 リッジモント・ハイ(106)

2014-12-15 00:30:00 | コラム
「葛藤」=「迷い」の映画ということで、もうひとつ。
というか、この映画こそ「迷い」の王者なのではないか。

黒澤の(自分のなかでの)最高傑作、『天国と地獄』(63)。

製靴会社・常務、権藤さんのお抱え運転手の子どもが誘拐される。
身代金は3000万円。

金はある。
株主総会で、会社の実権を握るために用意していた5000万円が。

しかしこの金を使えば、ビジネス上では権藤さんは失脚する。
おそらく莫大な借金を抱え、さらに会社から放り出されるだろう。

けれども金を使わなければ、子どもを見殺しにしたと批判を浴びる。
クズ呼ばわりだってされることだろう。

さあどうする?

単に金がほしいだけとは思えない犯人の言動は、権藤さんを苦しめ悩ますのだった。

犯人「あなたに子どもを見殺しにする度胸はないね」
権藤の秘書・河西「なにを迷っているんです。身代金を払ったら、我々は破滅です。それだけです」
戸倉警部「子どもは助け出したい。でも、それであなたの人生を棒に振らせるわけにはいかない」
妻・伶子「いいえ、権藤は(お金を)出します」

権藤「世の中には金持ちはいっぱい居る。どうして俺なんだ? しかもこんなときに! なぜ俺が!?」

迷うなぁ。
気の毒だなぁ。

そう思わせた時点で創り手の勝ちであり、この映画の脚本チーム(黒澤×菊島隆三×久板栄二郎×小国英雄)は、ほんとうに素晴らしい。





さて。
自分の話に戻ろう。

記憶に残る「最も古い迷子体験」は、たぶん小学校の2年のとき。
場所は、群馬で有名なスーパー「とりせん」だった。

小学校2年で?
しかも「とりせん」を知っているひとであれば、「あんな小さなスーパーで!?」と思うことだろう。

だからきのうも書いているじゃないか、「そういうキャラクターらしい」って!!


かーちゃんと「とりせん」にやってきて、3分で迷子になった。

かーちゃんは? かーちゃんは、どこ!?

焦ってキョロキョロする。
買い物カゴを持つ30~40代の主婦全員が、かーちゃんのように見える。

かーちゃんを探しに、動く動く動く。
買い物カゴを持つ主婦に追いついては、振り返って顔を確認する。

かーちゃんじゃない。
かーちゃんは、どこ!?

もう半べそをかいている。
小2なのに。

その姿を確認した店員さんが声をかけてきた。

「どうしたの?」
「お母さんが―」
「分かった。ちょっとついてきて」

「名前は、なんていうの?」
「みつえい、です」
「上の名前は?」
「まきの、です」

すぐに店内放送が流れた。

「―迷子のお子様をお預かりしています。牧野、、、」といった時点で、かーちゃんが駆け寄ってきた。

「みつえい! なにやってるの!?」

かーちゃんを確認して、思わず涙がこぼれてきた。
小2なのに。

めでたしめでたし―なのだが、

小2で、
しかも「わずか3分で」、
さらに「とりせん」で迷子になって泣いた自分というのは、牧野家のあいだで「そーとー」インパクトが強かったらしく、小5くらいまでずっとネタにされてきた。

夏祭りとか、そういう場所なら分かるのだけれどもね。
コンビニの3倍くらいの広さかな、その程度のスーパーで迷子になるわが子を見て、両親は大丈夫かコイツ? と思ったことだろう。

ある意味では大丈夫だったが、ある意味では大丈夫じゃなかったということ。

だって、こんな40歳になったのだから。

放っておけよバカヤロウ!!

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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

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明日のコラムは・・・

『尾行のマニュアル』

コメント (5)
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