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にっぽん男優列伝(235)堤真一

2014-07-13 08:30:49 | コラム
64年7月7日生まれ・現在50歳。
兵庫出身。

公式サイト


13年に公開された映画、『俺はまだ本気出してないだけ』で「唐突に漫画家を目指し始めるパパ」を好演した堤真一(つつみ・しんいち)さん。
根拠のない自信だけを武器に邁進するこのキャラクターに触れて、あぁなんて適役なのだろうと感心しました。

「いま現在」を考えると、下積みがあることさえ疑問に思える俳優―そういうひとって居ますよね。堤さんも「そんなひとり」であり、
映画ファンの目に留まるのは芸歴10年を過ぎてから、
そして本人が「うん、俳優としてやっていけるかも」と確信を持つのは35歳を過ぎてから、、、だったようです。

高身長(178cm)で、そこそこイケメン。
シリアスもコミカルも、アクションまでいける。

なのに・・・うん、不思議ですよね。


※「酔いどれ演技」は、志村喬・三船よりも上手、、、だと思う




<経歴>

高校卒業後にJAC、ジャパンアクションクラブ(主宰・千葉真一)に入団。
先輩・真田広之の付き人を務めながら下積みを続ける。

80年代~90年代初めまでは主に舞台で演技経験を積み、蜷川幸雄やケラリーノ・サンドロヴィッチの演出を受ける。
「原点は舞台」といい切るのは、こうした過去があるからでしょう。

映画俳優デビュー作は、86年の『犬死にせしもの』。
端役としてのチンピラで、「え、出てたの?」という感じでした。

転機は96年に訪れます。
自称「天才」の監督SABUに起用され、『弾丸ランナー』で主演を務める。

この「闇雲に走るキャラクターの物語」はインディーズ好きを中心に好評を博し、『ポストマン・ブルース』(97)、『アンラッキー・モンキー』(98)と続きます。

狂気と正気を演じ分けた社会派『39 刑法第三十九条』(99)、そして、個人的には堤さんの最高傑作だと思っている『MONDAY』(2000)で酔いどれ演技を披露。
こうして映画ファンのあいだで「遅れて登場した、そーとー出来る俳優」として認識されるようになりました。

この活躍は映画だけに留まらず、テレビドラマやCMにも進出。
ただ、どれだけ多忙でも舞台出演は忘れない―「原点は舞台」といい続けるゆえん、でしょうね。

映画のキャリアに戻りましょう。

再びSABUと組んだ『DRIVE』(2002)、三池崇史によるホラー『着信アリ』(2004)、
2005年は当たり年で、『ローレライ』『フライ、ダディ、フライ』『姑獲鳥の夏』のほかに『ALWYAS 三丁目の夕日』に出演、
厳格な父親をコミカルに演じ、作品も高評価を受けてシリーズ化されました。
(2007年に『ALWYAS 続・三丁目の夕日』、2012年に『ALWYAS 三丁目の夕日'64』)

このシリーズの評価は映画小僧泣かせというか、ちょっと厄介です。
作品としては、けっして駄作ではない。つまらないわけでもない。
けれども、手放しで絶賛するわけにもいかない。
「あのころの夕日が美しかった―というだけの映画を創ってどうする」と問うたのは井筒和幸監督で、自分もそう思いました。

簡単にいえば、安易な懐古趣味に対する抵抗感というか。
「あのころは、よかった」とか「古きよき」とか、創り手がそういうものを率先して提示していいものか、映画は「いま」「その先」を描くべきなんじゃないか―そんな風に考えるから、なんですけれどね。

結論。
堤さんは好演、堀北まっき~も可愛い。でも山崎貴監督は、こういうものじゃないほうが「よさが」出ると思います。


『地下鉄に乗って』(2006)、『舞妓Haaaan!!!』(2007)、『魍魎の匣』(2007)、『山のあなた~徳市の恋~』(2008)、『クライマーズ・ハイ』(2008)、『容疑者Xの献身』(2008)、『ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~』(2009)。
『孤高のメス』(2010)、『SPACE BATTLESHIP ヤマト』(2010)、『プリンセス トヨトミ』(2011)、『宇宙兄弟』(2012)、
前述した『俺はまだ本気出してないだけ』(2013)、『地獄でなぜ悪い』(2013)、そして最新作は『土竜の唄』(2014)。

繰り返しますが―20代はなんだったのか、、、というような映画キャリアですよね。
でも、そんなモラトリアム的な時間が必要だったのだと思います。少なくとも堤さん本人は、そう捉えていることでしょう。


次回のにっぽん男優列伝は、妻夫木聡さんから。

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2 コメント

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最初に名前を認識したのは (夢見)
2014-07-13 09:38:10
鈴木京香さんとの噂で でした 

それで名前を覚えてー 

あぁよく出てるなぁとー

岡田准一さんと組んだSPー
こういう人間的に悪い奴ではないのに悪い側へと結果 回ってしまった役 似合います
返信する
Unknown (ゆみ)
2014-07-13 20:11:10
堤真一さんは、『ALWYAS 三丁目の夕日』ではっきり覚えました。その前にも時々見かけましたが・・・・・

温厚なひとにおもえますが、映画の影響かしら?
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