Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

空き缶を、噛み切れますか

2015-02-15 05:56:45 | コラム
「―おはようございます」
「おはよう。まぁまぁ! 相変わらず大量ねぇ」
「すいません、ほとんどアル中なものでして」
「(笑う)そんなことはないだろうけど、この棟でいちばん空き缶を出しているのは、あなたでしょうね」
「ですよね」
「あなたは唯一の独り暮らしなのに」
「ですよね」
「お酒代も、馬鹿にならないでしょう」
「えぇ、ほんとうに」
「だって…ほら、生ビールが多い」
「えっ」
「私のところなんか、ほとんど発泡酒」
「(苦笑)最初の一本目だけですよ」
「これだけ呑むと、月にどれくらいかかるの?」
「計算とかしたことないですけど…まぁ、このために働いているようなものですから」

・・・という会話を、きのうの早朝、同じ棟に住む奥さんと展開した。

2度3度ではない、この10年、ひたすら繰り返されてきた会話。
ウチの団地のゴミ置き場では「よく見る」風景、となっている。

そのくらい、ビールを呑んでいるという話だ。

空き缶を処分しているとき、どうしても笑いがこみ上げてくる。

よくまぁ飽きもせず、これだけ呑むものだなと。
自分に感心しつつ、なかば呆れているっていう。


「このために働いている」というのはジョークでもなく、ほんとうにそうだよなと実感する日々がつづく。


最近知り合った若い子から、「ふだんは家で、なにをされているんですか」という質問を受けた。

「まぁ、呑んでいるよね」
「晩酌ですか」
「うん」
「呑みながら、なにをされているんですか」
「ニヤニヤしてる」
「(笑う)それだけですか」
「好きな映画や格闘技の映像を観たり、適度な量を保てば、文章も乗ってくるしね」
「呑んで、書くんですか!?」
「適度な量を保てば、、、の話ね。君は呑まんの?」
「呑み会以外では呑まないですねぇ」
「好きじゃない?」
「嫌いなわけではないですけど、好きでもないんだと思います」
「じゃあ、家でなにしているの?」
「スマホのゲーム、、、ですかね」
「ここでも出来るじゃん?」
「えぇ、まぁ」
「呑むのは、ここでは出来ない」
「そうですね」
「ここで出来ないことをするのが、家ってことじゃない?」
「そうですかね」
「呑んだり、オナニーしたり」
「(笑う)そうですかね」
「オナニーは?」
「えっ」
「毎日、ちゃんとしてる?」
「・・・・」

彼は赤面するだけで、なんとも答えなかった。

なんだ、つまらんヤツだなぁ。
自分が、しょーもないヤツみたいになってしまうじゃないか。

まぁしょーもないヤツなのだけれども。。。


先日―。
酔った勢いで、『プラトーン』(86)のケビン・ディロンのモノマネをやってみた。

この映画にはケビンのほかにジョニー・デップやフォレスト・ウィテカーなどなど、このあとに活躍する若手俳優が多数出演しており、いま観ると、とっても感慨深くなる。
なかでも好演しているのがマットの弟ケビンであり、彼はこの作品で空き缶を噛み千切るという芸? を披露している。

出来る自信はなかったが、酔っていたものでね。

結果は、失敗。

口のなかを切ってやんの。

バカでしょう、41歳にもなって。

でも酔っているからか、痛みを感じることはなく、鏡で自分の口を見て、ただヘラヘラと笑うのみである。

翌朝になってそのことを思い出し、少し後悔する自分。
それを誤魔化すために、迎え酒だと自分にいい聞かせてさらに酒をあおる。

・・・。

少し前まではジョークでアル中といっていたが、いよいよ笑えなくなってきたかもしれない。


まぁいいや、自分でアル中といっているあいだは、まだ大丈夫だろうから。

たぶん、、、ね。




…………………………………………

本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『シネマしりとり「薀蓄篇」(109)』

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする