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米国に新たなデジタル格差、「持つ者」と「もっと持つ者」!

2015-12-22 11:50:40 | ネット、ビジネス、IT
富める者は、あなたや私とは違う。彼らはテクノロジーをわれわれ以上に豊富に持っている。

 それがシンクタンクのマッキンゼー・グローバル・インスティテュート(MGI)が新たに出したリポート「デジタル・アメリカ:持つ者と、もっと持つ者の物語」の結論です。これによると、デジタル技術に多額の投資をしている業界(セクター)や企業、そして人々は、桁外れに大きな成果を得ているといいます。

 リポートの著者たちは、ある特定の水準のテクノロジーからほぼ全ての人が恩恵を受けているとの前提から出発しています。消費者がGPS(衛星利用測位システム)の助けを得て自宅まで運転する、中小企業が商品をネット上で販売する、といったことです。しかし、デジタル化(digitization)の最先端を行く一部の「フロンティア企業」は、デジタル技術にずっと多くの投資をしており、それをはるかにうまく活用しているといいます。

 リポートでは、3つの軸に沿ってデジタル化の度合いを計測しています。コンピューターやストレージなどのデジタル資産への投資、支払いシステムやソーシャル・マーケティングといったデジタル技術の利用状況、それに従業員のデジタル活用能力の3つです。

 リポートの共著者で、MGIのディレクターを務めるジェームズ・マニカ氏は、「デジタル技術を多く活用している企業は、成長率と収益性が通常よりも高く、他のあらゆる者に勝っているように見える」と述べています。

 「持つ者」と「もっと持つ者」との格差は、企業間だけでなく、セクター間にも表れています。リポートによると、デジタル化の波は建設、医療と農業のセクターにそれほど押し寄せていません。そして、こうしたセクターはいずれも、2005年から14年までの生産性の伸びがマイナスになっています。これとは違って、デジタル化でリードするセクターの生産性は伸びていて、その伸び率は石油・天然ガスの2.9%からICT(情報通信技術)の4.6%までさまざまです。商務省は07年から14年までの間に非農業セクター全体の生産性が平均で年0.5%伸びたと予測しています。

 個人のレベルで見ると、こうした生産性が伸びたセクターでは、賃金が速いペースで伸びることにつながっています。「デジタル労働指数」は、どれだけ多くの職場および仕事がデジタル化されているかや、デジタル技術の浸透(つまり深化)の度合いを計測する指数ですが、その指数の数値が高くて上位にあるセクターでは、1997年から2014年までの賃金の伸びが4〜5%と、経済全体の平均の2.4%を大きく上回った、とリポートは指摘しています。

 マニカ氏は、この指数の数値が低いセクターは、今後デジタル技術から大きな恩恵を受けることが出来ると述べました。とりわけデータ・サイエンスや、コンピューターとセンサーを使ってモノがデータの送受信をする「インターネット・オブ・シングス(IoT)」を利用できるといいます。リポートはまた、労働市場、IoTとビッグデータ解析という米国経済の3つの側面へのデジタル化の影響により、2025年までにGDP(国内総生産)が2.2兆ドル増える可能性があると推定しましたが、そのためにはこの新技術を扱える人材を育てる必要があると指摘しています。マニカ氏は、こうした人材の育成のためには、企業、個人とコミュニティーカレッジのような公的機関が一体となって努力するよう求められると述べています。

 同氏は「米国経済には、STEM教科(科学、技術、工学、数学)を学ぶ人々に大きなリターンがあることを示す非常に明確なシグナルがある」と述べました。その上で、「われわれがいかにして正しいインセンティブ(誘因、奨励措置)を生み出せるかが重要です。つまり、企業が従業員を育てることを奨励し、コミュニティーカレッジが企業と連携を強化することを奨励し、教える内容が現実から遊離しないための動機や、学生が正しい教科を学ぶ動機をつくり出すということだ」と話しました。(ソ-スWSJ)