マックンのメモ日記

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アリババの香港英字紙買収、投資家には危険信号!

2015-12-16 20:39:23 | ネット、ビジネス、IT
中国電子商取引最大手、阿里巴巴集団(アリババグループ)は香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニングポスト(SCMP)」を買収すると発表しましたが、これはビジネス的判断というよりも、明らかに政治的意味合いが強い。株主は好むと好まざるとにかかわらず、これに付き合わされることになります。

 この買収発表に伴う11日遅くの書簡で、アリババの蔡崇信(ジョー・ツァイ)副会長は、SCMPをはじめとする印刷メディアが複数の課題に直面していることを認めました。

 副会長の計画は同紙の有料の壁を取り払い、コンテンツを無料で解放することです。「携帯端末を中心に、デジタル配信で証明された(アリババの)専門知識」により、無料化で失われる購読料分を補える見込みだといいます。

 これはほとんど筋が通りません。アリババが中国国内で展開しているのは電子商取引市場であり、最近ではビデオ配信といった分野にも進出していますが、確たる実績には欠けます。また、中国本土以外でオンラインパブリッシングの経験はないのですが、英語で書かれたSCMPの読者の大半は中国本土以外にいます。さらに、世界規模のSCMP読者とアリババ電子商取引市場の中国の小規模広告主の間には相乗効果はほとんどないのです。

 アリババによるSCMP買収の真の動機は政治的なもののようです。蔡副会長はSCMP編集部の独立性を約束していますが、それを確実に達成するために役に立つような社外編集委員会や「パブリックエディター」(編集部門から独立した立場で日々の報道内容を点検)といった具体的な方針の概要は示していません。

 副会長は世界には「一つだけの主張」ではなく、「中国についてはさまざまな見方」が必要だと主張。「一つだけの主張」が何を意味するかは説明しませんでしたが、中国に関する欧米諸国の報道が一様に批判的だという認識を指しているようです。

 昨年にアリババが新規株式公開(IPO)した際に同社株式を購入した投資家は、こうした意図に投資しているとは考えてもみなかったことでしょう。また、そうした意図は安く達成できるものでもありません。アリババはSCMPのメディア資産に対し、過去1年間の利払い・税・償却前利益(EBITDA)の約11.5倍の金額を支払います。一方、S&PキャピタルIQによると、ニューヨーク・タイムズ紙やマクラッチーをはじめ、世界的な新聞6紙の評価額は平均でEBITDAの6.4倍となっています。

 アリババ株が11日に5.4%落ち込んだのも驚きではなかったのです。同社株主は無視されることに慣れる必要がありそうです。(ソースWSJ)