マックンのメモ日記

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「中国の夢」破れ、反撃に出る労働者たち!

2015-12-18 16:56:46 | 経済・金融・投資
中国の出稼ぎ労働者たちが、田んぼの広がる村からいびきのうるさい男たちと共同生活を送る工場の寮へと移り住む姿は、いやというほど繰り返されてきました。それは「中国夢(チャイナドリーム)」をつかむためであり、リ・ジャンさん(30)もその一人でした。

 ところが、リさんにとってその夢が10月に消えました。リさんはこの沿海都市で10年ほど過ごしていましたが、1週間の休暇から勤務先の深セン市福昌電子技術に戻ってみると、携帯電話のボディやセットトップボックス(STB)メーカーの同社は生産を中止していて、リさんと家族5人は職を失ったのです。工場の門に貼られた通知には、信用収縮と自社の経営のまずさが理由と書かれていました。

 解雇手当には何の言及もなく、リさんをはじめとする同社の約1000人の従業員は通りで抗議行動に出ました。従業員や労働関係の活動家によると、従業員の憤りやソーシャルメディアにあおられ、翌日には約3000人が抗議行動に参加しました。リさんは「人々に電話で参加を呼びかけ続けた」とし、「力をつけるには参加者は多いほどいい」と話します。

 深セン市の福昌電子に対する抗議行動は、中国で起こっている労使紛争の新たな波の一部で、以前のものよりも大規模で怒りも激しい、と労働問題専門家たちは話します。

 香港に本部を置く労働権利保護団体の中国労工通報によると、中国全土でのストライキや従業員による抗議行動は今年1~11月には2354件と、前年同期の1207件からほぼ倍増しました。人事社会保障省によると、2014年に仲裁・調停を認められた労働争議の事例は156万件と、前年の150万件から増加したのです。

 こうした対立の背景には、政府の予想以上に速いペースでの景気悪化があり、そのためにレイオフや工場閉鎖に拍車がかかっているからです。エコノミストらは、中国が25年ぶりの低水準である約7%という今年の経済成長目標を達成するのさえ苦戦するとみており、エコノミストのほとんどが、来年の経済成長率はさらに鈍化すると予想しています。

 中国は工場閉鎖に関する統計を公表していません。香港理工大学の研究員が貿易団体の依頼で行った分析によると、香港企業が中国南部の広東省に所有する工場数は06年のピーク時と比べると、13年には約3分の2に相当する3万2000カ所まで減少しました。

 リさんのような労働者にとって、こうした工場閉鎖は守られなかった約束であり、社会契約のほころびを意味します。こうした契約の下で出稼ぎ労働者たちは、より良い将来への見通しと引き替えに故郷を遠く離れ、厳しいシフト作業や質素な生活環境を受け入れたのです。

 リさんは「今の中国を築き上げるのに出稼ぎ労働者たちは真の貢献をした。しかし、われわれの権利は守られていない」と話します。さらに、「われわれは差別を受けており、社会の富は平等に配分されていない」と続けました。

 福昌電子は最終的には、リさんら従業員に部分的な支払いを提示し、抗議行動は下火になりました。しかし、反感は消えていません。従業員の一部は同社を仲裁裁判所に訴えています。リさんと家族のもう一人は最終的には深セン市で同じような賃金の職を見つけましたが、労働時間や条件はさらに悪いといいます。リさんの妻と兄、義姉、いとこはまだ失業中です。

中国の景気鈍化の初期には、中国経済はリさん家族のような労働者の多くを吸収することができました。しかし、景気低迷が長引き、レイオフが一段と一般的になるにつれ、絶望した労働者たちには新たな機会がなかなか見つからなくなっています。当局者や労働専門家らはこの傾向が強まっていると指摘しています。(ソースWSJ)