マックンのメモ日記

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米利上げが投資家に残した2つの難問!

2015-12-20 16:27:50 | 経済・金融・投資
米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げは、まだ手がつけられていない二つの難問を投資家に残しました。世界経済はどの程度健全なのかと、米国の金融政策が他の経済大国とかけ離れる中で、市場はどのように反応するのかです。

 FRBの16日の利上げ判断を、以前から約束してきた市場と米経済の正常化に向けた一歩として、市場関係者の多くはほっとした思いで受け止めました。投資家が2カ月近く備えてきた政策行動に市場参加者は身構えていたため、市場の反応は穏やかでした。

アルビオン・フィナンシャル・グループのジェイソン・ウェア最高投資責任者(CIO)は、FRBは市場を発表に備えさせる優れた力を発揮したと評価しました。「市場の大半の価格をみると、血を流したところはどこにもない。極めて順調だ」と話しています。

 ダウ工業株30種平均は、2006年以来の利上げを受けて一時250ドル急騰した。一方、米国債はほぼ横ばいで、国際商品(コモディティー)価格は引き続き低迷した。米ジャンク(投資不適格)債相場は、2週間にわたる大幅下落に対する押し目買いが続き、2営業日続伸した。ダウ平均の終値は前日比224.18ドル(1.28%)高の1万7749.09ドルとなった。

 政策声明と同時に発表されたFRBの金利見通しに対する反応も落ち着いていました。こうした反応は、米経済が来年も拡大し続ける可能性が高いものの、FRBは7年間ゼロ近くに維持してきたフェデラルファンド(FF)金利を段階的に引き上げるという、金融市場全般の予想を浮き彫りにしています。

 アナリストの多くは、米国の株価指数が今年は横ばいですが来年は上昇し、債券価格の下げは緩やかにとどまり、企業や消費者の借り入れコストは米国の成長が上向くにつれていくらか上がると予想しています。

 ここ数週間、株式や債券、その他の資産は不安定な値動きをみせたが、クリスマスや年末の休暇期間は取引を縮小する金融機関が多いので、値動きは鎮まるだろうと一部のアナリストはみています。それでも、ここ数週間の大幅な値動きや世界経済に対し数々の疑問が浮上していることからみて、新年にかけて落ち着いた状況が長く続くと予想する投資家はほとんどいません。

 エネルギー価格は数年ぶりの安値をつけ、米ジャンク債市場は11年以来の急落に見舞われました。中国人民元は、同国がこれまで続けてきたドルへのペッグ(連動)をやめようとしているため、夏以来の大幅安となりました。新興国の多くも不安定になりそうです。ドル高傾向が再開したため、成長がすでに弱まっているこの時期に資金調達コストが高まることになるからです。中国人民元や欧州の金融緩和に関連した市場の混乱は、世界の各市場が景気刺激策を頼りにしているとの印象を際立たせています。

 先進国の中では近年、最も力強く成長している米国では、信用力の弱い企業に対する融資が引き締まりつつある中で、世界中の弱さが波及する可能性が懸念されています。FRBのイエレン議長は16日の会見で、今後数カ月は短期金利を段階的に引き上げる見通しを強調しました。投資家の多くは、FRBは用心するに越したことはないと指摘しています。

 イーグル・アセット・マネジメントで債券部門を統括するジェームズ・キャンプ氏は「FRBは米国の成長勢いを弱らせないよう注意する必要がある」と述べ、同氏はここ数週間で、リスクの高い社債の持ち高から資金を移動し、長期米国債を物色したと語っています。

 多くの投資家の関心は新興国の投資先に向かっています。これらは夏場に大きく値下がりし、いまだ安定していないようです。ブラジルは16日に格付け会社フィッチ・レーティングスからジャンク級に格下げされました。また、南アフリカランドは今月、ドルに対して最安値を更新しました。

 新興国での不安材料の一つは、経済成長が減速し、多額の債務を抱える中で、外国資本を自国につなぎとめることができるかです。国際金融協会(IIF)によると、新興国ではこの数カ月、投資資金が大量に流出しており、結果的に今年の月間平均流入額は57億ドルと、2010年〜14年の同220億ドルを下回ります。

 新興国通貨全体のドルに対する下落率は、年初から先週までで18%に達し、現地通貨建ての株式も17%安と低調です。ドル建て債券は堅調で、今年の騰落率は1桁ながらプラスを確保しています。

 アナリストらは、FRBの利上げに対する市場の反応が総じて限定的だったのは、新興国市場や米ジャンク債などの資産クラスが今年これまでに大きく値下がりしていたことが一因とみており、UBSウェルス・マネジメントで新興国市場を担当するホルヘ・マリスカルCIOは、新興国通貨は「今年になって相当下げているので、目先はそれほど混乱が広がらないだろう」とし、「問題は米国の金利が今後どういった道筋をたどるかだ」と述べました。

 UBSは、16年に予想されるFRBの利上げは4回で、これがブラジルやトルコ、南アフリカ、インドネシアといった一部の新興国にとって問題になるとの見方です。