マックンのメモ日記

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マイナンバー制度の運用範囲が拡大。 国民監視なし崩し的に強化!

2014-04-19 17:31:00 | 政治(国内・海外)
国民一人一人に番号を割り当てるマイナンバー制度で、政府税制調査会は資産や所得を把握するため、個人の預金口座と結びつける方針を打ち出しています。マイナンバー法の施行令では、捜査機関や情報機関への提供も幅広く認め、なし崩し的に利用範囲が拡大しています。国による国民の管理が、ますます強まろうとしているのです。

政府は「所得の流れの把握は預金口座への付け番が軸になる」と述べています。マイナンバー制度とは、国民一人一人に12ケタの番号を割り振り、個人情報を管理する仕組みです。そしてこれを年金などの社会保障や税務、災害対策の3分野で活用するとしています。例えば、税務署に申告した所得や納税の記録、雇用保険の失業給付を受けた記録、公的年金の支払い記録などの個人情報を1つの番号で一括管理すれば現行の方式より効率が良くなるとしています。

政府税調が、個人の預金口座とマイナンバーの結び付けに意欲的なのは、「公平な課税や社会保障の実現のためには、所得や資産の正確な把握が不可欠」との考えからです。しかし現行ではマイナンバー法は、預金口座とマイナンバーを直接結び付けることは認められておらず、法改正が必要になります。しかしそれには問題点が多いのです。まず約10億件と言われる口座のすべてにマイナインバーを付ける見通しが立たないことです。新規口座についてはまだいいとしても旧来の口座については預金者の「自己申告」に頼らざるを得ないことです。特に「長く使われていない休眠口座などは利用者の特定が難しく、すべての口座にマイナンバーを付けるのは非常に難しい」と言います。

そして預金口座への付与が不十分なら、脱税や資金洗浄、生活保護の不正受給などの根絶にはつながらないと言うのです。と言うのは、大和総研の吉井部長も言うように「口座の悪用を考える人は、マイナンバーの網にかからない口座を利用し続けるだろう」と認めているのです。それとコストの問題があります。マイナンバー制度は、初期費用だけで2700億円、その後の維持管理に年間数百億円がかかると見られているのです。それに預金口座に結び付けるシステム構築には、さらに数百億円が必要との見方もあるのです。金融機関側がこれを負担できるのか、費用に見合う効果があるかなど不透明な点が多いのです。

問題はマイナンバー制度では個人情報の流失の危険性があるという事です。上智大の田島教授は「もし口座情報からどの業者にいくら支払ったのかなどが知られると、個人の好みがわかってしまいます。年金や社会保険料、税務の情報と結び付けられれば、どんな人間であるかが丸裸になり悪用される危険性はより高まる」と指摘しています。

マイナンバー法では、利用の範囲を明記し、正当な理由のない第三者への提供や不正取得には罰則が定められていますが抜け道があるのです。それは「政令で定める公益上の必要があるとき」には第三者に提供できるようにしたのです。公布されたマイナンバー法の施行令では、この個人情報を提供できる相手が、捜査機関などに広く認められたのです。公正取引委員会や少年法上の調査をする警察のほか、具体的な刑事事件が発生していなくても、公安調査庁が治安の調査名目などで収集できるようになり、裁判所の令状も必要としないのです。それに治安利用反対の声も多くあったのですがこれも考慮されませんでした。

政府は個人情報の悪用を防ぐため、個人番号がどう利用されたかをインターネット上で自分で確認できるサイト「マイ・ポータル」を開設します。ところが警察や公安調査庁などは「マイ・ポータル」や「特定個人情報保護委員会」のチェック対象外になっているのです。

制度に詳しい清水弁護士は「捜査機関がやりたい放題にならにようにする運用ルールを作るべきだ。ルールができれば、適正に運用されているか、国会で説明を求めることもできる」と提案しています。甲南大の園田教授は「利用範囲がどんどん拡大している。歯止めをかけるために、裁判所の判断を必要とすることも一つの方法だ」と言います。「かつてドイツでは、ナチスが住民に番号を付けることで、ユダヤ人を選別し、ホロコーストに利用しました。個人番号制度は、国民の選別を容易にします。国家による個人の監視以上に選別が怖い。最悪の事態を想定すべきだ」と言います。

田島教授は「マイナンバーは国民を監視したい政府の側からすれば非常に便利な道具であり、特定秘密保護法と連動するための制度だ。治安維持への活用にも道を開いた。国民が政府をしっかり監視しない限り、権力の増長は止められない」と述べています。