マックンのメモ日記

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宇宙誕生の謎を解く「重力波」、超ノーベル賞級の発見! 第2話

2014-04-07 17:51:05 | 宇宙・サイエンス・科学技術
宇宙誕生の謎を解くカギとなる「原始重力波」と言う波の痕跡を、米カルフォルニア工科大などの望遠鏡が捉えたと言うニュースが先月、世界を駆け巡りました。米国ではノーベル賞どころか「科学史上、最大級の発見」とも騒がれました。どんな波で、この発見の意味とは何でしょう。

観測したのは、米チームが南極点に建設した電波望遠鏡(BICEP2)です。南極点と言うだけでも驚きますが、この望遠鏡で宇宙から飛来する電磁波を観測したら、独特の渦巻きのようなパターンが見つかったと言うのです。それは宇宙誕生の直後に発生した原始重力波の痕跡だと言います。

図を描くと今回の様子は分かりやすいのですが、描けないので言葉で書きます。宇宙の始まりは原子よりも小さいある1点から始まり、ある時瞬時(10-36乗~10-34秒)に急膨張(インフレーションと言う)して銀河のような大きさになったのです。さらにその直後には、高温のビッグバンが始まり、インフレーションとビッグバンの間の所で、原始重力波が発生したのです。そしてビッグバン後の約38万年後に宇宙背景放射の放出が始まり、宇宙が穏やかに膨張していき今の宇宙になったのですが、その過程で宇宙背景放射も引き伸ばされて行ったのです。そして約138億年後の現在、宇宙誕生の鍵となる原始重力波の痕跡が見られるというわけです。

瞬時の膨張を「インフレーション」と呼びますが、どのくらい急激かと言うと一瞬としか言いようがなく、敢えて言うなら銃弾が1ミリも進まないうちに原子が宇宙の大きさに広がったと言うイメージだそうです。普通に考えると、とても信じられませんし、物理学者も「不思議で不思議で仕方がないが、理論的にはそうなってしまう」と言います。嘘じゃないなら証明して見せてくれと言いたくなります。それを証明したのが今回の観測結果だったのです。

証明する根拠となるのが今回、痕跡を見つけた原始重力波です。空間には常に小さなさざ波が立っていて、原子より小さな波なので直接は見えませんが、点のような最初の宇宙もさざ波が立って揺れていたはずだと言います。そこへインフレーションが起き、さざ波も引き伸ばされ、宇宙全体が大きくぶるぶる揺れたと考えられていると言います。この宇宙の揺れが原始重力波と呼ばれています。

インフレーションから約38万年後、宇宙背景放射と言う光(電磁波)が放たれました。その電磁波は宇宙を飛び続けて、今も地球に降ってきます。もし原始重力波があったなら、空間が波打ってレンズのように働き、宇宙背景放射の電磁波が渦巻き型にねじれるはずだと考えられてきました。そして今回、その渦巻を実際に観測したのだと言います。それが原始重力波が存在し、インフレーションが本当だったことを示すものとなるのです。

宇宙が一瞬で膨張すると言うインフレーション理論の元祖は日本の佐藤機構長で、1981年に発表されましたが、それまでのビッグバン理論ではなぜ宇宙が地球のように丸くなく平坦なのか説明が難しかったのです。しかしインフレーション理論ではそれがうまく理解できたのです。多くの研究者が改良版を作り「今では100通り近いインフレーション理論がある」そうです。しかし、直接的な証拠がなかったので、どれが正しいのか分からなかったのです。

今回の観測はその手がかりにもなります。「米チームの観測では予想より背景放射の渦が大きかったそうです。今回の結果が正しいなら、激しめのインフレーションが起こったことを示している」と言います。

日本はチリのアタカマ高地にある電波望遠鏡「ポーラベア」で電磁波の渦を観測しています。米チームの2年遅れで始めたのですが、感度は世界最高クラス。観測が進めばインフレーションの姿がもっとわかるはずで、日本人の絡む超ノーベル賞級の成果に期待がかかります。