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慶応大など、難聴において「蝸牛外有毛細胞」を再生させて聴力の改善に成功!

2014-04-14 21:37:16 | 健康・医療・スポーツ
慶應義塾大学(慶応大)は1月10日、米国ハーバード大学との共同研究により、手術による薬剤の内耳局所投与により、過大音曝露による難聴の後に「蝸牛外有毛細胞」を再生させ、聴力を改善させることに成功したと発表しました。

難聴は全世界的に見ると最も大きな身体障害の原因で、人口の1割以上におよんでいるといわれています。この中でも「聞こえ」のセンサである蝸牛有毛細胞は、加齢や薬剤、音響曝露など、さまざまな原因によって障害を受けることで、難聴となってしまいます。

根本的原因として、この細胞には再生能がないため、胎生期に器官形成を終えた後では障害を受けても再獲得することはありません。従って難聴はほとんど不可逆であるため、再生医療のよいターゲットと昔からいわれてきました。

人為的に、ある特定の細胞を再生誘導させる1つの方法として、その細胞が作り出される発生時に見られるシグナル伝達=情報伝達系に注目する方法が頻用されています。

内耳有毛細胞の発生においては隣接細胞間での「Notch情報伝達系」が重要であることが以前から知られていました。すなわち、有毛細胞になる素養を兼ね備えた細胞同士の間では、隣接細胞を有毛細胞にさせないようにこのシグナルを互いに送り合うのです。その結果、有毛細胞に隣接して「支持細胞」という別の細胞が分化誘導されることが、ショウジョウバエやマウスを使った実験からよく知られていました。

今回の研究は、胎生期において内耳有毛細胞への分化を細胞レベルで抑制するNotch情報伝達系の阻害剤を手術的に局所投与することで、音響外傷後に蝸牛外有毛細胞数を増加させ聴力を改善することを示したというものです。小さな臓器である蝸牛に十分な濃度の劇薬を到達させることは技術的に困難を伴う。そこで研究グループは、まずNotch情報伝達系を阻害する薬剤の候補を絞り込むことから始めました。

そして、Notch阻害剤の手術的な局所投与により、今回の研究で有毛細胞を再生させ聴力を改善することに成功したのです。難聴に対する薬剤を用いた再生医療の、世界で最初の報告だと言います。

蝸牛はヒトでも太いところでおよそ2mm幅という極めて小さな臓器だ。また小部屋の中央に約2万の有毛細胞が4列に規則正しく整列する極めて精緻な構造を採っているため、細胞移植などの治療では手術手技そのもので構造が壊され機能が損なわれてしまうことも想定されているのです。

今回の研究結果は、この根本的問題に1つの解決法を提示するものです。すなわち難聴治療においては、有毛細胞への分化誘導を体内で直接行うことが1つのよい治療法となりうるということです。