原発の活用を柱とした新たな政府のエネルギー基本計画案を自公が了承しました。「責任ある政府のエネルギー政策を構築する」と阿部首相は言いながらも、事故時の責任の明確化や、なきに等しい損害賠償への備えをどうするかはほとんど議論されず、責任を果たしたとは言えません。使用済み核燃料から取り出した核物質プルトニウムを再利用する核燃料サイクル事業も問題を解決することなく、現状のまま進めようとしています。
与党が合意したエネルギー基本計画案には「(賠償責任について)総合的に検討する」と明記されたのですが、国会が別の法律の付帯決議で約束した原賠法の見直し期限(2012年8月)から1年以上が過ぎています。現行の原賠法では、自己責任は電力会社にあるとしながらも、大災害やテロなどが原因の場合は、「その限りではない」と曖昧です。与党の協議でも問題視する意見は出たのですが、原賠法改正と言う国会の責任を果たそうと言う流れにはならなかったのです。
「現行の原賠法は電力会社に厳しすぎる」と「原子村」への配慮がにじみます。しかし、このまま原発を再稼働させて事故が起きれば、東京電力福島第一原発事故の時のように誰に責任があるのか分かりません。電力会社はもちろん、株主や金融機関の責任は何ら問われないまま、また公的資金が投入されて行く公算が大きいのです。
巨額な原発事故の被害に対し、資金的な備えがほとんどないにもかかわらず、解決への議論もなかったのです。福島事故では、現時点の概算でも損害賠償3,5兆円、除染費用などで3,5兆円、原発内の事故収束費用で1,5兆円の計8,5兆円がかかるのです。避難の長期化、除染ごみの最終処分なども加えるとまだ増えるのです。
一方の電力会社の備えは1200億円の保険金しかないのです。被害額のわずか70分の1なのです。経営体力、人員とも国内最大だった東電でさえ、避難住民への賠償、除染費用の支払いが遅れています。事故収束の作業でもコスト削減によって作業員が十分確保できない事態まで招いています。
総額10兆円もつぎ込みながら、高速増殖原型炉「もんじゅ」を始め、実用化の目途が立たない核燃料サイクル事業。継続には与党内からも「破綻しているのは明白」などの強い異論があるのですが、基本的には現状維持となったのです。日本には、使用済み核燃料を溶かして取り出した約45トンのプルトニウムがあります。それを発電に使うと言う建前が崩れれば、国際社会から軍事利用への懸念を持たれます。阿部首相がハーグでの核安全保障サミットで、早々と現政策の維持を表明したのもこのためです。
しかし、現実には電力会社は再利用計画を作れない状態が続いています。プルトニウムにウランを混ぜた混合酸化物(MOX)燃料にして原発で再利用すれば、行き場のない核のごみが倍増することも政府は承知しています。今回の与党合意は「廃止」を公約した公明党がもんじゅ容認に傾いたことが大きいのです。「(もんじゅは)廃棄物の減容、有害度の低減など大きな可能性がある」と言うのですが、実用化もできていない現状を考えれば、後づけの理屈にしか聞こえません。
与党が合意したエネルギー基本計画案には「(賠償責任について)総合的に検討する」と明記されたのですが、国会が別の法律の付帯決議で約束した原賠法の見直し期限(2012年8月)から1年以上が過ぎています。現行の原賠法では、自己責任は電力会社にあるとしながらも、大災害やテロなどが原因の場合は、「その限りではない」と曖昧です。与党の協議でも問題視する意見は出たのですが、原賠法改正と言う国会の責任を果たそうと言う流れにはならなかったのです。
「現行の原賠法は電力会社に厳しすぎる」と「原子村」への配慮がにじみます。しかし、このまま原発を再稼働させて事故が起きれば、東京電力福島第一原発事故の時のように誰に責任があるのか分かりません。電力会社はもちろん、株主や金融機関の責任は何ら問われないまま、また公的資金が投入されて行く公算が大きいのです。
巨額な原発事故の被害に対し、資金的な備えがほとんどないにもかかわらず、解決への議論もなかったのです。福島事故では、現時点の概算でも損害賠償3,5兆円、除染費用などで3,5兆円、原発内の事故収束費用で1,5兆円の計8,5兆円がかかるのです。避難の長期化、除染ごみの最終処分なども加えるとまだ増えるのです。
一方の電力会社の備えは1200億円の保険金しかないのです。被害額のわずか70分の1なのです。経営体力、人員とも国内最大だった東電でさえ、避難住民への賠償、除染費用の支払いが遅れています。事故収束の作業でもコスト削減によって作業員が十分確保できない事態まで招いています。
総額10兆円もつぎ込みながら、高速増殖原型炉「もんじゅ」を始め、実用化の目途が立たない核燃料サイクル事業。継続には与党内からも「破綻しているのは明白」などの強い異論があるのですが、基本的には現状維持となったのです。日本には、使用済み核燃料を溶かして取り出した約45トンのプルトニウムがあります。それを発電に使うと言う建前が崩れれば、国際社会から軍事利用への懸念を持たれます。阿部首相がハーグでの核安全保障サミットで、早々と現政策の維持を表明したのもこのためです。
しかし、現実には電力会社は再利用計画を作れない状態が続いています。プルトニウムにウランを混ぜた混合酸化物(MOX)燃料にして原発で再利用すれば、行き場のない核のごみが倍増することも政府は承知しています。今回の与党合意は「廃止」を公約した公明党がもんじゅ容認に傾いたことが大きいのです。「(もんじゅは)廃棄物の減容、有害度の低減など大きな可能性がある」と言うのですが、実用化もできていない現状を考えれば、後づけの理屈にしか聞こえません。