ひねもすのたりにて

阿蘇に過ごす日々は良きかな。
旅の空の下にて過ごす日々もまた良きかな。

熊本地震の後遺症

2021年04月12日 | 日記(?)
昨日、婿が単身赴任で使っていたマンショの取り壊し手続きに行ってきた。
このマンションは購入して約25年になる、3LDKの物件である。
なぜ取り壊しという結末になったかというと、5年前の今の時期に起こった熊本地震に原因がある。

当時最も被害が大きかった益城町のすぐそばにあった12階建ての、
建物を支える地下に埋設された柱が沈み、結果として1階部分は、
逆に1m近く床が盛り上がる形になってしまった。
1階部分の住人は住めなくなって、マンションを出て行ってしまったのだが、
不思議なことに、3階にあった部屋は、地震の影響によるひび割れもなく、傾斜もなく、
住むのに全く支障が無かったのだ。

エレベーターや水道も、しばらくして使えるようになり、これなら2階以上の住人には何ら問題ないと思われた。
しかしその後の調査によって、地下部分のマンションを支える柱の破損が確認され、
マンションは全壊認定された。
全壊認定されたので、取り壊しにかかる費用は全額補助で賄えるはずだったが、
現状何ら従来と変わらない生活が送れる住人の中には、取り壊して行き先がなくなる人もいれば、
またいくらかローンが残っている住民もいて、賛否両論が渦巻き、結論が出ないまま時が過ぎていった。

補助金申請の期限も過ぎ、一体どうなることやろと思っていたら、
熊本市から、再び全壊マンションの取り壊しについて9割補助する通知があり、
この機会を逃がしたら、いつか廃屋になるやもしれないという思いが住民に芽生えたのか、
何とか全住民の合意が取り付けられて、昨日の手続きとなったのである。

一軒家と違って、マンションという共同住宅は、
災害に遭ったときに、とてつもなく面倒だということがよく分かった。
リーダーシップを取ってくれる住民がいなかったらここまでは至らなかっただろう。
うちは幸いローンが残っていなかったが、
ローンのある人は、これから住まいを購入するとなると、2重ローンになるというのも気の毒である。

一時期、ここに住めなくなった住民の一部が、
取り壊しに賛成しないで住み続けるという人たちを相手に、
自己所有部分の買い取り請求を起こしたことがある。
地震の影響で既に財産ではなく、負債と化したマンションの所有部分を買い取れとは、
それも同じ境遇の人間にそういう提訴をすることに、怒りさえ感じたことがある。

そういった人間模様が延々と繰り返されたこの5年間だった。
何とか全員の合意の元、20日から取り壊しに入る。
更地にされたら、土地を売却して、住民に還元されるそうだが、試算によればほんの僅かの金額で、
長年の問題が解決したことに胸をなで下ろすしかないかという感じである。

立地の便利が良く、一軒家ほど高価でなく所有できるなどと、マンショのいいところはたくさんあるが、
それとは逆のマンションという共同住宅の陰の部分を見せつけられたこの5年間でもあった。

マンションの購入にはくれぐれもご注意を。そしてよくよく考えて購入しましょう。

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