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副王家の一族 (映画)

2009年11月14日 | 映画
© 2007: Jean Vigo Italia, RAI CINEMA Spa, RAI FICTION Spa, Isitut del Cinema Catala;

映画「副王家の一族

舞台は19世紀半ばのイタリア統一前夜、シチリア名門貴族の一族の盛衰を描いた作品。
まず「副王家」ってなんぞや、というと、まだスペイン・ブルボン王朝の支配下にあったイタリアで、国王の代理を務める行政官のこと。まー、地方をつかさどるお代官様みたいなもんですな。

ここの名門貴族の跡取りに生まれたのが主人公のコンサルヴォ。おぼっちゃんだからさぞや優雅な暮らしと思いきや、映画の冒頭からおしおきシーン。
そう、一族の長であり父親のジャコモはとても厳しく、政治的にも狡猾で権力欲の権化のような人だった。なんてったって、兄弟を追放し相続を我が物にし、妹の結婚には「身分が違う」といって猛反対するのだ。
もちろんコンサルヴォも修道院へ入れられてしまう。ただ、この修道院も腐敗の限り。

そんな中、イタリアには時代の波が訪れていて、イタリア統一を掲げるガリバルディ率いる赤シャツ隊がシチリアにもやってくる。映画の中でブルボンの騎兵が倒されるシーンが象徴的だ。
同時にコンサルヴォも修道院を抜け、家へ戻るが、いまだ父の横暴さは続いており、母が病気で死ぬとすぐ遠縁の女性を継母に迎え、妹は公爵家の次男と恋仲であるのに、長男と無理矢理結婚させるなどやりたい放題。コンサルヴォは父と益々対立を深めていくのだ。

内容的にヴィスコンティの「山猫」と比較されるかもしれないが、あちらが荘厳耽美なにおいがしていたのに比べ、こちらはなんだか力とか欲とかが等身大で、ときには滑稽な感じさえする場面もある。
俳優陣も「山猫」はドロンやカルディナーレと美形だったが、こちらは主人公は宍戸開に似てるし、父の妹もハリー・ポッターに出てくる魔法使いみたいな感じなのである。だからこそ、生身のイメージが伝わってくるとも言える。

あれだけ反発しながらもラストはそれ以上の怪物になってしまった主人公の最後の独白がそれを象徴しているように感じた。

<ストーリー>
フェデリコ・デ・ロベルトの古典小説『副王たち(I vicerè)』の原作を、イタリアのネオ・レジスタ(新しい監督群)の代表格、ロベルト・ファエンツァが映画化。
舞台は、ブルボン王朝支配下のイタリア統一を目前に控えた19世紀半ばのシチリア。スペイン副王の末裔であり、名門貴族であるウツェダ家。絶大なる権力を持つ極めて封建的な父ジャコモと、嫡男のコンサルヴォは激しく対立していた。自己の利益と意のままに振る舞う父に、コンサルヴォは憎悪ともいえる感情を募らせていく―。

監督:ロベルト・ファエンツァ
原作:フェデリコ・デ・ロベルト『副王たち(I vicerè)』
出演:アレッサンドロ・プレッツィオージ ランド・ブッツァンカ
    クリスティーナ・カポトンディ グイド・カプリーノ
2007年/イタリア・スペイン/122分

BUNKAMURA ル・シネマでロードショー中



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コメント (1)
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