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ディア・ドクター (映画)

2009年05月02日 | 映画
                      (C)2009『Dear Doctor』製作委員会映画

ディア・ドクター

この作品の監督がロングランで話題となった「ゆれる」の西川美和監督の新作とあって、会場は通路に座る人まででる大賑わい。
期待高しのこの作品は、監督の力量だけでなく、原作の力や役者の奮闘もあり、医療や地方の問題、良心、偽りとはなにか、を観客も一緒に見つめていく点で、幅広い年代の鑑賞に堪えうる作品だと思う。

まずは僻地で働く医師の失踪からはじまり、彼がこの僻地の村でどんな役割を担ってきたかが、研修医として2ヶ月前にやってきた青年を絡めて映し出される。

この医者役の笑福亭鶴瓶がとても良い。TVではお茶の間の人気者だけに、あのニコニコ顔を活かした役なのかと思ったらそうではない。どこかおどおどして、自信なさげで、決しておしゃべり上手でもなく、でも、人々に頼られ拠り所となっている医師なのだ。
対する研修医は瑛太。親も病院経営をしている2世のぼんぼんで、真っ赤なカプリオレを乗り回しているいかにもなやつだが、段々、この医師の姿に医療従事者の原点を見たように思い心酔する。

そして何より素晴らしいのが名女優・八千草薫。やさしいおかあさんや中高年のアイドル的な役回りをよく覚えているのだが、今回は芯の強い母・女性を演じる。特に振り向かずに背中を見せてセリフを言うシーンは秀逸。今の若い女優さんたちにも、ぜひこういう演技を学び取ってほしいと思う。

さて、ストーリーはこの八千草演じる母の娘、東京で勤務医をしている彼女が帰省し、母の病状に疑念を抱く所から急展開する。この医者をしている娘を演じるのが井川遥。以前、単独インタビューをさせていただいたことがあるが、とても聡明な受け答えをされる方で、この役は適役だと思う。

この医者の周囲は薄々分かっていながら彼を支えている人が出てくる。こういう状況を見ながら、ラスト、ほこりを被り散乱した診療所の様子に、果たしてどちらがこの村にはよかったのだろうかと、色々と考えさせられる。
観てじっくり考えてほしい。

オーラス、ニヤッと笑えます。

「ディア・ドクター」
監督:西川美和、出演:笑福亭鶴瓶、瑛太、八千草薫、余貴美子、井川遥、香川照之
6月27日よりシネカノン有楽町1丁目ほか全国ロードショー
公式HP=http://deardoctor.jp/




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