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映画「乱歩地獄」

2005年11月18日 | 映画
今日は映画「乱歩地獄」を見に行った。
江戸川乱歩の作品4話のオムニバス。映画館はそこそこ混んでました。映画「NaNa」のヒットのせいか、龍平もしくは成宮ファンとおぼしき場違いなコギャルの姿も。

作品的にはやはり実相寺監督の「鏡地獄」が完成度が高いでしょうな。特筆すべきは成宮氏でしょう。さわやか系アイドル要素が強いのかと思っていたら、こういう役もできるんですな。顔も美しく、笑い顔に狂気があり、主人公にぴったりでしたな。これからも楽しみな俳優さんですな。

それに比べて、浅野氏の明智小五郎はいただけません。あんなザンバラ髪で、茫洋とした人物では天知茂先生や、美輪氏の相手役のキリリとしたポマードべったり理知的な明智小五郎が泣きますぞ。むしろ金田一さんのほうが似合っているかも。それから「ラリルレロ」の台詞を噛んでいたのがツライ。大物に祭り上げられてしまって周りに注意できる人がもういないのかな、と思ってしまったぞ。

1話目『火星の運河』はイメージビデオかと思いました。これ1本ではだれもお金出して見ないぞよ。ただ人気スターの裸を見せれば取り上げてもらえると思っている愚。見せないでかつそれを表現する映画のほうが妖しいのに。

2話目、『鏡地獄』は先ほど申し上げたように成宮氏がとてもいい。しかし、難を申せば姉嫁の役、女優さんには悪いが、もう少し「触れてはいけない姉嫁」という感じの女優さんがいなかったものか。曖昧宿のシーンなど顔が馬のように見えてきて、演技も過剰でちょっと顔を背けてしまった。わざとこの女優さんでグロさを出すのが監督の狙いならスゴイと思います。

3話目『芋虫』は原作で読んだ時の方がショッキングでした。ただ、龍平氏が最初に穴からのぞく場面で、頬骨から目・額が、優作氏にそっくりでギョッとさせられましたな。この役、平井(乱歩の本名)=二十面相の表裏一体明智小五郎と言うモチーフがちらりと出ていたのはお上手でした。

最終話の『蟲』は、最初の方のレトロでデカダンな雰囲気が良かったですな。
浅野氏はこの役は合っていたでしょう。

『火星の運河』 
監督・脚本:竹内スグル
出演 浅野忠信
『鏡地獄』 
監督:実相寺昭雄
出演 成宮寛貴、浅野忠信、堀内正美、寺田 農
『芋虫』 
監督:佐藤寿保
出演 松田龍平、岡元夕紀子、大森南朋
『蟲』 
監督・脚本:カネコアツシ
出演 浅野忠信
田口浩正
緒川たまき

原作  江戸川 乱歩
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