紺青小鉢

ミニマムな和の空間で、日本の伝統文化を再発見

オッペンハイマー

2024年04月02日 | 写真・映画・音楽
原爆の父と言われた『オッペンハイマー』が、ようやく日本で公開されました。唯一の被爆国である日本で上映するのは、難しいのではないかと思われていた作品です。海外で公開されたのちに、アカデミー賞最多7部門受賞という快挙を成し遂げた『オッペンハイマー』。いよいよ我が国で見られる日が来るとは。
クリストファー・ノーラン監督といえば、『テネット』のような時間枠がぐにゃぐにゃして難解というイメージが付きまといます。おまけに上映時間が180分などとお漏らし寸前を前提としている今作品。監督お得意の「時間概念」は時間枠というか、カラー映像とモノクロ映像で描く人物の視点を変えているようです。
孤独で繊細な神経の持ち主、まばたきを忘れたかのように遥か遠くを見つめる若きオッペンハイマー。その青い瞳の奥に浮かぶのは、広大な宇宙のような空間で、原子核のまわりをせわしなく回る電子の姿...。その後「マンハッタン計画」に参加したオッペンハイマーは、世界初の原子爆弾の開発に成功します。
この原爆が広島と長崎に投下されてから、世界は大きく変わりました。より強力な水爆など大量破壊兵器が作られ、あっちがやるならこちらもと核兵器開発合戦が始まり、やがて指先ひとつで地球滅亡をいつでも迎えられる世界になってしまいました。日本に原爆が投下された後の状況を見ている様子はありますが、実際の映像では映っていません。唯一の被爆国である日本の観客が、この『オッペンハイマー』を見て何を感じるか...不協和音が絡み付くような音楽と圧倒する映像美と共に、天才科学者の生きた時代を追体験できるIMAXシアターで、ぜひご覧ください。
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