【朝のジョギングが日課のブルジョア妻、スザンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)】
【格子窓から見渡せるピンクの薔薇の花】
起床時には太陽ギラギラ。
昨夜の天気予報では “曇りから雨・・” ではなかったかしら・・?
降りそうにもない空ですが、改めて予報を見てみれば、
今日は15時から雨になっています。
それなら大丈夫。映画を観に行く事にしましょう。
その映画とは今の季節にぴったりですね、
フランス映画 『しあわせの雨傘』 です。カトリーヌ・ドヌーヴ主演。
ドヌーヴの映画は、『8人の女たち』(’02)以来。
ドヌーヴと言えば、『シェルブールの雨傘』(’64)に代表されるように絶世の美女。
(そう言えば、今日の映画にも色とりどりの傘が登場して、
その 『シェルブールの雨傘』 を彷彿したものです。)
ところで 『8人の女たち』 の時は、
プロボーションを維持していて、さすがだと思ったものです。
さすがに今回は、幾分丸くなったドヌーヴがそこにいましたけれど。
とは言え、ドヌーヴはドヌーヴ。彼女の放つオーラには独特なものがありますね。
映画は、真っ赤なジャージーに身を包み、(冒頭の写真)
髪にカーラーを巻いたスザンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)が、
美しい森をジョギングする事から始まります。時代背景は1977年。
「いつものリスが
今朝は枝から ――
私にウィンク」
時に、ジョギングの合間に立ち止まって、詩を手帖に書き留めるスザンヌ。
雨傘工場の社長であり、結婚30年になる夫のロベール(ファブリス・ルキーニ)は、
典型的な亭主関白。
「君は私に従えばいい。時間のムダだ。
詩を作るだけで満足しておけ」
娘からは 「飾り壺」 ~なんて言われる始末。
そんな主婦が、工場のストライキのショックで心臓発作で倒れた夫の代わりに
雨傘工場を経営する事になり、新しい自分を発見して行くのです。
いいえ、眠っていた本能が目覚めたのかも知れません。
彼女は、オーナーの娘ですから。
工場は業績を回復し、自分の人生を歩き始めたスザンヌ。
そこへ退院した夫が帰って来た・・。
「もう玩具をしまって本来の家庭の仕事に戻りなさい」
この後のスザンヌの心の在(あ)りようは容易に想像出来ますね。
そんな中にも女性の繊細さとしたたかさが余す所なく描かれています。
夫と言い争いになった妻が 「先に復讐しておいてよかった」 と。
意味深な発言。思わず喝采。
色とりどりの雨傘に心奪われ、そしてドヌーヴの披露する歌にも。
兎にも角にも楽しくて素敵な映画です。
会話自体が音楽のフランス映画にうっとり。
最後に。国会議員になった妻へ父と娘の会話。
「飾り壺 ではなかったのね」 ~娘
「いや、飾り壺だよ。けれど 空 ではない」 ~父